Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)

Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)は、1908年にデンマーク・オーデンセで創業された、110年以上の歴史を誇る名門家具メーカーです。創業者カール・ハンセンが開いた小さな工房から始まったこのブランドは、今日ではデンマーク王室御用達の栄誉を受け、世界中で愛される家具を生み出し続けています。特に20世紀を代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーとの70年以上にわたる協働関係は伝説的であり、1950年に発表されたYチェア(CH24)は、デニッシュモダンの象徴として今なお世界中で生産され続けています。

カール・ハンセン&サンの家具は、妥協のないクラフトマンシップと洗練されたデザイン、そしてデンマークが誇る伝統的製作技術の結晶です。すべての製品をデンマーク国内で製作するという信念を貫き、世代を超えて使い続けられる品質と美しさを追求しています。ハンス・J・ウェグナーをはじめ、コーア・クリント、ボーエ・モーエンセン、オーレ・ヴァンシャー、アルネ・ヤコブセン、ポール・ケアホルムといった北欧デザインの巨匠たち、さらには安藤忠雄などの現代建築家とも協働し、デンマークデザイン史における重要な位置を占めています。

ブランドヒストリー

創業と黎明期(1908年〜1930年代)

1908年10月28日、熟練の家具職人カール・ハンセンは、デンマーク第三の都市オーデンセに自身の名を冠した家具工房を開業しました。当時主流であったヴィクトリアンスタイルの重厚な注文家具を小さな工房で手作業により製作し、高い品質とクラフトマンシップ、そして伝統を工房の基盤としていました。1910年代中頃には、他社に先駆けて機械化を導入した量産体制を整え、機械とハンドクラフトを融合させた今日につながる礎を築きます。

革新の時代(1930年代〜1950年代)

1930年代、世界的な経済恐慌により家具産業が大きな打撃を受ける中、カール・ハンセンは23歳の息子ホルガー・ハンセンに経営を委ねました。若きホルガー・ハンセンは、持ち前の熱意と斬新なアイデア、そして商才をもって厳しい時代を見事に切り抜けます。そして1940年代後半、彼は運命的な出会いを果たします。コペンハーゲンの家具店で目にしたひとつの椅子——それが、当時新進のデザイナー、ハンス・J・ウェグナーの作品でした。

深く感銘を受けたホルガー・ハンセンは、直ちにウェグナーに連絡を取り、オーデンセの工場へ招きました。1949年、二人はわずか3週間で4脚の椅子のプロトタイプを完成させます。それがCH22、CH23、CH24、CH25——今日「最初の名作」として知られる伝説的なコレクションです。中でもCH24、通称Yチェアは、1950年の発表以来、その斬新なフォルムと卓越した座り心地により、モダンデザインの名作として世界的な評価を確立しました。

1958年、創業50周年を迎えたカール・ハンセン&サンは、50人以上の職人を抱えるデンマークを代表する家具メーカーへと成長を遂げます。ウェグナーのデザインによる人気製品の輸出を中心に売上を拡大し、デニッシュモダンの国際的な認知と発展に大きく貢献しました。

継承と発展(1960年代〜2000年代)

1950年代末、ホルガー・ハンセンの突然の死は会社に大きな衝撃を与えました。しかし、女性が外で仕事を持つことが稀であった当時、未亡人エラ・ハンセンがカール・ハンセン&サンのトップとして会社を牽引し、困難な時期を見事に乗り越えます。そして二人の息子、ヨルゲン・ゲアナとクヌッド・エリックを伝統ある親族企業の後継者として育成しました。

2002年、3代目となるクヌッド・エリック・ハンセンが会社を引き継ぎます。海運業の世界で鍛えたビジネスセンスを発揮し、当時35人だった従業員を約300人規模へと拡大。コペンハーゲンに最初の直営フラッグシップストアをオープンし、その後ニューヨーク、サンフランシスコ、東京、大阪、ロンドン、ミラノ、ストックホルム、オスロへとグローバルに展開。世界中のデザイン愛好家の聖地となっています。

