このページについて
PK22 ラウンジチェアは、ポール・ケアホルムが1956年に設計しフリッツ・ハンセンが製造する椅子である。ばね性のあるステンレス鋼のフレームに、革・籐・帆布のいずれかを張った座面を載せる。座ると身体の重みでフレームがわずかに撓む。
このページでは、正規品の仕様と識別、選べる張り地、フレームの撓みがもたらす座り心地、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
ポール・ケアホルムの設計思想や経歴について詳しくはポール・ケアホルム プロフィールページをご覧ください。
PK22 ラウンジチェアのデザインストーリーについて詳しくはPK22 ラウンジチェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
PK22の正規品は、フリッツ・ハンセン(Fritz Hansen, 1872年創業)が「ケアホルム・コレクション」の中核として製造する。フレームにはサテンブラッシュ仕上げのステンレススプリングスチールが使用され、わずか数回の折り曲げで形成された一対の脚部ユニットと、緩やかに下方へ湾曲する二本のクロスバーで構成される。クロスバーの曲線は装飾ではなく、着座時に身体がバーの存在を感じないための機能的配慮である。座面と背もたれは一体成型のシートピースがスチールフレームにマウントされるノックダウン構造で、レザー、籐、キャンバスから選択可能。六角穴付きボルトの黒い頭部さえも意匠の一部として機能する、素材の本質を尊重した設計である。
| 正式名称 | PK22™ Lounge Chair(PK22 ラウンジチェア) |
|---|---|
| 製造ブランド | フリッツ・ハンセン。1982年に別の会社から製造を引き継いだ |
| 製造国 | デンマーク |
| フレーム素材 | ばね性のあるステンレス鋼。つや消しの研磨仕上げ |
| 座面・背もたれ素材 | 帆布、籐、革から選ぶ。革は複数の種別があり、なめし方と仕上げによって手触りと経年の変化が異なる |
| 構造 | ボルトで組み立てる。一体に成形した座面をフレームに載せる |
| サイズ | 幅630 × 奥行630 × 高さ710mm、座面高350mm |
| 重量 | 約11kg |
| 日本参考価格帯 | フリッツ・ハンセンは公式サイトで価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| 保証期間 | 2年 |
| 納期 | 在庫の状況によって変わる。受注生産の場合は期間を要する |
| 受賞歴 | 1957年 ミラノ・トリエンナーレ グランプリ |
| 収蔵 | MoMA トリエンナーレ チェア(1956年) 収蔵番号 138.1968 |
正規品とライセンスを受けていない製品の違い
権利者のライセンスを受けていない同型の製品が流通している。公表されている情報から確認できる差を整理する。仕様が公表されていない項目は「公表なし」と記し、推測では埋めていない。
公表されている仕様
フリッツ・ハンセンは、フレームがばね性のあるステンレス鋼であること、つや消しの研磨仕上げ、選べる張り地の種別と品番、寸法、重量約11kg、デンマークでの製造、2年の保証を公表している。
ライセンスを受けていない製品では、これらの仕様が公表されていない場合が多い。フレームの材質は座ったときの撓み方に現れる。ばね性のない材では、この撓みが生じない。
| 比較項目 | 正規品(フリッツ・ハンセン) | ライセンスを受けていない製品 |
|---|---|---|
| フレーム | ばね性のあるステンレス鋼(公表) | 公表なし |
| 張り地 | 品番まで公表 | 公表なし |
| 寸法と重量 | 幅630×奥行630×高さ710mm、約11kg(公表) | 公表なし |
| 製造国 | デンマーク(公表) | 公表なし |
| メーカー保証 | 2年 | 対象外 |
類似商品・競合との比較
低い姿勢で休む椅子は、身体を受ける仕組みで分かれる。フレームが撓むか、張り地が沈むかによって、座り心地の性質が変わる。
| 比較項目 | PK22 | ハンティングチェア | パイミオチェア |
|---|---|---|---|
| 身体を受ける仕組み | フレームの撓みと張り地 | 張った革の沈み | 成形合板の撓み |
| 張り地の選択 | 帆布/籐/革 | 革 | なし(塗装) |
| 張り地の交換 | 座面ごとの交換になる | 張り替えられる | できない |
| 座面高 | 350mm | 280mm | 330mm |
| 肘掛け | なし | なし | あり |
選び分けの目安
- 張り地を選びたい場合
- 帆布、籐、革から選べる。籐は通気があり、革は経年で色と艶が変わる。帆布は最も軽い印象になる。
- 腕を掛けたい場合
- PK22は肘掛けを持たない。上体を支える箇所は背もたれのみである。
- 組み立てて搬入したい場合
- ボルトで組み立てる構造のため、分解して運べる。
使用感と設置条件
フレームの撓み
フレームのステンレス鋼にはばね性があり、座ると身体の重みでわずかに撓む。詰め物を持たないが、この撓みと張り地の沈みで身体を受ける。
