概要
J39 ピープルズチェアは、ボーエ・モーエンセンが1947年に設計した木製のダイニングチェアである。デンマーク生活協同組合の家具部門FDBモブラーのために設計された。無垢材のフレームと手織りのペーパーコードの座面という構成をとる。発表以来生産が途切れておらず、現在はフレデリシアが製造している。
特徴・コンセプト
直線の部材で組む
脚と貫は直線の部材で構成され、曲げ加工を必要としない。曲木や成形合板の工程を挟まないぶん、加工の手間と設備が減る。手頃な価格で供給するという条件が、そのまま部材の形を決めている。
背もたれだけは同じ樹種の突き板を成形した一枚板で、緩やかな曲線を描く。直線の骨組みのなかで、身体が触れる一箇所にだけ曲面を割り当てている。
先例を単純化する
この椅子は、コーア・クリントが1936年に設計したベツレヘム教会のチャーチチェアを下敷きにしている。複数の横桟で構成されていた背もたれを一枚の背板に置き換え、曲線を描いていた後脚を垂直に改めた。既存の型を検討したうえで部材を減らすという進め方は、クリントのもとで学んだモーエンセンの方法にあたる。
ペーパーコードの座面
座面は紙をより合わせた紐を手で編んで張る。適度にしなるため、板座のように硬くならない。編み込みには手作業を要するが、戦後のデンマークでは雇用を確保する面もあった。
エピソード
FDBは、良質な生活用品を手頃な価格で組合員に届けることを目的としていた。モーエンセンは1942年から同組合の家具部門を率いており、J39はその在任中の設計にあたる。「人民の椅子(Folkestolen)」という愛称は、この成り立ちに由来する。
2022年には座面にセッジグラス(イグサ科の植物)を編んだ仕様が、2025年には座面に張りを施した仕様が加わっている。
評価と影響
デンマーク国内では住宅から公共施設まで広く使われている。同じモーエンセンのスポークバックソファやハンティングチェアと同様、既存の型を検討したうえで部材を減らすという方法で成り立っている。ペーパーコードを座面に用いる構成は、ピーコックチェアなど同時代のデンマークの椅子にも見られる。
ボーエ・モーエンセンの設計思想や経歴について詳しくはボーエ・モーエンセンプロフィールページをご覧ください。
フレデリシアの歴史や他の製品について詳しくはフレデリシアブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | J39 ピープルズチェア / J39 People's Chair |
|---|---|
| 別名 | Folkestolen(人民の椅子) |
| デザイナー | ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen) |
| ブランド | フレデリシア(Fredericia)/当初はFDBモブラー |
| 発表年 | 1947年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | ダイニングチェア |
| 主要素材 | 無垢材(ビーチ、オーク、ウォールナット)、手織りペーパーコード |
| サイズ | 幅48cm × 奥行43cm × 高さ77cm、座面高46cm |
| 構造 | 直線の部材による骨組み+成形した突き板の背板 |
| 座面のバリエーション | ペーパーコード、セッジグラス(2022年)、張り仕様(2025年) |
Reference
- J39 Chair | Fredericia
- https://www.fredericia.com/product/j39-chair