D.357.1 ブックケースが長く愛される理由

1956〜1957年にジオ・ポンティが設計し、半世紀以上の時を経て2012年にMolteni&C(モルテーニ)が復刻したD.357.1 ブックケースは、20世紀イタリアデザインの巨匠が自邸のために構想した壁面書棚である。エルム突板の自然な木目と手塗りホワイトの対比が織りなす瀟洒な佇まいは、建築と家具を一体として捉えたポンティの設計思想を今日に伝え、現代の住空間にも通じる普遍的な美しさで高い評価を受けている。

本ページでは、D.357.1 ブックケースの購入を検討している方に向けて、正規品の仕様と素材、類似の名作書棚との比較、暮らしへの取り入れ方、メンテナンス、国内正規販売ルートまで、購入判断に必要な情報を網羅的に解説する。

正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材

D.357.1 ブックケースは、Molteni&Cのジオ・ポンティ・コレクション(Heritage Collection)として、イタリア・ジュッサーノの同社工場で製造されている。ジオ・ポンティ・アーカイブに保管されたオリジナル図面に基づき、スタジオ・チェッリ&アソシアーティのアートディレクションのもとで忠実に復刻された。すべての製品にシリアルナンバーとポンティのシルクスクリーンサインが付され、100%メイド・イン・イタリーの認証カードが添えられる。

正式名称(日本語) D.357.1 ブックケース
正式名称(英語) D.357.1 Bookcase
デザイナー ジオ・ポンティ / Gio Ponti(1891年11月18日 – 1979年9月16日 / イタリア・ミラノ)
デザイン年 1956–1957年
製造ブランド Molteni&C(モルテーニ)
製造国 イタリア(ジュッサーノ、ブリアンツァ地方)
コレクション Molteni&C ジオ・ポンティ・コレクション(Heritage Collection)
主要素材(構造体) ポプラ多層合板(成形)
主要素材(表面) エルム(ニレ材 / Ulmus rubra)突板
仕上げ エルム突板部分:ナチュラル透明仕上げ / ホワイト部分:アクリル塗料による手塗り仕上げ
背板 ポプラ多層合板+ポプラ合板框、アクリルホワイト手塗り仕上げ
サイズ(D.357.1) W 124.7 × D 29.5 × H 250 cm
サイズ(D.357.2) W 100.5 × D 21.2 × H 130.5 cm
設置方法 D.357.1:床置き式(壁面固定が必要) / D.357.2:壁掛け専用
オプション フレーム付きミラー(D.950.1コレクション)の追加が可能
カラーバリエーション エルム+ホワイト(単一仕様)
参考価格帯(税込目安) D.357.1:約120万〜160万円前後 / D.357.2:約60万〜80万円前後(為替レート・仕様により変動、正規販売店にお問い合わせください)
納期 受注生産:約18〜20週間(国際情勢により変動する場合あり)
認証・付属品 シリアルナンバー、ジオ・ポンティのシルクスクリーンサイン、Molteni&C 100%メイド・イン・イタリー認証カード

類似商品・競合との比較

D.357.1 ブックケースはMolteni&Cによる独占復刻であり、リプロダクト(複製品)は存在しない。ここでは、同時代のイタリアン・モダニズムを代表するデザイナーズ書棚と比較し、それぞれの特徴と選び方の指針を示す。

Cassina 835 Infinito(フランコ・アルビーニ / 1956–1957年)

D.357.1と同時期に、ジオ・ポンティとも交流のあったフランコ・アルビーニが設計したモジュラー式書棚である。床と天井の間に突っ張り式の支柱を立て、棚板や扉付き収納ユニットを自在に組み合わせるシステムが特徴で、壁面固定を必要としない自立型として間仕切りにも使用できる。アッシュ材またはウォールナット材仕上げ。Cassina「I Maestri」コレクションとして2008年から復刻生産されている。モジュラーの自由度を求める方、空間を仕切りながら収納を確保したい方に適している。

Molteni&C D.355.1 / D.355.2(ジオ・ポンティ / 1956–1957年)

同じジオ・ポンティによるヴィア・デッツァ自邸の書棚シリーズだが、こちらは完全な壁掛け(サスペンデッド)タイプである。幅240cmまたは195cmの横長プロポーションで、壁面に浮かぶように設置される。D.357.1と同じエルム突板+手塗りホワイト仕上げを共有しており、組み合わせることでヴィア・デッツァ邸の空間を再現するコーディネートが可能。壁面の水平方向に広がりを持たせたい場合や、床面積を圧迫せずに収納を確保したい場合に適している。