新時代への挑戦(2010年代〜現在)

2014年4月2日、ハンス・J・ウェグナー生誕100周年を記念し、イギリスの著名デザイナー、ポール・スミスとのコラボレーションによる限定版を発表。その後も、イルス・クロフォードとの協働によるCH24 SOFTシリーズの展開など、伝統を守りながらも常に革新を続けています。近年では照明コレクションを新たにラインナップに加え、トータルライフスタイルブランドとしての新たな一歩を踏み出しました。

オーデンセ郊外の工房では、今なお次世代の職人を育成し、手仕事を大切にしたものづくりを継続。現在、クヌッド・エリック・ハンセン社長は息子への世代交代の準備を進めており、ファミリービジネスだからこそ実現できるこだわりと魂を、次の世代へと引き継ごうとしています。

ブランドの特徴とコンセプト

デンマーク王室御用達の品質

カール・ハンセン&サンの家具は、デンマーク王室御用達という最高の栄誉を受けています。これは単なる称号ではなく、世代を超えて使い続けられる卓越した品質と美しさ、そして揺るぎないクラフトマンシップの証です。すべての製品は今なおデンマーク国内で製作されており、110年以上にわたり培われた伝統的技術と現代的な製造技術が見事に融合しています。

ハンス・J・ウェグナーとの特別な絆

カール・ハンセン&サンは、ハンス・J・ウェグナーの家具を世界で最も数多く製作するメーカーとして知られています。1949年から始まった両者の協働関係は70年以上に及び、500脚以上の椅子をデザインした「椅子の巨匠」ウェグナーの創造性と、カール・ハンセン&サンの卓越した技術力が融合することで、数々の不朽の名作が誕生しました。この関係性は、単なるビジネスパートナーシップを超えた、デザインと製造の理想的な協働の形を示しています。

デニッシュモダンの体現

カール・ハンセン&サンの家具は、デニッシュモダンの本質を体現しています。それは、機能美と芸術性の完璧な調和、自然素材への深い敬意、人間工学に基づいた設計、そしてタイムレスなデザイン哲学です。無駄を削ぎ落としたシンプルな造形の中に、豊かな表情と温もりが宿り、どのような空間にも調和しながら、その場を格調高く演出します。

伝統的クラフトマンシップの継承

Yチェアの座面を編むペーパーコード張りは、熟練した職人でも1脚あたり約1時間を要する重要な工程です。1脚につき約120メートルの強度と耐久性に優れたペーパーコードが使用され、長年にわたって使用できる座面が丁寧に手作業で編み上げられます。このような伝統的な手仕事の技術は、オーデンセの工房で師弟制度により次世代へと確実に継承されています。100を超える製作工程のほとんどが職人の手を通して行われ、そのこだわりが世代を超えて愛される家具を生み出しています。

環境への配慮とサステナビリティ

カール・ハンセン&サンは、FSC認証材の使用をはじめとする環境保護活動に長年積極的に取り組んでいます。木材資源の価値を十分に理解し、サステナビリティを考慮した素材選択を行うことで、自然環境の保護に貢献しています。また、何世代にもわたって使用できる耐久性の高い家具を製作することそのものが、持続可能な社会の実現につながるという哲学を持っています。座面の張り替えや修理を行うことで、家具を何十年、何百年と使い続けることができるロングライフデザインを追求しています。

主要デザイナー

ハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner)1914-2007

20世紀を代表する世界的な家具デザイナーであり、「椅子の巨匠」「マスター・オブ・ザ・チェア」と称されるデンマークデザイン界の巨人です。生涯で500脚以上の椅子を創り出し、そのほとんどが名作として世界中で知られています。1914年にデンマーク南部のトゥナーに生まれ、若くして家具職人としての修業を積んだ後、1940年からアルネ・ヤコブセンとの共同プロジェクトでオルフス市庁舎の家具デザインを担当。1943年に独立し、2007年に亡くなるまでの間、家具づくりにおける精度の高さ、クラフトマンシップに対する優れた洞察力、デザインに対する妥協のない姿勢で数々の革新的な作品を生み出しました。

