概要

スタッキングチェア 40/4は、アメリカのインダストリアルデザイナー、デヴィッド・ローランドが1964年に発表した椅子である。その名称は「40脚を4フィート(約120cm)の高さに積み重ねられる」という省スペース性能に由来する。発表以来、生産が続けられている。

細いスチールロッドのフレームに、薄いシートメタルの座面と背もたれを組み合わせる。

特徴・コンセプト

スタッキング機構

入れ子にして積む器物は、上へ行くほど寸法が大きくなければ収まらない。椅子では全数が同じ寸法である必要がある。40/4は脚を前後方向にわずかに傾け、上の椅子の脚が下の椅子の脚の外側を通る配置とすることで、同一寸法のまま重ねられる。40脚で高さ約120cm、1脚あたり約3cmしか嵩が増えない。

人間工学に基づく快適性

座面と背もたれは三次元の曲面をとる。平板では体重が数点に集まるが、曲面なら接触面積が広がる。座面の前端は下方へ丸められ、太腿の裏に縁が当たらない。

構造と素材

フレームは直径約11mmのソリッドスチールロッド、座面と背もたれは厚さ約5mmで縁を巻いたシートメタルによる。積み重ねる椅子では部材の厚みがそのまま嵩に加算されるため、断面を小さく保つ必要がある。表面にはビニールコーティングを施す。現行では複数の仕上げが選べる。

形状の由来

脚の傾きも座面の曲面も、積むことと座ることの双方から決まる。装飾のために加えた形状を持たない。

エピソード

商品化までの道のり

1956年に構想が始まり、1963年に特許が取得された。大学キャンパス向けに17,000脚の発注を受けたことで、量産が実現している。多数の椅子を扱う施設では、収納と運搬の効率が導入の条件になる。

MoMAでの初公開

1965年5月、量産開始前に250脚が手作業で組み立てられ、ニューヨーク近代美術館の新館開館時に設置された。

セント・ポール大聖堂での使用

ロンドンのセント・ポール大聖堂では長年にわたり使用されている。用途に応じて並べ方を変える必要がある空間では、積み重ねて退避できることが条件になる。

評価と影響

1964年の第13回ミラノ・トリエンナーレでグランプリを受けている。発表以降、同種のスタッキングチェアが各社から発表された。

薄い板材で座面をつくる点ではトリックスAチェアとも共通するが、あちらは積み重ねの際に上の椅子が下の椅子の内側へ入る。40/4は脚の傾きで外側を通す。線材で構成するヒー・チェアも積み重ねに対応する。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、Met=メトロポリタン美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。MoMAは3脚を登録している。

  • MoMA 40/4 スタッキングチェア(1964年) 収蔵番号 250.1965 / 251.1965 / 252.1965
  • Met 「40/4」サイドチェア(1960年) 収蔵番号 1997.461
  • V&A チェア(1964年) 収蔵番号 CIRC.37-1970 / CIRC.38-1970
  • AIC GF 40/4 チェア(1956年設計・1964/65年製) 収蔵番号 1965.1158.1 / 1965.1158.2

基本情報

デザイナー デヴィッド・ローランド(David Rowland, 1924-2010)
発表年 1964年
メーカー HOWE a/s(デンマーク)※オリジナル製造:General Fireproofing Co.(1963-2002)
寸法 高さ約76cm × 幅約51cm × 奥行約53cm、座面高約45cm
素材 クロームメッキスチールロッド、ビニールコーティングスチールシート(他にポリアミド、木製突板、アップホルスタリー仕様あり)
スタッキング 40脚を約120cm(4フィート)の高さに積載可能
累計販売数 800万脚以上