Cassina Nuvola Rossa(ヴィコ・マジストレッティ / 1977年)

ブナ材のフレームをX字に折り畳める構造が特徴の書棚で、イタリアン・デザインにおける「軽さ」の探求を異なるアプローチで示している。D.357.1が壁面と一体化する建築的存在感を持つのに対し、Nuvola Rossaは可搬性と構造の明快さに重きを置く。より手頃な価格帯で、移動の可能性がある住まいや書斎に適している。

比較項目 Molteni&C D.357.1 Cassina 835 Infinito Molteni&C D.355.1
デザイナー ジオ・ポンティ フランコ・アルビーニ ジオ・ポンティ
デザイン年 1956–1957年 1956–1957年 1956–1957年
タイプ 壁面固定式 床置き型 突っ張り式 自立型 壁掛け(サスペンデッド)
主要素材 ポプラ多層合板、エルム突板 無垢アッシュ材 or ウォールナット材 多層合板、エルム突板
仕上げ エルム+手塗りホワイト ナチュラル / ブラック / ウォールナット エルム+手塗りホワイト
サイズ W124.7×D29.5×H250cm モジュラー(構成により可変) W240 or 195×D29.5×H35cm
モジュラー性 固定構成 高い(棚板・収納自由配置) 固定構成
間仕切り使用 不可(壁面固定) 可能(両面使用) 不可(壁掛け)
デザインの方向性 建築的・装飾的 構造的・機能的 建築的・浮遊的

D.357.1は、固定された空間に建築的な存在感を持つ書棚を据え、蔵書やオブジェを美しく演出することに重きを置く方に適している。自由なレイアウト変更や間仕切りとしての機能を重視する場合はCassina 835 Infinitoが、壁面の水平方向に広がりを演出したい場合はD.355.1が、それぞれ有力な選択肢となる。

使用感と暮らしへの取り入れ方

収納力と使い勝手

D.357.1は高さ250cmの堂々としたスケールを持つオープンシェルフであり、書籍、美術書、陶磁器、オブジェなどを見せながら収納するディスプレイ型の書棚として機能する。奥行き29.5cmは一般的な書籍の収納に十分な深さを確保しつつ、壁面からの張り出しを最小限に抑える。仕切り板の配置により各段の高さが決まっているため、収納する物のサイズに合わせた事前の計画が望ましい。

ミラーオプション(D.950.1)を組み合わせることで、書棚の一部に鏡面を加えた装飾的な壁面構成が可能となり、空間に奥行きと光の反射をもたらす。

空間別のコーディネート提案

リビングルームにおいては、壁面の一面をD.357.1で構成することで、空間全体にイタリアン・モダニズムの品格を与えることができる。エルムの温かみのある木目とホワイトのコントラストは、ナチュラルモダンからミッドセンチュリーモダンまで幅広いインテリアスタイルに調和する。同じジオ・ポンティ・コレクションのD.555.1ラウンドテーブルやD.153.1アームチェアとの組み合わせは、ヴィア・デッツァ自邸の空間を現代に蘇らせるコーディネートとして特に推奨される。

書斎やホームオフィスでは、蔵書や資料の収納と美術品の展示を兼ねた壁面収納として活用できる。D.357.2(壁掛け型)はデスク上部の壁面に設置することで、コンパクトなスペースにも知的な雰囲気を演出する。

ダイニングルームにおいては、食器や酒器のディスプレイ棚としても映える。ポンティが自邸で実践した「リビングとダイニングが一体となった空間」のように、D.357.1を空間の背景として据えることで、食卓の風景にも奥行きが生まれる。

生活スタイル別の適性

D.357.1は高さ250cmの大型家具であるため、天井高260cm以上の空間での設置が望ましく、一般的な日本の住宅(天井高240cm前後)では設置前に必ず天井高の確認が必要となる。壁面固定を要するため、賃貸住宅での導入には慎重な検討が必要である。一方、D.357.2は壁掛けタイプのため、比較的限られた空間でも導入しやすい。マンションのリビングや書斎のアクセントとして効果的に機能する。

経年変化とメンテナンス

エルム突板の経年変化

エルム(ニレ材)は時間の経過とともに深みのある色合いへと変化する木材であり、透明仕上げ部分においてはナチュラルな飴色の成熟を楽しむことができる。直射日光に長時間さらされると退色や色ムラの原因となるため、カーテンやブラインドで適切な遮光を行うことが推奨される。