カール・ハンセン&サンとの協働は1949年に始まり、最初の3週間でCH22、CH23、CH24(Yチェア)、CH25という4脚の名作を完成させました。中でもCH24 Yチェアは、アームと背もたれを一体化するという斬新な試みと、印象的なY字形の背もたれにより、デニッシュモダンの真髄を表現した傑作として、70年以上にわたり世界中で愛され続けています。中国明代の椅子「圏椅(クワン・イ)」からインスピレーションを得たこのデザインは、機能性と美しさを完璧に融合させた究極の椅子です。1984年にはデンマーク女王よりナイトの称号を授与され、1995年には故郷トゥナーにウェグナー美術館が開館しました。

コーア・クリント(Kaare Klint)1888-1954

デンマークデザインの灯台とも称される建築家・デザイナーであり、デニッシュモダンの概念の礎を築いた人物です。比例に関する卓越した理解力を持ち、機能主義と古典的美学を融合させた作品を数多く残しました。人体の寸法と動きを徹底的に研究し、家具デザインに科学的アプローチを導入した先駆者でもあります。デンマーク王立芸術アカデミーで教鞭を執り、ハンス・J・ウェグナー、ボーエ・モーエンセン、オーレ・ヴァンシャーなど、後の巨匠たちを育成しました。代表作であるサファリチェアやファーボーチェアは、今なおカール・ハンセン&サンにより製作され続けています。

ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen)1914-1972

「人々のデザイナー」として知られ、質の高い家具を誰もが手に入れられるようにすることを使命としたデザイナーです。家具職人かつ建築家として、人間を中心に据えたデザインを追求し、シンプルで機能的な木製家具を創造することに生涯を捧げました。コーア・クリントとモーエンス・コッホのスタジオで学び、1942年から1950年までFDB(デンマーク生協連合)の家具デザインスタジオの主任デザイナーとして、民主的なデザインの概念を推進しました。カール・ハンセン&サンでは、BM0488Sベンチ、BM0865デイベッド、ハンティングテーブル、デッキチェアセットなど、視覚的な静けさと堅固な機能主義を体現した名作を残しています。

オーレ・ヴァンシャー(Ole Wanscher)1903-1985

モダンデンマークデザインの核となる美学と機能性に不可欠な存在でした。コーア・クリントの下で学び、1924年から1927年まで彼のデザインスタジオで働いた後、独立した家具デザイナーとなります。エジプトやヨーロッパを旅する中で家具デザインを研究し、多様な視覚表現からインスピレーションを得て、独自のデザイン美学を確立しました。後にクリントの後任として王立芸術アカデミーの教授職に就き、デザイナーとしても教育者としても、デンマーク家具デザインの形成に重要な役割を果たしました。1958年、デンマークの新聞Politikenは「ヴァンシャーの椅子を所有することは毎日が冒険であり、数百年後もそうであろう。なぜならそれほど長く持つからだ」と評しました。代表作OW149コロニアルチェアは、細身で湾曲したアームレストが優雅な先端まで上昇し、そのまま床まで続く洗練されたデザインで、古典的でありながら独特にモダンな傑作です。

アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)1902-1971

デンマークを代表する建築家・デザイナーであり、モダニズム建築の巨匠です。建築とインテリアデザインを一体として捉え、トータルデザインの概念を追求しました。1940年、若きハンス・J・ウェグナーとともにオルフス市庁舎の家具デザインを手がけた経験を持ちます。カール・ハンセン&サンでは、彼の建築プロジェクトから生まれた家具を製作しており、機能主義と美学の完璧な融合を体現しています。

ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm)1929-1980

影響力のあるデンマークのデザイナーとして、機能主義的で妥協のないアプローチ、革新的な素材の使用、そしてデンマークの職人技の伝統に根ざした国際的な視点で知られています。スチールやレザーといった素材を大胆に採用し、極限まで洗練されたミニマリズムを追求しました。短いキャリアながら、その職人技と明確な表現は、国際的な影響力を持つタイムレスなデザインを生み出しました。

安藤忠雄(Tadao Ando)1941-

日本を代表する世界的建築家。日本のデザイン伝統とモダンな西洋表現を統合するデザイン哲学に基づいて作品を創造しています。ル・コルビュジエに影響を受けた安藤のスタイルは、ミニマリスティックで革新的、機能性に焦点を当てています。カール・ハンセン&サンとの協働により、東洋と西洋のデザイン思想が融合した独創的な家具を生み出しました。

その他の協働デザイナー

EOOS(マーティン・ベルグマン、ゲルノット・ボーマン、ハラルド・グリュンドル)、ボーディル・ケア、フリッツ・ヘニングセン、モーエンス・コッホ、イルス・クロフォード、リッケ・フロスト、ヴィルヘルム・ラウリッツェン、モーエンス・ラッセン、プレーベン・ファブリシウス、ヨアゲン・カストホルム、マッズ・オドゴーなど、時代を代表する優れたデザイナーたちとの協働を続けています。

代表的なインテリアとその特徴

CH24 Yチェア(ワイチェア)

1950年に発表されて以来、一度も途切れることなく製作され続けているカール・ハンセン&サン、そしてハンス・J・ウェグナーの最も象徴的な傑作です。その名の由来となったY字形の背もたれは、アームと背もたれを一体化するという、それまでの椅子デザインに見られなかった革新的な試みです。中国明代の椅子「圏椅(クワン・イ)」を元にデザインされたチャイニーズチェアをさらにリデザインして誕生しました。

スチームの曲げ木加工で製作された流麗な背もたれと、約120メートルのペーパーコードを熟練職人が1時間かけて丁寧に編み上げる座面。100を超える製作工程のほとんどが手作業で行われ、その一脚一脚に職人の魂が込められています。座面のペーパーコードは、使い込むほどに体に馴染み、通気性が良く夏は涼しく冬は冷たさを感じさせません。背もたれの緩やかなカーブは体を包み込むようにホールドし、ダイニングチェアでありながらラウンジチェアのようなくつろぎを提供します。

ビーチ、オーク、チーク、マホガニー、ウォルナットなど多様な樹種と、オイル、ソープ、ラッカー、SOFT(水性塗料)などの仕上げ方法、さらにナチュラルまたはブラックのペーパーコードの組み合わせにより、無限のバリエーションが可能です。2020年には発売70周年を記念し、イルス・クロフォードとのコラボレーションによるCH24 SOFTシリーズが発表され、水彩画を思わせる9種類の柔らかなカラーが加わりました。世界で最も愛され続けている椅子として、デニッシュモダンの真髄を体現した究極の一脚です。

CH22 ラウンジチェア

1950年、ウェグナーがカール・ハンセン&サンのためにデザインした最初の5脚の椅子のひとつです。ゆったりとした座面と背もたれ、優雅な曲線を描くアームが特徴で、リラックスした時間を過ごすためのラウンジチェアとして設計されました。ペーパーコード張りの座面と背もたれが体を優しく支え、長時間座っていても疲れにくい設計です。Yチェアと同様に、曲げ木技術と手編みのペーパーコードという伝統的な技法により製作されています。

CH23 ダイニングチェア

1950年にデザインされた初期の名作シリーズの一脚。シンプルで洗練されたデザインが特徴で、背もたれとアームが一体化した構造により、軽快でありながら十分なサポート性を備えています。ペーパーコード張りの座面は、Yチェアと同じ技法により丁寧に編まれ、長年の使用に耐える耐久性を持ちます。

