シャポー・クレアシオンとは

シャポー・クレアシオン(Chapo Création)は、フランスの家具デザイナー、ピエール・シャポー(1927–1987)が興した工房を源流とするブランドである。無垢のニレ材を主素材とし、釘や接着剤に頼らず木の組手で緊結する堅牢な構造、そして建築に根ざした簡潔な造形を身上とする。シャポーの没後も一族が設計思想と製作技術を受け継ぎ、S11チェアやT21テーブルをはじめとする代表作を今日まで手仕事で製作し続けている。

その家具は工業的な量産とは一線を画し、素材の性質と職人の手を軸に据えたものづくりの姿勢で、フランス・モダンデザインを語るうえで欠かせない存在として位置づけられている。

特徴とデザイン哲学

ピエール・シャポーが製作の指針としたのは、「素材・形態・機能」という三つの原則であった。とりわけ素材への敬意は徹底しており、堅く木目の美しいニレ材を好んで用い、オーク、チーク、アッシュなども素材の個性に応じて使い分けた。

構造面での最大の特色は、金属の留め具に依存しない組手(ジョイント)にある。木同士を精緻に噛み合わせて組み上げる手法は、造船大工のもとで木工を学んだシャポーの経歴に由来するもので、堅牢さと分解・組立の合理性を両立させている。加えて、比率の設計に黄金比を援用するなど、建築家としての素養が家具の均衡に生かされている点も見逃せない。

ブランドヒストリー

1927年、パリの職人の家系に生まれたピエール・シャポーは、当初画家を志したが、造船大工との出会いを機に木工と建築へと関心を移し、パリの国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)で建築を学んだ。妻となる彫刻家・画家のニコル・ロルミエとともに北米やスカンジナビアを旅し、フランク・ロイド・ライトやル・コルビュジエ、シャルロット・ペリアンらの仕事から深い影響を受けている。

1957年、ピエールとニコルは設計事務所とインテリア事務所を兼ねる「シャポー社」を設立。翌1958年にはパリ5区にギャラリー・シャポーを開き、自作の家具に加えてイサム・ノグチの照明などを紹介した。クラマールに構えた木工工房で最初期のモデルを製作し、そのなかにはサミュエル・ベケットの依頼で生まれたL01(通称ゴドー・ベッド)も含まれる。

1967年、シャポーは南仏プロヴァンスのゴルドへ拠点を移し、職人を擁して家具製作を本格化させた。生涯にわたって100を超えるモデルを世に送り出し、その多くが20世紀デザインの歴史に名を刻んでいる。1987年にシャポーが世を去った後も、家業は一族の手で継承され、今日ではシャポー・クレアシオンとして当時の設計と製法を守りながら製作を続けている。近年ではメゾン・イヴ・サロモンとの協業で代表作を新たな素材で仕立て直すなど、遺産を現代につなぐ試みも行われている。

主な作品

S11 チェア(1966年)
ニレ材のフレームに革を組み合わせたダイニングチェア。接着剤や釘を用いず、パズルのように木を組み上げる構法で知られ、シャポーの製作思想を代表する一脚とされる。
S34 チェア(1973年)
収束する四本の脚と多角形の座面、非対称の背もたれを特色とするダイニングチェア。彫刻的でありながら実用に耐える構造で、シャポー後期の造形を伝える。
T21 サファックス テーブル
厚みのある無垢ニレ材の天板と、分解可能な脚部を備えたテーブル。堅牢さと運搬・保管の合理性を両立させた設計として、長く定番であり続けている。
L01 ゴドー・ベッド(1959年)
作家サミュエル・ベケットの依頼で生まれたデイベッド。簡潔な線と汎用性を備え、初期シャポーを象徴する作品のひとつに数えられる。

主なデザイナー

ブランドの設計を一貫して担ったのは、創業者であるピエール・シャポー本人である。建築の素養と職人としての手仕事を併せ持ち、素材の性質を起点に家具を構想する姿勢は、ブランドの製作全体を貫く基盤となっている。

基本情報

ブランド名 Chapo Création(シャポー・クレアシオン)
創業 1957年(シャポー社設立)
創業者 ピエール・シャポー、ニコル・ロルミエ
所在国 フランス
公式サイト https://chapo-creation.com