概要
CH24 は、ハンス・J・ウェグナーが1949年に設計した椅子である。Y字型の背もたれの支柱から「ウィッシュボーンチェア」とも呼ばれる。カール・ハンセン&サンが1950年から生産を続けている。
座面はペーパーコードを編んで構成される。
特徴・コンセプト
革新的な構造美
トップレールは蒸気曲げにより成形され、背もたれと肘掛けを一本の部材が兼ねる。この曲線は両端の後脚だけで支えると中央が撓むため、支柱を要する。垂直の一本では背中に当たるが、上部で二股に分かれるY字なら、接触する箇所が背骨を避けて左右に分かれる。
座面には約120メートルのペーパーコードを用いる。板で座面をつくれば荷重は面全体で受け止められるが、編んだ紐は荷重で撓んで身体に沿う。紙を撚った紐のため軽く、目のあいだに隙間が残る。
背もたれの由来
1940年代、ウェグナーは明代の中国椅子を出発点とする一連の椅子を手がけた。CH24もその系列に属する。円弧を描く背もたれは、この形式に由来する。
エピソード
誕生の背景
1948年、カール・ハンセン&サンの二代目ホルガー・ハンセンは、アンドレアス・タック社のモーエンス・タックと共同で、ウェグナーに9点の家具デザインを依頼した。この委託プロジェクトから生まれた4脚の椅子(CH22、CH23、CH24、CH25)の中で、CH24は最も商業的に成功した作品となった。
興味深いことに、ホルガー・ハンセンは当初、ウェグナーのデザインに懐疑的であった。「まるで庭園用の家具のようだ」と評し、製造の複雑さにも難色を示した。実際、CH24の製造は当時のカール・ハンセン&サンの工場の能力を超えており、後脚の旋盤加工は外部業者に、トップレールの蒸気曲げ加工は別の工場に委託する必要があった。しかし、この困難を乗り越えて生産を開始した決断は、同社の歴史における最も重要な転換点の一つとなった。
日本での特別な人気
CH24は世界中で愛されているが、特に日本での人気は際立っている。年間生産量の4分の1以上が日本向けであり、この椅子に特化した日本語の書籍まで出版されているほどである。この現象は、明代の中国椅子にインスピレーションを得たデザインが、同じ東アジアの美意識を共有する日本人の感性に深く響いたことを示している。
1990年代半ば、欧米市場の購買層の体格の変化を背景に、座面高を約2センチメートル高くした仕様が導入された。現在も座面高の異なる仕様が併存しており、体格や好みに応じて選べるようになっている。
評価と影響
同じウェグナーによるシェルチェア(CH07)は成形合板で面をつくるのに対し、CH24は棒材と編んだ座面で構成される。編んだ座面はコノイドチェアの一枚板とも、No.14チェア(ウィーンチェア)の籐とも扱いが異なる。
2022年には、複数の色を与えた特別仕様が発表された。1950年の発売以来、生産が続いている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(Met=メトロポリタン美術館)。同館は「Wishbone Chair」として、1949年設計・1950-79年頃の製造で登録している。なお、MoMAが収蔵する 486.1953 は同じウェグナーによる別作品のアームチェアにあたる。
- Met ウィッシュボーンチェア(1949年設計・1950-79年頃製) 収蔵番号 2017.454
ハンス・J・ウェグナーの設計思想や経歴について詳しくはハンス・J・ウェグナープロフィールページをご覧ください。
カール・ハンセン&サンの歴史や他の製品について詳しくはカール・ハンセン&サンブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner) |
|---|---|
| デザイン年 | 1949年 |
| 製造開始年 | 1950年 |
| ブランド | カール・ハンセン&サン(Carl Hansen & Søn) |
| 製品番号 | CH24 |
| 別名 | ウィッシュボーンチェア、Yチェア |
| サイズ | 幅55cm × 奥行51cm × 高さ76cm(座面高45cm) |
| 素材 | オーク、アッシュ、ウォールナット、ビーチ、チーク(フレーム) ペーパーコード(座面) |
| 製造工程 | 100以上の工程(ほぼ手作業) |
| 座面編み時間 | 約1時間(熟練職人による手編み) |
| 使用コード量 | 約120メートル |
| 生産地 | デンマーク |
| 価格帯 | 約11万円~24万円(仕様・樹種により変動/税込目安) |