AJ52 ソサエティテーブル:モダニズムの粋を極めた名作デスク

AJ52 ソサエティテーブルは、1952年にアルネ・ヤコブセンによって設計された、デンマーク・モダニズムの傑作である。バウハウス、機能主義、インダストリアルデザインの三つの思想が融合したこのデスクは、アメリカ・スカンジナビア財団のニューヨークオフィスへの贈り物として誕生した。デンマークの造船・ディーゼルエンジン製造企業であるブルマイスター&ウェインの依頼により制作されたこの作品は、ヤコブセンの全盛期における卓越した設計哲学を体現している。

当初は極めて少数のみが製作され、長らく知られざる名作として歴史に埋もれていたが、2018年にCarl Hansen & Sønによって復刻され、デザイン愛好家に再び開かれることとなった。この復刻版は、ヤコブセンの孫であり、デザイナーでもあるトビアス・ヤコブセンの監修のもと、祖父の遺産を忠実に継承しながら現代に蘇った。

デザインの特徴と構造

AJ52 ソサエティテーブルの最大の特徴は、その繊細でありながら堅牢な構造にある。天板は精緻な質感を持つFrejaレザーで覆われ、チューブラースチールフレームに緊密に巻き付けられている。この革張りの天板はコーナー部分で開き、脚部の構造を露出させるという巧妙な意匠を持つ。

デスクの下部には、6つの引き出しを持つユニットが配置されている。この引き出しユニットは細いメタルチューブによって吊り下げられており、宙に浮かんでいるかのような軽やかな印象を生み出す。オーク、ウォルナット、ブラック塗装オークから選択可能な引き出しと脚部は、常に同じ木材と仕上げで統一される。引き出しユニットは左右どちらにも配置可能で、使用者の利便性を考慮した設計となっている。

統合されたデザイン要素

天板上には、A4サイズとM65封筒が収納可能な2つのコンパートメントを備えた木製の書類棚が配置されている。ガラス側面を持つこの棚は、機能性と視覚的な開放感を両立させている。さらに、円錐形のブラッシュステンレススチール製デスクランプが別売りオプションとして用意されており、これもヤコブセンが設計した統合デザインの一部である。このランプは、デスクのモダニスティックな外観を完成させる重要な要素となっている。

デザイン哲学とコンセプト

AJ52 ソサエティテーブルは、第二次世界大戦後のヤコブセンによる新しい工業材料と製造方法への実験を示す初期の重要な作品である。1950年代初頭、ヤコブセンは工業的な生産技術を用いながらも、洗練されたディテールと高級素材への親和性を保つという、一見矛盾する目標に取り組んでいた。このデスクは、伝統的なデンマーク家具の手工芸的な製作手法から、ミニマリストで生産志向の美学への過渡期に位置する作品として、特別な意義を持つ。

ヤコブセンの機能主義的アプローチの典型例であるこのテーブルは、素材、構造、機能の完璧な調和を追求している。スチール、ベニヤ、レザー、無垢材という異なる素材を組み合わせながら、統一感のある優雅な全体を創出する手腕は、まさにマスターデザイナーの証である。細部へのこだわりと全体の軽やかさのバランスは、ヤコブセンの比例感覚の鋭さを物語っている。

歴史的エピソードと展示

1952年の制作当初、このデスクはAntチェアと並行して開発されていた。どちらのプロジェクトも、新しい材料と技術的手法への実験を反映しており、より大きな設計の自由度とシンプルで軽量な構造の実現を目指していた。1953年春、ヤコブセンはデンマーク美術工芸博物館(現デザインミュージアム・ダンマーク)でソサエティテーブルとAntチェアを共に展示した。この展示会において、両作品は新聞で「高価な贅沢品と手頃な贅沢品」と対比的に評され、その美しさと優雅さが高く評価された。

ヤコブセン自身もこのテーブルを私物として所有し、ストランドヴァイエンの自宅オフィスで愛用していた。さらに、1957年のベルリン国際建築展覧会「インターバウ・ベルリン」では、ヤコブセンが設計した4軒のテラスハウスの1つに設置され、彼の未来的な都市住宅のビジョンを示す重要な要素として展示された。この展覧会では、ウォルター・グロピウス、ル・コルビュジエ、アルヴァ・アアルトといった時代を代表する建築家たちと肩を並べ、ヤコブセンの国際的な評価を確固たるものとした。

評価と受賞

AJ52 ソサエティテーブルは、1950年代のデンマークデザイン史において重要な役割を果たしながらも、長らく限定生産のため広く知られることはなかった。2018年にCarl Hansen & Sønによって復刻されたことで、この忘れられた傑作は再評価され、同年のダニッシュ・デザイン・アワードを受賞するという栄誉を獲得した。

現代のデザイン評論家たちは、このデスクを「ヤコブセンの最高傑作の一つ」として位置づけている。複雑なものをシンプルに見せるヤコブセンの卓越した能力が、このデスクに凝縮されているという評価が一般的である。Carl Hansen & SønのCEO、クヌッド・エリック・ハンセンは「強力な視覚的、機能的、彫刻的な特質を持ち、当然の注目を集めるデザインである」と述べ、同社の誇る高水準の職人技を満たす作品として紹介している。

現代における意義

1952年の誕生から70年以上を経た現在においても、AJ52 ソサエティテーブルはその妥協なきモダニティによって、目の肥えたデザイン愛好家たちから支持され続けている。レザー張りの天板、スリムなチューブラーフレーム、無垢材の引き出しという構成は、制作当時と同様に現代においても印象的な存在感を放っている。

Carl Hansen & Sønによる復刻は、単なる再生産ではなく、ヤコブセンの遺族との緊密な協力のもと、オリジナルの精神を尊重しながらも現代の製造技術と品質基準に適応させた、丁寧な作業の結果である。デンマークで手作業により製造されるこのデスクは、同社が100年以上にわたって培ってきた美しく独特な職人技の伝統を体現している。

ヤコブセンの思想的遺産を管理するトビアス・ヤコブセンは「ソサエティテーブルは、祖父の複雑なものを非常にシンプルに見せる卓越した能力の表現である」と語っており、この家具が持つ本質的な価値は時代を超えて普遍的であることを示唆している。

基本情報

デザイナー アルネ・ヤコブセン
ブランド Carl Hansen & Søn
デザイン年 1952年
復刻年 2018年
サイズ スモール:幅140cm × 奥行70cm × 高さ72cm
ラージ:幅160cm × 奥行70cm × 高さ72cm
素材 無垢材、ベニヤ、スチール、Frejaレザー(ブラック2002またはブラウン2068)
木材オプション オーク、ウォルナット、ブラック塗装オーク
オプション 円錐形デスクランプモジュール(別売)、書類棚、引き出しユニット(左右配置選択可)
受賞歴 2018年 ダニッシュ・デザイン・アワード
生産国 デンマーク