撓みは体重によって変わる。座る人によって沈み方が異なることになる。
フレームがばね性を持つ材でつくられていることが、この座り心地の前提である。
張り地の選択
帆布、籐、革から選ぶ。籐は編み目に隙間があり通気がある。革は複数の種別があり、なめし方と仕上げによって手触りと経年の変化が異なる。
座面は一体に成形され、フレームに載る構造をとる。張り地が傷んだ場合、座面ごとの交換になる。
設置に要する寸法
幅630×奥行630×高さ710mm、座面高350mm。重量は約11kg。
肘掛けを持たない。座面高350mmは一般的な椅子より低く、上体を後ろへ傾けた姿勢になる。立ち上がる際に腕を掛ける箇所がないため、上体の力で起き上がることになる。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
ステンレス鋼は錆びにくい。つや消しの研磨仕上げは、細かい傷が目立ちにくい。ただし研磨の目に逆らって擦ると、跡が残る。
革は使用と日光によって色が濃くなる。なめし方によって変化の現れ方が異なる。乾燥するとひび割れるため、油分を補う。
籐は乾燥すると脆くなる。荷重で編み目が緩む。
帆布は日光で色が褪せる。汚れが染み込む。
日常の手入れ
- フレーム
- 乾いた柔らかい布で、研磨の目に沿って拭く。研磨剤は仕上げを損なう。
- 革
- 乾いた布で埃を払う。年に数回、革用のクリームで油分を補う。
- 籐
- 掃除機のブラシ付きノズルで埃を吸う。水拭きはしない。
- 接合部
- ボルトの緩みを定期的に確かめる。フレームが撓む構造のため、接合部に力がかかる。
どこで買うか
取扱店の調べ方
フリッツ・ハンセンは公式サイトで製品情報を公開している。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。
注文の際に決めるのは張り地である。革は種別によって手触りと経年の変化が異なるため、見本を確かめられるとよい。
実物を確認する
フレームの撓みは、座ってみないと分からない。体重によって沈み方が変わるため、実際に使う人が座って確かめられるとよい。
座面高350mmという低さと、肘掛けがないことによる立ち座りの動作もあわせて確認する。
中古の流通
1956年以降の個体が流通している。1982年以前は別の会社が製造していたため、それ以前と以後では仕様が異なる。相場は年式、張り地、状態で幅があり、一定していない。
確認箇所は、フレームの撓みが保たれているか、研磨面の傷、革のひび割れまたは籐の切れ、ボルトの緩み、座面とフレームの接合部である。
購入前チェックリスト
- 張り地の選択(帆布/籐/革。革は種別により手触りが異なる)
- 設置場所の寸法(幅630×奥行630×高さ710mm)
- 座面高350mm(一般的な椅子より低く、後傾する)
- 肘掛けを持たないこと(立ち上がる際に腕を掛ける箇所がない)
- フレームの撓みが体重によって変わること
- 張り地が傷んだ場合、座面ごとの交換になること
- 中古の場合、フレームの撓みとボルトの緩み
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- フリッツ・ハンセンは公式サイトで価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。張り地で価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- フリッツ・ハンセンの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。
- 座り心地はどうですか?
- フレームのステンレス鋼にはばね性があり、座ると身体の重みでわずかに撓みます。詰め物を持ちませんが、この撓みと張り地の沈みで身体を受けます。撓みは体重によって変わるため、座る人によって沈み方が異なります。
- 張り地はどれを選べばよいですか?
- 帆布、籐、革から選べます。籐は編み目に隙間があり通気があります。革は複数の種別があり、なめし方と仕上げによって手触りと経年の変化が異なります。帆布は最も軽い印象になります。
- 張り地が傷んだら交換できますか?
- 座面は一体に成形されフレームに載る構造のため、座面ごとの交換になります。取扱店にご確認ください。
- 立ち座りはしやすいですか?
- 肘掛けを持たないため、立ち上がる際に腕を掛ける箇所がありません。座面高350mmは一般的な椅子より低く上体を後ろへ傾けた姿勢になるため、上体の力で起き上がることになります。
- 収蔵されている美術館はありますか?
- ニューヨーク近代美術館が収蔵しています(Triennale Chair、1956年、収蔵番号138.1968)。この登録名は、1957年のミラノ・トリエンナーレでの受賞にちなむものです。
- 手入れはどうすればよいですか?
- フレームは乾いた柔らかい布で、研磨の目に沿って拭いてください。目に逆らって擦ると跡が残ります。革は年に数回クリームで油分を補い、籐は掃除機のブラシ付きノズルで埃を吸って水拭きは避けます。フレームが撓む構造のため接合部に力がかかります。ボルトの緩みを定期的にお確かめください。