生産が終了した製品を、権利をもつメーカーまたはその許諾を受けた製造者があらためて生産すること。製造されるのは新品である。
復刻
復刻とは、いったん生産が終了した製品を、権利をもつメーカーまたはその許諾を受けた製造者が、あらためて生産することのこと。リイシュー、再生産とも呼ばれる。
解説
リプロダクトとの違いは、誰が作っているかにある。復刻はデザイナーまたはその権利継承者と契約関係にある製造者が行うもので、原型の図面や型、素材の指定を引き継ぐ。リプロダクトは意匠権の保護期間が満了したデザインを契約関係のない製造者がつくるもので、外形を再現する立場にある。同じ「昔のデザインの新品」であっても、系譜が異なる。当初の製造元とは別のメーカーが権利を得て再生産に着手する例もあり、パーヴォ・ティネルのパーヴォ・ティネル 9602 フロアランプは2018年からGUBIが生産している。
ただし、復刻品が当時の製品と同一であるとは限らない。生産が途切れているあいだに、材料の規制が変わって同じ素材が使えなくなっていることがある。強度や安全性の基準に合わせて部材の寸法が見直されることもある。工場や設備が変われば、仕上げの質感や公差にも差が出る。良心的なメーカーは、こうした変更点を公表したうえで復刻することが多い。
ヴィンテージ品との関係も整理しておく価値がある。ヴィンテージ品は当時実際に生産された個体であり、復刻品は現在生産された新品である。前者は経年の状態がそのまま残り、個体差も大きい。後者は状態が揃い、保証と部品供給を受けられる。どちらが良いかではなく、求めるものが違うと考えたほうがよい。購入の経路については正規販売店と並行輸入で扱う。
年代表記の注意
復刻品の紹介で「1950年代のデザイン」と書かれている場合、それはデザインが発表された年であって、その個体が製造された年ではない。年代を扱うときは、デザインの発表年、当初の生産期間、復刻の開始年の三つを区別する必要がある。中古市場では、この区別が価格に直結する。
Reference
- 意匠権の存続期間はどのくらいですか。(工業所有権情報・研修館)
- https://faq.inpit.go.jp/FAQ/2024/01/000198.html
- 令和元年意匠法改正特設サイト(特許庁)
- https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/isyou_kaisei_2019.html