CH25 イージーチェア

1950年の最初のコレクションに含まれるイージーチェアで、より深く座れる設計が特徴です。ゆったりとした座面とペーパーコード張りの背もたれが、リラックスした姿勢を自然にサポートします。シンプルな美しさと機能性を兼ね備えた、ウェグナーの初期の傑作です。

CH07 シェルチェア

1963年に発表された革新的な椅子で、チャールズ&レイ・イームズの影響を受けた成形合板を駆使したデザインです。背もたれと座面が一体化したシェル構造により、軽量でありながら十分な強度を持ち、彫刻的な美しさを実現しています。発表当時は斬新すぎて一般に受け入れられませんでしたが、今日では先見性のあるデザインとして再評価されています。座面にはペーパーコードが張られ、伝統と革新が見事に融合した作品です。

OW149 コロニアルチェア(オーレ・ヴァンシャー、1949年)

細身で優雅なアームレストが特徴的な、オーレ・ヴァンシャーの代表作です。アームレストは優雅な先端まで上昇した後、そのまま床まで続くという独特の構造を持ち、視覚的な軽快さと構造的な強度を両立しています。座面には手編みのケーンが用いられ、通気性と快適性を提供します。古典的でありながら独特にモダンな表現は、ヴァンシャーの卓越した美的感覚を示しています。デザイナーや建築家に愛用される、柔軟性と表現の軽さを兼ね備えた名作です。

BM0488S ベンチ(ボーエ・モーエンセン)

ボーエ・モーエンセンの有名なベンチの短いバージョンとして、カール・ハンセン&サンが製品化しました。特徴的な織られた座面、控えめなディテール、そして正確な職人技により、シンプルでありながら機能的な美しさを実現しています。モーエンセンの民主的なデザイン哲学を体現した作品です。

BM0865 デイベッド(ボーエ・モーエンセン、1958年)

1958年に発表された、モーエンセンの「ビルディング・ファーニチャー(組み立て家具)」コンセプトを体現した作品です。個々の家具を時間をかけて「組み立てていく」という考え方に基づき、現代生活の変化するニーズに対応する柔軟性を持っています。堅固なオーク材のベースに支えられたシンプルで機能的なデザインは、タイムレスで適応性のある家具の理想形です。FSC認証を受けたオーク材を使用し、デンマークの職人により手作りされています。

MG501 キューバチェア(ボーエ・モーエンセン、1949年)

1949年にデザインされたアウトドア家具の名作で、デッキチェアとしても知られています。コットンウェービングによる座面と背もたれは、適度な弾力性と通気性を持ち、リラックスした姿勢を自然にサポートします。折りたたみ可能な構造により、収納や持ち運びにも便利です。シンプルでありながら洗練されたデザインは、屋外でも屋内でも使用できる汎用性を持っています。

サファリチェア(コーア・クリント、1933年)

コーア・クリントが1933年にデザインした折りたたみ式のラウンジチェアで、アフリカのサファリチェアからインスピレーションを得ています。キャンバス地の座面と背もたれ、木製のフレームという簡潔な構造でありながら、驚くほどの快適性を提供します。折りたたむことができるため、保管や移動が容易で、機能性と美しさを完璧に融合させたクリントの代表作です。

テーブルコレクション

カール・ハンセン&サンは、椅子だけでなく、多様なダイニングテーブル、コーヒーテーブル、デスクも製作しています。CH327、CH338などのダイニングテーブルは、Yチェアをはじめとする同社の椅子と完璧に調和するようデザインされています。2023年には、Yチェア、CH327、CH338にFSC認証を受けた高級マホガニー材のバージョンが追加され、赤褐色の美しい木目と水性オイル仕上げによる自然な美しさが、コレクションに新たな高級感をもたらしています。

