CH825 クレデンザは、ハンス・J・ウェグナーが1950年代末に設計したサイドボードである。全長2メートルの水平線と、閉じたときに垂直の木目が連続する静かな前面を持つ。
その前面は、左右へ滑らせると本体の二重壁の内側へ消えるローラーシャッター扉である。外観の簡素さと内部機構の複雑さの落差が、この収納家具の性格を決めている。カール・ハンセン&サンが2014年に復刻した。
特徴・コンセプト
ローラーシャッター扉
2枚のローラーシャッター扉は、レールの上を走って側板と背板の二重構造の内部へ格納される。開閉のために前方へ場所を取らず、扉を寄せれば内部全体に手が届く。この機構のために、本体には通常のキャビネットにはない二重の側面と背面が必要になる。外から見える部分に手掛かりはなく、構造のほとんどが内部に隠されている。
取手のおさまり
取手は、扉の前縁に取り付けられた縦長の木片である。薄い角形のスチールプレートを介して無垢の縁材に留められており、金属と木の接点が最小限の面積に抑えられている。閉じた状態では、この細い縦線だけが平滑な面に走る。
素材と内部構成
外装はオークまたはウォールナットの突板、内部の棚板と引出しトレイはオーク無垢材である。オリジナルはパリサンダーとチークで製作されていた。内部は3区画に分かれ、左右の区画には各2枚の可動棚、中央には4段の引出しトレイが収まる。引出しの追加にも対応する。
脚部は、本体と同素材の丸脚と、CH100シリーズと共通のステンレススチール製ループ脚から選べる。現行モデルでは前後の縁を調整し、幅木のある壁面にも寄せて置けるようになっている。
誕生の背景
CH825は、ウェグナーが手がけた3点のクレデンザのうちの1台として、1950年代末に図面が引かれた。当時のウェグナーはすでにCH24をはじめとする椅子で国際的に知られていたが、収納家具においても同じ密度で構造を検討している。
オリジナルは生産数が限られ、後年のオークションで高値がつく存在となった。カール・ハンセン&サンは、ウェグナー生誕100年にあたる2014年、残された図面をもとにこの一台を復刻した。素材はパリサンダーとチークからオークとウォールナットへ改められている。
現在の評価
CH825は、椅子の設計者として語られることの多いウェグナーの、木工技術者としての側面が表れた作例として扱われる。ローラーシャッターという機構自体は目新しくないが、外形に痕跡を残さず扉を収めるという解き方に設計者の手つきがある。
現行モデルは受注生産で、オークとウォールナット、丸脚とスチールループ脚の組み合わせから選択する。重量は約40kgであり、幅2メートルという寸法から搬入経路の確認が必要となる。
基本情報
| 製品名 | CH825 クレデンザ / CH825 Credenza |
|---|---|
| デザイナー | ハンス・J・ウェグナー / Hans J. Wegner |
| デザイン年 | 1959年(資料により1958年) |
| 復刻年 | 2014年 |
| メーカー | カール・ハンセン&サン / Carl Hansen & Søn |
| 生産国 | デンマーク |
| 素材 | オークまたはウォールナット突板(外装)、オーク無垢材(内装)、ステンレススチール(脚部・選択時) |
| サイズ | W2,000mm × D490mm × H808mm |
| 重量 | 約40kg |
| カテゴリー | 収納家具 / サイドボード / クレデンザ |
| スタイル | デンマーク・モダン |