Molteni&C(モルテーニ)
Molteni&Cは、イタリア北部ブリアンツァ地方のジュッサーノに拠点を置く家具メーカーである。1934年にAngelo Molteniが家具工房として創業し、1950年代に手作業から工業的な生産へ移行した。壁面を構成する収納システムを事業の中核とし、部材の断面を細く保ちながら剛性を確保する構造の開発に重点を置いてきた。1994年と2020年にコンパッソ・ドーロの功労賞を受けている。
事業と製造の実体
Molteni&Cはジュッサーノに本社と生産拠点を置く。同社の製品は、収納システム、卓、椅子、ソファ、寝台に及ぶが、技術的な中心にあるのは収納の構造である。
収納家具では、取っ手や枠といった要素を減らしながら、薄い棚板で広い間隔を支え、ガラス扉の枠を細く保つ必要がある。これは見た目の問題ではなく、部材の断面と接合部の設計に関わる条件で、同社はこの分野の開発に人員を割いてきた。1972年に発表された収納システム505は、壁面そのものを構成する装置として設計されたもので、50年以上にわたり仕様を更新しながら生産が続いている。
卓や椅子でも同じ方針が採られ、天板を薄く、脚を細く仕上げる構成が用いられる。装飾を加えるのではなく要素を減らす方向で造形が組み立てられている。
ジュッサーノには同社の資料を収める施設があり、2015年にミラノの近代美術館で開かれた創業80年の展示の資料を中心に、製品や試作、記録が保管されている。
沿革
工房から工業生産へ
1934年、Angelo Molteni(1912年生まれ)が家具の産地として知られるジュッサーノで工房を立ち上げた。手作業による製作から始まり、1950年代には従業員が60人を超える規模になっている。1955年、スイスの建築家Werner Blaserが設計した収納家具が第1回カントゥ国際家具コンクールで一等を受け、これが近代的な家具への転換点となった。
1961年、Angelo Molteniは他の14社とともにミラノサローネの創設に加わった。1968年にはLuca Medaによる収納ユニットIrideを発表し、様式家具から近代的な家具への移行が本格化する。
収納システムと協働の拡大
1972年、Luca Medaによる収納システム505が発表された。1970年代にはAfra & Tobia Scarpaとの協働が始まり、約30年にわたって家具と建築の設計を手がけている。1979年には厨房のブランドDadaがグループに加わった。1994年、イタリアの家具産業における役割に対してコンパッソ・ドーロの功労賞が授与されている。
近年の展開
2000年代にはPatricia UrquiolaやRodolfo Dordoniとの協働が本格化した。2012年のミラノサローネでは、Gio Pontiの家具を限定生産するコレクションが発表されている。Pontiの権利継承者との合意にもとづくもので、1950年代に構想されながら量産に至らなかった設計を現在の技術で製品化する枠組みにあたる。
2016年4月、ベルギーの建築家Vincent Van Duysenがクリエイティブディレクターに就いた。2020年には二度目のコンパッソ・ドーロの功労賞を受け、2024年に創業90年を迎えている。
デザイナーとの協働
Molteni&Cの製品開発は、外部の設計者との協働によって進む。収納システムのように長期にわたって更新される製品では、同じ設計者が世代をまたいで関わる形が採られてきた。Luca Medaは1960年代末から同社の製品の中心を担い、その後の設計者もこの構成を引き継いでいる。
20世紀の協働相手にはWerner Blaser、Luca Meda、Afra & Tobia Scarpaがいる。2000年代以降はPatricia Urquiola、Rodolfo Dordoni、Vincent Van Duysen、Foster + Partnersらが加わった。あわせて、Gio Pontiの設計を権利継承者との合意にもとづいて製品化する枠組みも持つ。
Gio Pontiの設計思想や経歴について詳しくはGio Pontiプロフィールページをご覧ください。
Vincent Van Duysenの設計思想や経歴について詳しくはVincent Van Duysenプロフィールページをご覧ください。
主な製品群
収納システムが製品の基幹をなす。1972年のLuca Medaによる505は、扉、引き出し、棚を組み合わせて幅・奥行き・高さを選ぶ構成で、木材、塗装、ガラス、革から仕上げを選べる。2021年にはNicola Gallizia の設計により仕様が更新された。衣類の収納ではGliss Masterの系列がある。
Gio Pontiの設計にもとづく製品群では、ニューヨークの建物のために設計されたD.859.1 デスク、カラカスの住宅のために手がけられたD.154.2 アームチェアのほか、D.555.1 テーブルとD.357.1 ブックケースがある。いずれも番号を付して限定して生産される。
このほか、卓ではFoster + PartnersやPatricia Urquiolaによる製品、ソファではRodolfo Dordoniによる製品を扱う。
基本情報
| ブランド名 | Molteni&C(モルテーニ) |
|---|---|
| 創業 | 1934年 |
| 創業者 | Angelo Molteni |
| 本社・生産拠点 | イタリア・ブリアンツァ地方ジュッサーノ |
| グループ | 厨房のDada(1979年〜)を含むMolteniグループ |
| 事業内容 | 収納システムを中心とする家具の設計、製造および販売 |
| 公式サイト | https://www.molteni.it |
Reference
- Molteni&C - 公式サイト
- https://www.molteni.it
- Wikidata - Molteni&C
- https://www.wikidata.org/wiki/Q3860301