同じ形の家具を上へ重ねて収納できるようにした構成。脚の広がりや座面下の空きなど、重ねるための寸法が形を決める。
スタッキング
スタッキングとは、同じ形の家具を上へ重ねて収納できるようにした構成のこと。英語では stacking と書き、重ねられる製品をスタッキングチェアなどと呼ぶ。
解説
成立には形の条件がある。上の一脚が下の一脚の内側へ収まらなければならないため、脚は下へ向かってわずかに広がるか、あるいは前後にずれて逃げる形になる。座面の下にはこの分の空きが要る。貫を四方に回すと重ねる高さでぶつかるため、貫を省くか位置を下げる判断が伴う。四本脚のうち丸い断面のものは入れ子にならないことがあり、同じ製品でも脚の仕様によって重ねられるものと重ねられないものが分かれる。
重ねた状態でも問題は残る。座面どうしが直接触れれば塗装が擦れるため、脚に樹脂の当たりを付けたり、フレームの当たる位置をずらしたりする。重ねられる脚数にも上限があり、上へ行くほど不安定になるうえ、下の一脚に全段の重量がかかる。台車に載せて運ぶ前提であれば、台車の高さを含めて脚数が決められる。
この構成が求められるのは、使わない時間の長い椅子である。会議室、ホール、教室、飲食店のように、必要な数と平常時の数が大きく違う場所では、収納にかかる面積がそのまま運営費になる。スタッキングチェア 40/4は、40脚を重ねても高さが4フィート(約120cm)に収まることを名の由来としている。デヴィッド・ローランドが8年をかけて開発し、1964年に発表した椅子で、収納効率そのものが設計の目標に据えられていた。
造形の面では制約が形を決める。アントチェア (3100)は座と背を1枚の成形合板で成形し、脚を細いスチールパイプに絞ることで、重ねたときの厚みを薄く保っている。エアチェアはガラス繊維で強化したポリプロピレンの一体成形で、部材を分けないぶん重ねたときの隙間が生じない。
Reference
- 40/4 chair family by David Rowland(HOWE)
- https://www.howe.com/us/products/chairs/404/
- GF 40/4 Stacking Chair(Yale University Art Gallery)
- https://artgallery.yale.edu/collections/objects/59861