ハーバーチェアは、2018年にデンマークのデザインスタジオ、ノーム・アーキテクツによってデザインされた多目的チェアである。このチェアは、コペンハーゲンの北港地区ノアハウンに開設されたMENUスペース(現オード・ハウス)のために特別に開発され、同年のIMMケルンで発表された。オフィス、ショールーム、カフェ、コワーキングスペースを兼ね備えた複合施設において、あらゆる用途に対応できる汎用性の高い椅子として誕生した。
現在はオード・コペンハーゲン(旧MENU)から発表されており、ダイニングチェア、ラウンジチェア、バーチェア、カウンターチェアなど、多様なバリエーションを含むハーバーコレクションへと発展している。その洗練されたデザインは、レストラン、会議室、オフィス、住宅など、あらゆる現代空間において調和する普遍的な美しさを備えている。
特徴とコンセプト
ハーバーチェアの最大の特徴は、幾何学的な秩序と有機的な形状の完璧なバランスにある。ポリプロピレンとファイバーグラスを組み合わせたシェルは、人体を優しく包み込むように湾曲し、最大限のサポートを提供する。アームレストは外側に向かって緩やかに曲がり、快適性を高めながらも、エレガントで細身のシルエットを実現している。
高いバックレストは身体をしっかりと支え、低く設計されたアームレストは一般的なダイニングテーブルの下に完全に収納することができるため、スペース効率にも優れている。ベースには天然オーク材、ダークステインオーク材、ブラックオーク材、ウォルナット材、またはスチール(ブラック、ホワイト)が選択でき、シェルはプラスチック仕上げまたは豊富なファブリックとレザーによる張地仕上げが用意されている。
デザイン哲学
ノーム・アーキテクツの設計哲学は、スカンディナヴィアデザインの伝統に深く根ざしている。創設者のヨナス・ビェレ=ポールセンとカスパー・ロンは、「ミニマリズムを美学として、シンプルさを人生の哲学として」捉え、建築と製品デザインの規範と伝統から着想を得ることの重要性を強調する。ハーバーチェアには、この思想が明確に表現されている。
デザインプロセスにおいて、彼らは洗練、バランス、削減を重視する。それは、デザインを最も純粋な形へと蒸留し、完璧の真髄を追求することである。無関係なものを排除することで、重要なものを強調する。この原則に基づき、ハーバーチェアは清潔な線、触覚的な素材、最高の快適性という本質的な要素のみで構成されている。
エピソード
ハーバーチェアの誕生には、特別な背景がある。2017年夏、MENUはコペンハーゲンの港湾地区ノアハウンに新しいクリエイティブスペースを開設した。この建物は、オフィス、ショールーム、カフェ、コワーキングスペース、イベント会場を統合した革新的な複合施設であり、様々な用途に対応できる家具が必要とされた。
ノーム・アーキテクツは、このMENUスペースの建築設計も担当しており、産業的な港湾環境からインスピレーションを得た、コンクリートとスチールを多用した質実剛健な空間を創出した。ハーバーチェアは、この空間の一部として、また独立した製品としても機能するよう設計された。「ハーバーチェアは、多様なニーズを満たした結果である」とブランドは述べている。
椅子の名称は、その誕生の地であるノアハウン(北港)に由来する。朝のエネルギーを与え、日中の集中を支え、夕方にはリラックスを促す座り心地を目指し、あらゆる時間帯と用途に適応する家具として開発された。この多目的性こそが、ハーバーチェアが現代の多様なライフスタイルに受け入れられた理由である。
評価と影響
ハーバーチェアは、発表以来、デザイン専門家と一般ユーザーの双方から高い評価を受けている。その成功の要因は、機能性と美学の完璧な融合にある。「幾何学と有機的形状の完璧なバランス」と評される造形は、現代的でありながら時代を超越した魅力を持つ。
特に注目されるのは、その汎用性である。レストラン、オフィス、住宅など、あらゆる環境において違和感なく溶け込む適応力は、現代の多機能空間における家具の理想的なあり方を示している。また、スタッキング可能なバージョンや、回転ベース、バー・カウンター用の高さのバリエーションなど、コレクションの拡充により、さらに幅広い用途に対応している。
ハーバーチェアは、ノーム・アーキテクツとオード・コペンハーゲン(旧MENU)の協働における代表作の一つとして位置づけられている。両者の継続的なパートナーシップは、スカンディナヴィアデザインの伝統を現代に継承し、新しい形で発展させる模範的な事例となっている。
基本情報
| デザイナー | ノーム・アーキテクツ(Norm Architects) |
|---|---|
| ブランド | オード・コペンハーゲン(Audo Copenhagen、旧MENU) |
| デザイン年 | 2018年 |
| 発表 | 2018年、IMMケルン |
| 素材 | シェル:ポリプロピレン85%、ファイバーグラス15%(プラスチック仕上げ)またはファブリック・レザー張地 ベース:オーク材(ナチュラル、ダークステイン、ブラック)、ウォルナット材、スチール(ブラック、ホワイト) |
| 寸法(ダイニングチェア) | 幅58.5cm × 奥行57.5cm × 高さ82cm 座面高:48cm |
| バリエーション | ダイニングチェア、サイドチェア、ラウンジチェア、回転ベースチェア、バーチェア、カウンターチェア |