手塗りホワイト部分の特性

アクリル塗料による手塗り仕上げは工業的な均一塗装とは異なり、筆のタッチが微かに残る独特の質感を持つ。この手仕事の風合いはD.357.1の個性そのものであり、経年によって塗膜が馴染み、落ち着いた白へと変化してゆく。

日常メンテナンス

日常的なお手入れは、柔らかい乾いた布で埃を払う程度で十分である。汚れが付着した場合は、水で固く絞った柔らかい布で拭き、直後に乾拭きを行う。研磨剤入りの洗剤や溶剤系のクリーナーの使用は塗膜を傷める原因となるため避ける。エルム突板部分には半年〜1年に一度、木材用のオイルまたはワックスを薄く塗布することで、木肌の保護と美しさの維持につながる。

修理・パーツ交換

Molteni&Cの正規製品は、日本国内ではアルフレックス ジャパンを通じてアフターサービスを受けることが可能である。塗膜の補修や部品の交換についてはMolteni&C東京ショールームまたはアルフレックス各店舗に相談することが推奨される。

どこで買うか:正規販売店と購入方法

国内正規販売ルート

Molteni&Cの日本における正規代理店はアルフレックス ジャパンである。以下のショールーム・販売店で製品の相談・注文が可能である。

パラッツォ・モルテーニ東京(Molteni&C Tokyo Flagship Store)
東京都港区南青山6-4-6 Almost Blue B棟 1F / TEL: 03-3400-3322 / 営業時間:11:00〜18:00 / 定休日:水曜・祝日 / 予約制
モルテーニ大阪(Molteni&C Osaka Flagship Store)
大阪市中央区南船場4-2-11 心斎橋ビル4F / 営業時間:11:00〜18:00 / 定休日:水曜・祝日
アルフレックス東京(arflex tokyo)
東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクエア1F / TEL: 03-3486-8899 / Molteni&C収納製品の展示あり
アルフレックス名古屋(arflex nagoya)
名古屋市中区栄5-28-12 名古屋若宮ビル1F/4F / TEL: 052-269-9770

D.357.1はすべて受注生産のため、実物の展示有無は店舗や時期により異なる。来店前に電話またはウェブフォームで確認・予約することを強く推奨する。

その他の正規取扱店

Molteni&C製品を取り扱うインテリアショップとして、IL DESIGN(東京デザインセンター内)、DOPA(ドーパ)などでも相談・見積もりが可能である。いずれもイタリア本国の正規代理店を通じた直輸入を行っている。

公式オンラインストア

Molteni&Cは海外向けに公式オンラインストア(shop.molteni.it)を展開しているが、日本向けの公式オンライン販売は現時点では確認されていない。国内での購入は上記の正規販売店を通じて行うことが推奨される。

中古・ヴィンテージ市場

D.357.1はMolteni&Cによる2012年以降の復刻品であるため、中古市場での流通は限定的である。海外の1stDibsなどのデザイン家具専門マーケットプレイスで取り扱われる場合がある。購入時にはシリアルナンバーとMolteni&C認証カードの有無を必ず確認すること。

購入時チェックリスト

  • 正規品であることの確認(シリアルナンバー、ジオ・ポンティのシルクスクリーンサイン、Molteni&C認証カード)
  • 天井高の実測(D.357.1は高さ250cm、設置には天井高260cm以上が目安)
  • 設置壁面の強度確認(壁面固定が必要、壁の下地材・構造の確認)
  • 搬入経路の確認(玄関・廊下・階段・エレベーターの寸法を実測)
  • ミラーオプション(D.950.1)の要否の決定
  • 仕様・サイズの最終確認(D.357.1 / D.357.2 のどちらを選択するか)
  • 納期の確認(受注生産のため通常18〜20週間、国際情勢による変動あり)
  • 配送・設置サービスの内容確認(大型家具のため専門業者による搬入・設置が推奨)
  • 保証内容とアフターサービス体制の確認

配送・設置に関する注意事項

D.357.1は高さ250cmの大型家具であり、配送・搬入には十分な計画が必要である。エレベーターを使用する場合はかご内寸法との適合性を事前に確認する。また、壁面固定の施工を伴うため、正規販売店の推奨する専門業者による設置が望ましい。設置壁面がコンクリート、石膏ボード、木下地のいずれであるかにより固定方法が異なるため、購入前に販売店と施工条件を相談しておくことが推奨される。

