薄くスライスした単板を重ね、曲面をもつ型で加熱・圧締してその形のまま硬化させた合板。無垢材の削り出しでは得にくい三次元曲面を量産できる。
成形合板
成形合板とは、薄くスライスした単板を接着剤を挟んで重ね、曲面をもつ型に入れて加熱・圧締し、その形状のまま硬化させた合板のこと。英語では molded plywood と呼ぶ。
解説
通常の合板が平らな熱盤で圧締されるのに対し、成形合板では熱盤の代わりに曲面をもつ雄型と雌型で挟み込む。接着剤が硬化した時点で板は型の形を保ち、圧力を解いても戻らない。単板の向きを交差させて積層する原理は合板と共通で、違いは圧締に用いる型にある。
家具にとっての意味は、曲面が得られること自体よりも、同じ曲面を安定して繰り返せる点にある。無垢材を削り出して三次元の曲面をつくれば材料の大半が切り屑となり、木取りの方向によって強度も変わる。成形合板であれば、同じ型を使うかぎり同じ形状が同じ強度で得られる。座面や背もたれを薄く軽く仕上げられることも、椅子にとっては小さくない利点である。表層には木目の美しい突板を重ねることが多く、構造を担う層と見えがかりを別々に決められる。
制約もある。単板は曲げの外側で引き伸ばされるため、曲率が急になると割れが生じる。チャールズとレイのイームズ夫妻は、座面と背もたれを一体成形の殻としてつくる方法を試みたが、複雑な曲面では毎回どこかに割れが入り、最終的に殻を座と背の二つに分けた。1945年のイームズ LCW(プライウッド ラウンジチェア)は、その結論として生まれた形である。加えて型の製作費が高く、少量生産では引き合わない。同じ形状を長く作り続けるほど有利になる技術だといえる。
曲木との違い
曲木は無垢材を蒸気で加熱して可塑性を高め、棒材のまま曲げて固定する技法である。曲げられるのは原則として一方向で、断面は棒や角材のままとなる。成形合板は薄い板を重ねるため、二方向以上に湾曲した面を一度の圧締で得られる。素材の状態も、前者は一本の木、後者は接着された積層体という違いがある。
Reference
- 合板の種類|日本合板工業組合連合会
- https://www.jpma.jp/product/type.html
- 合板の規格と表示|日本合板工業組合連合会
- https://www.jpma.jp/product/jas.html
- 合板|木質建材の種類と特徴(日本木材総合情報センター)
- https://www.jawic.or.jp/syurui/03.php
- LCW(Eames Office)
- https://www.eamesoffice.com/the-work/lcw/