インフィニートは、イタリアを代表する建築家でありデザイナーのフランコ・アルビーニが、パートナーのフランカ・ヘルグとともに1956年から1957年にかけて創造したモジュラー式シェルフシステムである。その名が示す通り「無限」の可能性を秘めたこの作品は、従来の収納家具の概念を根底から覆し、空間に浮遊するような軽やかさと、構造美を兼ね備えた革新的なデザインとして誕生した。

当初はイタリアのポッジ社から製造されたこのシェルフシステムは、2008年にカッシーナが「イ・マエストリ」コレクションの一つとして復刻し、現代に蘇らせた。天井と床の間に圧力で固定される独自の構造により、壁面への固定を必要とせず、空間の中央に配置して両面から使用できる自立式の家具として、建築的スケールと家具の機能性を見事に融合させた傑作である。

特徴とコンセプト

デザインの背景

インフィニートは、カーサ・フェッラリオという個人邸宅のプロジェクトのために構想された。アルビーニとヘルグは、この住宅に相応しい収納システムを模索する中で、従来の固定的な家具の概念を超越する新しいタイプの家具の可能性を追求した。その成功は、1958年に発表されたLB10という、さらに未来的なバージョンへと発展し、三角形の金属ベースを持つ完全自立型の構造を実現するに至った。

1950年代のイタリアデザイン界は、伝統と革新の間で新たな方向性を模索していた時期であった。アルビーニはイタリア合理主義運動の旗手として、過去の様式を尊重しながらも、現代の技術と材料を駆使して未来志向の作品を生み出した。インフィニートは、この時代精神を体現する象徴的な作品として位置づけられている。

評価と影響

インフィニートは、発表当時から建築・デザイン批評家たちによって高く評価され、イタリアデザインの金字塔として認識されてきた。その革新性は、重力に逆らうような構造、伝統的な家具の規範からの解放、そして工業生産と芸術性の見事な統合にあった。カッシーナによる2008年の復刻は、この作品が半世紀以上を経てなお現代性を失わず、むしろ現代の空間に新たな価値を提供し得ることを証明している。

ミラノトリエンナーレのデザイン美術館は、インフィニートを永久コレクションに加えており、20世紀イタリアデザインの重要な遺産として保存している。この作品は、家具デザインにおける構造的実験の可能性を拡張し、後続の世代のデザイナーたちに多大な影響を与え続けている。アルビーニの探究精神と妥協なき美意識は、インフィニートという形で結実し、時代を超えた普遍的価値を獲得したのである。

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