コーディネート事例

ミッドセンチュリー・イタリアンモダン

D.357.1を壁面の主役として据え、同じジオ・ポンティ・コレクションの家具で空間を構成するコーディネート。D.555.1ラウンドテーブルをサイドテーブルに、D.153.1アームチェアまたはD.154.2ラブチェアを合わせることで、ヴィア・デッツァ自邸の空気感を現代の住まいに再現できる。床材にはテラコッタタイルやヘリンボーンのパーケットフローリングが似合い、真鍮のフロアランプを添えれば1950年代ミラノの洗練が完成する。

ナチュラルモダン・北欧ミックス

D.357.1のエルム突板と手塗りホワイトは、北欧家具との相性も良い。オーク材のダイニングテーブルやウェグナーのチェアと組み合わせることで、温かみのある木質空間にイタリアンデザインのアクセントを加えたミックススタイルが実現する。書棚には陶磁器やガラスのオブジェ、アートブックを控えめに配置し、余白を十分に残すことでD.357.1の造形美が際立つ。

コンテンポラリー・ミニマル

白壁と無垢材の床を基調とした現代的なミニマル空間に、D.357.1を唯一の装飾的要素として配する提案。ソファやテーブルはシンプルなモノトーンで統一し、書棚に並べる蔵書やオブジェの色彩が空間のアクセントとなるよう計画する。D.357.2を壁面の高い位置に設置し、D.357.1と上下で組み合わせることも可能であり、壁面全体を一つの「家具の壁」として構成する建築的なアプローチも検討に値する。

よくある質問

D.357.1 ブックケースの正規品価格はどのくらいですか?
D.357.1(床置き型)の参考価格は約120万〜160万円前後、D.357.2(壁掛け型)は約60万〜80万円前後が税込目安となります(為替レートや仕様により変動します)。正確な価格は正規販売店であるMolteni&C東京ショールームまたはアルフレックス ジャパン各店舗にお問い合わせください。
どこで購入できますか?
日本国内ではMolteni&Cの正規代理店であるアルフレックス ジャパンを通じて購入できます。パラッツォ・モルテーニ東京(南青山)、モルテーニ大阪(心斎橋)、アルフレックス各店舗で相談・注文が可能です。また、IL DESIGNやDOPAなどの正規取扱店でも見積もりを依頼できます。
実物を確認できる場所はありますか?
D.357.1は受注生産品のため、常時展示されているとは限りません。パラッツォ・モルテーニ東京が最も充実したジオ・ポンティ・コレクションの展示を行っていますが、特定製品の展示状況は来店前にお電話(03-3400-3322)でご確認ください。ショールームは予約制です。
納期はどのくらいですか?
通常、受注後約18〜20週間が目安です。国際情勢や物流状況により大幅な遅延が生じる場合もあるため、注文時に最新の納期情報を販売店にご確認ください。
天井高が低い部屋でも設置できますか?
D.357.1は高さ250cmのため、天井高260cm以上の空間での設置が推奨されます。一般的な日本の住宅(天井高240cm前後)では設置できない場合があります。天井高が限られる場合は、壁掛けタイプのD.357.2(高さ130.5cm)が適切な代替選択肢となります。設置前に必ず天井高と搬入経路を実測してください。
メンテナンスはどのようにすればよいですか?
日常的なお手入れは柔らかい乾いた布での埃払いで十分です。汚れには水で固く絞った布を使用し、直後に乾拭きします。研磨剤や溶剤系クリーナーの使用は避けてください。エルム突板部分には半年〜1年に一度、木材用オイルまたはワックスの薄い塗布をおすすめします。補修やパーツ交換はアルフレックス ジャパンを通じて対応可能です。
D.357.1とD.357.2を組み合わせて使えますか?
可能です。D.357.1(床置き型)とD.357.2(壁掛け型)は同じ素材・仕上げで統一されており、壁面に上下や左右で組み合わせて配置することで、ジオ・ポンティの自邸における壁面構成を再現するような建築的な演出が実現できます。同コレクションのフレーム付きミラー(D.950.1)を加えることも可能です。
他に検討すべき名作書棚はありますか?
同時代のイタリアン・モダニズムを代表する書棚としては、フランコ・アルビーニ設計のCassina 835 Infinito(1956–1957年)がモジュラー式の代表格として挙げられます。また、同じジオ・ポンティ・コレクションのD.355.1 / D.355.2(壁掛け式書棚)も比較検討に値します。それぞれの特徴や選び方については、当サイトの各紹介ページをご参照ください。