物品や建築物、画像の形状・模様・色彩などの意匠を保護する知的財産権。現行制度では出願日から最長25年で満了し、更新はできない。
意匠権
意匠権とは、物品・建築物・画像の形状、模様もしくは色彩、またはそれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの(意匠)について、意匠法にもとづく登録を受けた者に与えられる知的財産権のこと。
解説
意匠権は、特許庁へ出願して登録を受けることで発生する。創作した時点で自動的に生じる著作権とは、この点が大きく異なる。登録されると、権利者は業としてその意匠および類似する意匠を実施する権利を専有し、第三者が同一・類似の意匠の製品を製造・販売することを差し止められる。
存続期間は出願の時期によって異なる。
- 2020年4月1日以降の出願 — 出願日から最長25年
- 2007年4月1日から2020年3月31日までの出願 — 設定登録日から最長20年
- 2007年3月31日以前の出願 — 設定登録日から最長15年
起算日が設定登録日から出願日へ改められたのは、出願日を起算日とする特許権と揃わず、権利の管理が煩雑であったことによる。いずれの場合も更新の制度はなく、期間の満了によって権利は消滅する。毎年の登録料を納付しなければ、期間の途中でも権利は失われる。
2020年4月1日に施行された改正では、保護の対象が広げられた。それまで「物品」に限られていたところに、画像・建築物・内装の意匠が加わっている。店舗の内装が意匠として登録される例が出てきたのは、この改正による。
家具や照明の分野でこの制度が意識されるのは、期間が満了したあとに何が起きるかという点においてである。意匠権が消滅すると、その意匠を第三者が実施することを意匠法によって差し止めることはできなくなる。20世紀半ばに発表された家具のデザインの多くが、現在では意匠権による保護期間を過ぎているのはこのためである。ただし、権利関係が意匠権だけで決まるわけではない。ブランド名や製品名について商標権が存続していることがあり、意匠登録がなくとも、他人の商品の形態を模倣した商品を販売する行為は不正競争防止法の規制を受ける(日本国内で最初に販売された日から3年間)。満了後の製造をめぐる呼称についてはリプロダクトと復刻で扱う。
著作権との違い
| 比較項目 | 意匠権 | 著作権 |
|---|---|---|
| 権利の発生 | 特許庁への出願と設定登録 | 創作した時点で自動的に発生 |
| 保護期間 | 出願日から最長25年(2020年4月1日以降の出願) | 原則として著作者の死後70年 |
| 主な保護対象 | 物品・建築物・画像・内装の意匠 | 思想または感情を創作的に表現した著作物 |
| 所管 | 特許庁 | 文化庁 |
量産される実用品の形状が著作物として保護されるかについては限定的に解されており、家具や日用品の形状の多くは意匠法の領域で扱われている。制度の目的、権利の発生要件、保護期間のいずれも異なる。
Reference
- 意匠権の存続期間はどのくらいですか。(工業所有権情報・研修館)
- https://faq.inpit.go.jp/FAQ/2024/01/000198.html
- 意匠登録の概要(特許庁)
- https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/torokugaiyo/index.html
- 令和元年意匠法改正特設サイト(特許庁)
- https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/isyou_kaisei_2019.html
- Q9. デッドコピー商品への対策(特許庁)
- https://www.jpo.go.jp/support/ipr/qanda/q09.html
- 著作物等の保護期間の延長に関するQ&A(文化庁)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/kantaiheiyo_chosakuken/1411890.html