椅子や机の脚と脚をつなぐ水平の横材。脚が平行四辺形に崩れるのを止める。語は柱を貫通させる日本の木造建築の構法に由来する。
貫
貫とは、椅子や机の脚と脚をつなぐ水平の横材のこと。読みは「ぬき」。英語では stretcher と呼ぶ。
解説
四本の脚を天板や座面に取り付けただけの構造は、横から力を受けると平行四辺形に崩れる。この変形を止めるのが貫の役目である。脚のあいだに横材を渡し、接合部で回転を拘束することで、脚と横材が組になって力を受ける。座って身体をひねる、椅子を引きずる、机に寄りかかるといった動作は、どれも脚を横へ倒そうとする力になる。
語は日本の木造建築から来ている。柱に穴を穿って横材を差し込み、楔で締める構法で、鎌倉時代に重源が東大寺の再建にあたって導入したとされる。長押のように外から打ち付けるのではなく、文字どおり柱を貫通させる点が違いになる。地震で建物が揺れると柱の木口が貫材に食い込み、繊維がつぶれながら粘り強く抵抗する。家具の貫も、原理としては同じ場所に働いている。
位置と本数は用途で決まる。床に近い高さへ四方に回すもの、前後だけに渡すもの、H字やX字に組むものがあり、足を載せる場所を兼ねることもある。KAMUY LUX ダイニング アームチェアーでは脚が下へ向かって外へ開くため、貫の長さも脚の傾きに合わせて決められている。
いっぽうで貫は、脚まわりに部材が張り出すことを意味する。掃除の妨げになり、椅子を引くときに足が当たる。これを避けるために、接合部の剛性を上げて貫を省く設計も古くからある。ニールス・O・モラー モデル75は座枠の四隅の仕口で力を受け、貫を用いずに済ませた例にあたる。B 9 ネストテーブルのように、曲げた一本の鋼管が脚と貫を兼ねる構成もある。
Reference
- 木造建築千年の技術(京都大学生存圏研究所 北守顕久)
- https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/logos/wp-content/uploads/2015/11/Kitamori_Kokai_2015.pdf
- 貫(建築)(Wikipedia)
- https://ja.wikipedia.org/wiki/貫_(建築)
- 大仏様(大阪文化財ナビ)
- https://osaka-bunkazainavi.org/glossary/大仏様