概要

LC5は、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンが1934年に設計したソファである。原名は「5 Canapé, Appartement Le Corbusier」。パリの集合住宅イムーブル・モリトールにあるル・コルビュジエ自身の住居兼アトリエのために設計された。カッシーナが1974年に復刻し、現在も生産している。

特徴・コンセプト

フレームが台座とホルダーを兼ねる

スチールパイプのフレームは水平方向に走り、座面を支える台座と背クッションを受けるホルダーの両方を兼ねる。部材を役割ごとに分けず、一つの枠で二つの機能を担わせている。背もたれを低く抑えた比例により、部屋に置いたときの圧迫感が抑えられる。

ソファをベッドに変える

ソファベッド仕様のLC5.Fでは、3つの背クッションがそれぞれ独立してフレームの後方へ回転する。背を倒すと座面の奥行が広がり、一人用の寝台として使える。別のマットレスを持ち込む必要がなく、クッションの向きを変えるだけで用途が切り替わる。限られた住居面積で一つの家具に二つの役割を持たせる方法である。

クッションと張地

現行品のクッションはフェザーとポリウレタンコアを組み合わせる。フレームはポリッシュクローム仕上げのほか、ル・コルビュジエの色彩体系にもとづくセミマット塗装が選べる。張地はレザーまたはファブリックである。中綿に再生ポリエステルを用いた仕様も展開されている。

エピソード

イムーブル・モリトールは、パリ16区とブローニュ=ビヤンクールの境界に建つ集合住宅である。1931年から1934年にかけてル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレが設計し、全面ガラスのファサードを特徴とする。ル・コルビュジエ自身は最上階の2フロアを住居兼アトリエとして使った。LC5は、この住居と仕事場が一体となった空間のために構想されている。

この建物は、2016年にユネスコ世界遺産へ登録された17のル・コルビュジエ建築作品群のひとつに含まれ、修復を経て公開されている。

カッシーナは1964年にル・コルビュジエ作品群の製造ライセンスを取得し、LCシリーズの復刻を始めた。LC5については、1974年にシャルロット・ペリアンの協力のもとクローム仕上げの1サイズで最初の復刻が行われ、1998年に背クッション回転式のLC5.Fが加わった。2014年には当初の設計を再検討した現行仕様が発表され、2人掛と3人掛の2サイズになっている。

評価と影響

LC2 ソファLC4 シェーズロングが1929年のサロン・ドートンヌという公的な発表の場から生まれたのに対し、LC5は設計者が自らの住居のために描いた家具である。ソファと寝台の機能を一つにまとめた構成は、居住面積の限られた住宅で参照されてきた。カッシーナのiMaestriコレクションの一点として、製品には設計者の署名と製造番号が付される。

基本情報

名称 LC5 ソファベッド / 5 Canapé, Appartement Le Corbusier
デザイナー ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン
ブランド カッシーナ(Cassina/iMaestri)
発表年 1934年(復刻は1974年)
デザインの成立国 フランス
分類 ソファ/デイベッド
フレーム スチールパイプ(ポリッシュクロームまたはセミマット塗装)
クッション フェザー+ポリウレタンコア(再生ポリエステル中綿の仕様もあり)
展開 2人掛/3人掛。背クッション回転式のLC5.Fあり
設計の背景 イムーブル・モリトール(パリ、2016年ユネスコ世界遺産登録)内のル・コルビュジエ自邸

Reference