概要
HAL チューブ アウトドアは、ジャスパー・モリソンが設計したシェルチェア「HAL」のうち、粉体塗装のスチールパイプ脚を組み合わせた仕様である。ポリプロピレンの一体成形シェルに4本脚のベースを取り付ける。ヴィトラは、張地を持たないシェルと粉体塗装のベースの組み合わせについて、屋外での一時的・季節的な使用に適するとしている。
特徴・コンセプト
シェルとベースを分ける構成
HALは、イームズのプラスチックチェアの系譜にあるシェルチェアをモリソンが読み直したものである。1枚のシェルに対して複数のベースを用意し、置く場所に応じて組み替えるという考え方をそのまま受け継いでいる。ベースは金属と木、キャスター付き、カウンター用の高いもの、待合用の連結型まであり、シェルにも樹脂(HAL/HAL RE)、合板(HAL Ply)、布張り(HAL Soft)が用意される。チューブ アウトドアは、この組み合わせのうち、樹脂シェルと粉体塗装のベースを選んだものにあたる。
粉体塗装が屋外に向く理由
チューブのベースにはクロームメッキと粉体塗装の2種類がある。クロームメッキは薄い金属皮膜であり、傷から水が入ると下地が侵される。粉体塗装は樹脂の粉を焼き付けるため塗膜が厚く、雨や紫外線にさらされる環境でも劣化が進みにくい。屋外で使えるのが粉体塗装の仕様に限られるのはこのためである。脚の色はアイボリーとベーシックダークの2色が用意される。
ただし常設の屋外家具ではない。ヴィトラは、長く雨風にさらしたあとは清掃して乾いた場所に保管するよう案内している。
原液着色のシェル
シェルは背から座までを継ぎ目なくつなぐ一体成形で、体重に応じてわずかにしなる。着色は塗装ではなく原液着色で、素材そのものに色が入っている。表面が擦れても下地の色が現れないため、屋外や人の出入りが多い場所でも傷が目立ちにくい。
再生材を用いたHAL RE
シェルに再生ポリプロピレンを用いたHAL REも選べる。原料はドイツの分別回収制度「イエローバッグ」で集められた家庭由来のプラスチックで、主に使用済みの包装材である。新規の樹脂を用いる場合に比べて排出量とエネルギー消費を抑えられる。再生材の組成により、色のなかに細かな顔料の粒が散る。ホワイトは現時点では再生材で再現できず、対応する色は限られる。シェルは製品寿命を終えた後に100%リサイクルできる。
エピソード
モリソンの設計は、目新しさを求めるのではなく、すでに広く使われている解を読み直して精度を上げる方向に置かれている。HALがイームズのプラスチックチェアを出発点としながら、シェルの曲面と脚部の細さを詰め直したものであることは、この姿勢の表れである。
評価と影響
同じシェルで室内から屋外まで、また食卓から会議室や講堂まで対応できる点が、公共の空間で選ばれる理由になっている。なおチューブは積み重ねができない。積み重ねが必要な場合は、スタッキング対応のベースを持つ別仕様が用意されている。
ジャスパー・モリソンの設計思想や経歴について詳しくはジャスパー・モリソンプロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
HALシリーズ全体の構成と各仕様の関係については HAL ファミリー にまとめている。
基本情報
| 名称 | HAL チューブ アウトドア / HAL Tube Outdoor |
|---|---|
| デザイナー | ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison) |
| ブランド | ヴィトラ(Vitra) |
| 発表年 | 2010年(HALシリーズ) |
| デザインの成立国 | スイス |
| 分類 | ガーデンファニチャー/アウトドアチェア |
| シェル | 原液着色ポリプロピレン(HAL RE は再生ポリプロピレン) |
| ベース | スチールパイプ4本脚・粉体塗装(アイボリー/ベーシックダーク) |
| 屋外使用 | 張地のない仕様に限り、一時的・季節的な使用に対応 |
| スタッキング | 不可(スタッキング対応は別仕様) |
| オプション | シートクッション(シェルに固定)、ハードフロア用グライド |
Reference
- HAL RE Tube | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/details/hal-re-tube
- HAL Ply Tube | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/details/hal-ply-tube