概要

ハンティングチェアは、ボーエ・モーエンセンが1950年に発表したラウンジチェアである(型番2229)。露出したオーク材のフレームに、真鍮のバックルでサドルレザーを留める。1950年のコペンハーゲン家具職人組合展に「狩猟小屋」を主題とした展示として出品された。現在はフレデリシアが製造している。

特徴・コンセプト

バックルで留める

座面と背もたれの革は、真鍮のバックルで木のフレームに留められる。革は使ううちに伸びるため、張り替えずに締め直せることが必要になる。留め具を隠さず外に出すのは、この調整を使う人が行えるようにするためである。革の裏面にはキャンバスの補強が入る。

接合部も金具も覆われないため、どの部材がどう組まれているかが外から読み取れる。構造をそのまま見せるという扱いは、モーエンセンの他の作品にも共通する。

低い座面と湾曲したアーム

座面は低く設定されている。低い座面は身体を深く預ける姿勢に向く一方、立ち上がりにくくなる。ハンティングチェアはアームレストを湾曲させ、手をかける位置を高くとることで、この点を補っている。座り心地と立ち座りのしやすさを、別々の部材で解いている。

柾目のオーク材

フレームには柾目に木取りしたオーク材が用いられる。柾目は木目が平行に走るため、湿度による寸法の変化が小さい。革を張力で留める構造では、フレーム側が動くと締め具合が変わる。木取りの選択が、構造の安定に直結している。

エピソード

1950年のコペンハーゲン家具職人組合展で、モーエンセンは狩猟小屋を主題とした室内を構成し、その中心にこの椅子を置いた。頑丈な木のフレームに厚い革を組み合わせる構造は、スペインの伝統的な家具に見られるものである。モーエンセンはこの構造に着目し、装飾を外して寸法と比例を整理した。同じ関心は、1958年のスパニッシュチェアにつながっている。

初期の製造は家具職人エルハルド・ラスムッセンの工房が担った。現在はフレデリシアが製造しており、木部の仕上げと革の色に複数の選択肢が用意されている。

評価と影響

歴史上の形式を調べ、現在の生活に合わない部分だけを改めるという進め方は、モーエンセンの師であるコーア・クリントから受け継いだものである。同じ姿勢はスポークバックソファモデル232 チャイナキャビネットにも見られる。革と木と真鍮はいずれも使うほどに色が深まる素材で、経年による表情の変化を前提とした構成になっている。

美術館コレクション

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、1950年のハンティングチェアを収蔵番号W.7-1993で登録している。

基本情報

名称 ハンティングチェア / Hunting Chair(Model 2229)
デザイナー ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen)
ブランド フレデリシア(Fredericia)/初期はエルハルド・ラスムッセン工房
発表年 1950年
デザインの成立国 デンマーク
分類 ラウンジチェア
主要素材 フレーム:オーク無垢材(柾目)/座面・背もたれ:サドルレザー(裏面キャンバス補強)/金具:真鍮
構造 真鍮のバックルで革を留める。伸びに応じて締め直せる
初出 1950年 コペンハーゲン家具職人組合展「狩猟小屋」
収蔵 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(W.7-1993)

Reference

Hunting chair | Victoria and Albert Museum
https://api.vam.ac.uk/v2/objects/search?q=W.7-1993
Hunting Chair 2229 | Fredericia
https://www.fredericia.com/product/hunting-chair-2229