ニレ科ニレ属の落葉広葉樹とその木材。繊維が交錯して走るため割れにくく、座面の削り出しに向く。
ニレ
ニレとは、ニレ科ニレ属の落葉広葉樹とその木材のこと。英語では elm、フランス語では orme と呼ぶ。日本ではハルニレを指すことが多い。
解説
ニレの木材を特徴づけるのは、繊維が一方向に揃わず、絡み合うように走る点である。この交錯した木理のため、縦に割ろうとしても素直に裂けない。斧を入れても割れにくいこの性質は、加工の際には抵抗になる一方で、局所的に力がかかる部位では利点になる。椅子の座面を掘り込むように削り出す仕事や、脚をほぞで差し込む座板に古くから用いられてきたのは、この割れにくさによる。
環孔材で、年輪に沿って大きな導管が並ぶ。そのため木目の輪郭がはっきりと出て、波打つような表情が現れる。Chapo Créationが無垢のニレを主素材とし、釘や接着剤に頼らず木の組手で緊結する構造を採るのは、材の強度と表情の両方を前提にした選択にあたる。
イングランドのウィンザーチェアでは、座板にニレ、脚や貫にブナ、背の曲げ材にトネリコというように、部位ごとに樹種を使い分ける構成が定着していた。座板は複数のほぞ穴を近い間隔で開けるため、割れにくい材でなければ穴と穴のあいだが裂ける。ニレがこの部位に充てられたのは、交錯した木理がその条件に合ったからである。
水に浸かった状態では腐りにくく、かつては水道管や船の部材にも使われた。逆に乾湿を繰り返す環境では傷みやすい。
20世紀にニレ立枯病が欧米で大流行し、街路樹をはじめとするニレの多くが失われた。これにより良質な大径材の供給は限られており、家具に用いられるニレの多くは、この背景を抱えている。
Reference
- ニレ科|木材の種類と特徴(日本木材総合情報センター)
- https://www.jawic.or.jp/syurui/01.php
- Pierre Chapo — Matières(Chapo Création)
- https://www.chapo.com/