カール・ハンセン&サンの製作技術

ペーパーコード張りの伝統技法

カール・ハンセン&サンの家具を特徴づける最も重要な技法のひとつが、ペーパーコード張りです。デンマーク産の天然パルプを使用し、3枚の紙を細くひねり、さらにそれを1本にねじり合わせることで、驚異的な強度を実現しています。一般の紙ひもとは異なり、繊維の長い高品質なパルプを使用しているため、非常に頑丈で耐久性に優れています。さらに、1本1本を蝋でコーティングすることで、水を弾き汚れがつきにくい特性を持ちます。

Yチェアの座面を編むには、熟練した職人でも約1時間を要します。1脚あたり約120メートルのペーパーコードを使用し、特定のパターンで丁寧に編み上げることで、長年の使用に耐える座面が完成します。最初は少し硬く反発するような感触ですが、使い込むにつれて使用者の体に馴染んでいき、最高の快適性を提供するようになります。この伝統的な手仕事の技術は、オーデンセの工房で師弟制度により次世代へと確実に継承されています。

曲げ木加工技術

Yチェアの優雅な背もたれに代表される曲げ木加工は、カール・ハンセン&サンの家具づくりの核心技術です。1本の木材をスチームで加熱して柔軟にし、型に沿って曲げることで、継ぎ目のない流麗な曲線を生み出します。この技法により、金具を使わず木材本来の美しさを最大限に活かした、強度と美しさを兼ね備えた構造が実現されます。手触りも滑らかで、素材の持ち味を存分に感じることができます。

成形合板技術

CH07シェルチェアなどに用いられる成形合板技術は、複数の薄い単板を接着剤で貼り合わせ、型に沿って成形することで、三次元的な曲面を持つ構造を作り出します。この技法により、軽量でありながら高い強度を持ち、彫刻的な美しさを実現した家具が生まれます。イームズ夫妻の影響を受けつつ、デンマークの伝統的な木工技術と融合させた、カール・ハンセン&サン独自のアプローチです。

木材の選択と仕上げ

カール・ハンセン&サンは、木材の選択に細心の注意を払っています。FSC認証を受けたビーチ、オーク、チーク、マホガニー、ウォルナットなど、最高品質の木材を使用し、それぞれの木材が持つ固有の特性と美しさを最大限に引き出します。仕上げ方法も多様で、オイル仕上げは木目を際立たせ経年変化の美しさを楽しめ、ソープ仕上げは明るく柔らかな表情を、ラッカー仕上げは保護性と光沢を、SOFT(水性塗料)仕上げは環境に優しく柔らかな風合いを提供します。

職人の育成システム

1908年の創業以来、カール・ハンセン&サンは伝統的な師弟制度により、多くの職人を育成してきました。オーデンセ郊外の工房では、今なお見習い職人たちが熟練の家具職人や細工師から直接技術を学んでいます。この制度により、100年以上にわたり蓄積された技術と知識が、次世代へと確実に継承されています。クヌッド・エリック・ハンセン社長は「自分たちの手で経営ができなくなったら魂を失い、ものづくりも変わってしまう」と語り、ファミリービジネスだからこそ実現できるこだわりを大切にしています。

基本情報

ブランド名 Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
創業 1908年10月28日
創業者 カール・ハンセン(Carl Hansen)
現社長 クヌッド・エリック・ハンセン(Knud Erik Hansen)3代目
本社所在地 デンマーク・オーデンセ(Odense, Denmark)
栄誉 デンマーク王室御用達
従業員数 約300名
生産拠点 デンマーク国内(オーデンセ郊外の工房)
主要協働デザイナー ハンス・J・ウェグナー、コーア・クリント、ボーエ・モーエンセン、オーレ・ヴァンシャー、アルネ・ヤコブセン、ポール・ケアホルム、安藤忠雄、EOOS ほか
代表作 CH24 Yチェア、CH22 ラウンジチェア、CH07 シェルチェア、OW149 コロニアルチェア、MG501 キューバチェア ほか
直営店・ショールーム コペンハーゲン、東京、大阪、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、ミラノ、ストックホルム、オスロ ほか
公式サイト https://www.carlhansen.com