Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Carl Hansen & Sønは、1908年にデンマーク・フュン島のオーデンセで創業した家具メーカーである。注文家具の工房として始まり、1915年に工場を設けて手仕事と小規模な量産を併用する体制を築いた。1949年に始まったHans J. Wegnerとの協働を軸に、デンマークの設計者による木製家具を製造している。創業家であるHansen家が経営権を保持し、生産は現在もデンマーク国内で行われる。
事業と製造の実体
Carl Hansen & Søn Møbelfabrik A/Sは、フュン島のGelstedに本社と工場を置く。2002年の代替わりに合わせて、オーデンセ郊外のより大きな設備へ生産を移した。手仕事と機械加工を併用する構成は1915年の工場開設時に定まったもので、現在も工程の多くを人手が担う。
木材の加工では、蒸気で加熱した材を型に沿わせて曲げる工程が中核にある。CH24 ウィッシュボーンチェアの背から肘へ連なる部材はこの方法で成形され、1脚の製造には100を超える工程を要すると同社は説明している。1963年のシェルチェア(CH07)では成形合板による三次元の曲面が用いられ、木材の扱いに別系統の技術が加わった。
座面にはペーパーコードを編む工程が多用される。紙をより合わせて蝋を含ませた紐材で、編み上げは手作業による。CH24の座面には約120メートルが用いられ、熟練した職人でも1脚あたり1時間前後を要する。この技法は工房内の徒弟制によって受け継がれている。
製品に用いる樹種はビーチ、オーク、ウォルナット、マホガニーなどで、仕上げはオイル、ソープ、ラッカー、水性塗料から選ぶ構成を採る。同社はFSC認証材の使用を公表している。
沿革
工房から工場へ
1908年10月28日、指物師のCarl Hansenがオーデンセで自身の工房を開いた。当初は当時主流だったヴィクトリア様式の注文家具を手作業で製作していた。1915年、需要の増加に応じて工房を工場へ拡張する。機械の導入と職人の雇用が可能になり、人気のある品目を小ロットで反復生産する体制が整った。この時期の主力はフュン島の富裕層向けの寝室家具だった。手仕事と量産を組み合わせるこの構成が、以後の同社の基本となる。
1934年、世界恐慌による販売の落ち込みと創業者の健康悪化を受けて、23歳の息子Holger Hansenが経営を引き継いだ。この時期にはSinger社のミシン用木製ケースを受注するなど家具以外の仕事も引き受け、事業を維持している。
Wegnerとの協働
1949年、Holger HansenはHans J. Wegnerをオーデンセに招いた。Wegnerは3週間滞在し、その間に4脚の椅子を設計する。CH25 ラウンジチェアを含むこの一群は、同社で「First Masterpieces」と呼ばれる。翌1950年に4脚とも生産に入り、うちCH24 ウィッシュボーンチェアは以後途切れることなく製造が続いている。
1958年、創業50年を迎えた時点で職人の数は50人を超え、生産の相当部分が輸出に向けられていた。Wegnerの設計による製品の販売がこれを支えている。1963年にはシェルチェア(CH07)が家具職人組合展に出品されたが、当時は受け入れられず、1990年代後半の再投入まで生産されなかった。
経営の継承
1962年、Holger Hansenの早すぎる死により、妻のElla Hansenが経営を引き継いだ。事業経験のないまま会社を維持し、2人の息子であるJørgen Gerner HansenとKnud Erik Hansenを後継として育てている。長男のJørgen Gerner Hansenが経営を担ったのち、2002年に弟のKnud Erik Hansenが引き継いだ。
Knud Erik Hansenの下で、生産設備の移転と販売網の国際化が進む。2013年にコペンハーゲンのBredgade 21に最初の直営店を開設し、その後ニューヨーク、サンフランシスコ、東京、大阪、ロンドン、ミラノ、ストックホルム、オスロへ店舗を広げた。取り扱う設計者も、Wegner以外のデンマークの設計者へ順次拡張されている。
2014年4月2日のWegner生誕100年に際しては、1955年に設計されながら生産されなかったCH88 チェアを初めて製品化した。同じ年、Wegnerが1950年に描き1980年代半ばまで使われていたロゴタイプが再採用されている。
デザイナーとの協働
Carl Hansen & Sønは社内に設計部門を持たず、外部の設計者との協働によって製品を開発してきた。1949年に始まったWegnerとの関係が長期にわたる協働の型を作り、同社は自らをWegnerの設計による家具を最も多く製造する会社と説明している。
2002年以降は、20世紀デンマークの設計者を権利者との合意にもとづいて追加する方針が採られ、Kaare Klint、Ole Wanscher、Børge Mogensen、Arne Jacobsen、Mogens Koch、Poul Kjærholmらの家具が加わった。現行世代ではBodil Kjær、Ilse Crawford、EOOSらとの協働、および安藤忠雄との協働がある。
Hans J. Wegnerの設計思想や経歴について詳しくはHans J. Wegnerプロフィールページをご覧ください。
Kaare Klintの設計思想や経歴について詳しくはKaare Klintプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
Wegnerの設計が製品の中心を占める。1950年に生産が始まったCH24 ウィッシュボーンチェアとCH25 ラウンジチェアに始まり、シェルチェア(CH07)、CH88 チェア、CH44 ラウンジチェア、CH445 ウイングチェアが加わる。ソファではCH162・CH163 ソファとしてCH162 ソファとCH163 ソファがまとめられ、収納と机にはCH825 クレデンザ、CH110 デスクがある。食卓ではCH327 ダイニングテーブルとCH337 ダイニングテーブルがCH24との組み合わせを前提に設計されている。
Kaare Klintの設計では、1914年のファウボーチェア(フォーボーチェア)と1933年のサファリチェア、レッドチェアを扱う。Ole Wanscherのコロニアル ソファ、Arne JacobsenのAJ52 ソサエティテーブル、Poul KjærholmのPK52 プロフェッサーデスクも現行の製品に含まれる。
近年は照明を製品群に加えており、屋外用の家具も扱う。
基本情報
| ブランド名 | Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン) |
|---|---|
| 正式社名 | Carl Hansen & Søn Møbelfabrik A/S |
| 創業 | 1908年10月28日 |
| 創業者 | Carl Hansen |
| 本社所在地 | デンマーク・Gelsted(フュン島) |
| 企業形態 | 非上場(Hansen家による同族経営) |
| 事業内容 | 木製家具および照明の製造・販売 |
| 公式サイト | https://www.carlhansen.com |
Reference
- Carl Hansen & Søn - 110 Years of History
- https://www.carlhansen.com/en/en/about/chs-timeline
- Carl Hansen & Søn - Making An Icon: The Wishbone Chair
- https://www.carlhansen.com/en/en/designers/hans-j-wegner/behind-an-icon-ch24
- Wikipedia - Carl Hansen & Søn
- https://en.wikipedia.org/wiki/Carl_Hansen_%26_S%C3%B8n