概要
フランコ・アルビーニ(1905-1977)は、イタリアの建築家・デザイナーである。ミラノ工科大学で建築を学び、1930年に事務所を開いた。構造に必要な部材だけで家具を成立させる方向をとり、1938年のヴェリエロは張力を利用した書架にあたる。ジェノヴァの美術館の展示設計や、ミラノの地下鉄の駅の設計も手がけている。
バイオグラフィー
1905年10月17日、イタリアのロビアーテに生まれた。ミラノ工科大学で建築を学び、1929年に修了している。
1930年にミラノで事務所を開いた。1930年代は雑誌『Casabella』にも関わり、合理主義の建築を論じる立場にあった。
1950年代からジェノヴァの複数の美術館の改修と展示設計を手がけた。既存の建物を残しながら展示の構成を組み直す仕事にあたる。
1962年から1963年にかけてミラノの地下鉄1号線の駅と標識を設計した。ミラノ工科大学とヴェネツィア建築大学でも教えている。1977年11月1日に没した。
デザインの思想と方法
アルビーニが扱ったのは、構造に必要な部材だけで家具を成立させられるかという問題である。棚板を支えるには、板の下に支持を置くのが通例だが、上から吊れば下の部材は要らなくなる。
張力で支える
ヴェリエロは、天井と床の間に張ったワイヤーで棚板を支える書架である。ワイヤーは引っ張りにのみ耐えればよく、断面は極小で済む。棚板がガラスであるため、全体としてほとんど何もない状態に見える。
部材を細くする
インフィニートの書架は、細い金属の支柱に棚板を掛ける。支柱は床から天井まで通し、上下で突っ張って固定する。壁に穴を開けずに設置でき、部屋の中で場所を選ばない。
既存の建物を残す
ジェノヴァの美術館では、既存の建物の構造を残したまま展示の構成を組み直した。展示台と照明を新設し、建築の側には手を加えない。改修の範囲を限定するという判断にあたる。
公共の施設を扱う
地下鉄の駅では、案内の標識、照明、仕上げを統一した体系で設計した。多数の駅に共通する要素を先に決めることで、利用者が場所を認識しやすくなる。
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代表作にみる方法
ヴェリエロ(1938年)
天井と床の間に張ったワイヤーで棚板を支える書架である。ワイヤーは引っ張りにのみ耐えればよく、断面は極小で済む。棚板がガラスであるため、全体としてほとんど何もない状態に見える。当初は自邸のために制作された。→ヴェリエーロ ブックケース
ルイーザ(1951年、ポッジ)
木の骨組みに座面と背を張った椅子である。部材の断面を細く保ち、接合部を見せる。1955年にコンパッソ・ドーロ賞を受けた。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号195.1998)。
フィオレンツァ(1952年、アルフレックス)
高い背もたれを持つ安楽椅子である。木の骨組みに詰め物を張り、頭部を支える部分を独立させる。→フィオレンツァ
インフィニート(1956年)
細い金属の支柱に棚板を掛ける書架である。支柱を床から天井まで通し、上下で突っ張って固定する。壁に穴を開けずに設置でき、部屋の中で場所を選ばない。→インフィニート
ミラノ地下鉄1号線(1962-63年)
駅の内装、案内の標識、照明を統一した体系で設計した。多数の駅に共通する要素を先に決めることで、利用者が場所を認識しやすくなる。ボブ・ノーダとの協働にあたり、1964年にコンパッソ・ドーロ賞を受けた。
評価と影響
アルビーニは一般に、20世紀イタリアの建築とデザインの双方に関わった設計者と評価されている。構造に必要な部材だけで成立させるという方向が、家具に一貫している。
ジェノヴァの美術館の改修と展示設計は、既存の建物を残しながら展示の構成を組み直す例として言及される。改修の範囲を限定するという判断にあたる。
ミラノ地下鉄1号線の設計は、公共の施設で統一した体系をつくった例である。1964年にコンパッソ・ドーロ賞を受けた。
受賞・収蔵
受賞
- 1955年 コンパッソ・ドーロ賞(ルイーザ)
- 1964年 コンパッソ・ドーロ賞(ミラノ地下鉄1号線)
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。
- MoMA ルイーザ アームチェア(1951年) 収蔵番号 195.1998
- V&A 家具(1971年) 収蔵番号 M.60-1996
Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。イタリア国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1938年 | 書架 | ヴェリエーロ ブックケース | Cassina(再製作) |
| 1951年 | 椅子 | ルイーザ | Poggi |
| 1952年 | 椅子 | フィオレンツァ | Arflex |
| 1956年 | 書架 | インフィニート | Cassina(再製作) |
| 1950年代 | 展示 | ジェノヴァの美術館の改修・展示設計 | ジェノヴァ、イタリア |
| 1962-63年 | 公共 | ミラノ地下鉄1号線 | ミラノ、イタリア |
| 1960年代 | 照明 | 照明の各種 | Nemo Lighting(再製作) |
| 1930-70年代 | 建築 | 住宅・公共建築 | イタリア各地 |
プロフィール
| 生没年 | 1905年10月17日〜1977年11月1日 |
|---|---|
| 出身地 | イタリア・ロビアーテ |
| 国籍 | イタリア |
| 活動拠点 | ミラノ |
| 分野 | 建築、家具、照明、展示 |
| 主な協働ブランド | Cassina、Arflex、Nemo Lighting、Poggi |
Reference
- Fondazione Franco Albini
- https://www.fondazionefrancoalbini.com/
- Franco Albini | Cassina
- https://www.cassina.com/ww/en/designers.html
- The Museum of Modern Art Collection
- https://www.moma.org/collection/works/2325
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/