Isokon(アイソコン)

Isokonは、1931年にJack PritchardとカナダのWells Coatesがロンドンで設立した企業を起点とする家具ブランドである。近代的な集合住宅とその備品を一体で計画する事業として始まり、ハムステッドの集合住宅Lawn Road Flatsに用いる家具の必要から製造部門が生まれた。1930年代にWalter GropiusとMarcel Breuerが関わり、成形合板を用いた家具が作られた。1939年に生産が途絶えたのち、1982年にWindmill Furnitureが引き継ぎ、現在はIsokon Plusの名で生産が続いている。

事業と製造の実体

Isokonの製品は現在、ロンドン東部ウォルサムストウの工房で製作される。全品目が手作業を含む工程で作られ、材はバーチ合板が中心となる。

製造技術の中核にあるのは合板の成形である。薄い単板を重ねて接着し、型に沿わせて硬化させることで、単一の部材で曲面と構造を兼ねさせる。アイソコン ロングチェアは、座と背が連続する一枚の面を、両側の枠が支える構成を採る。金属の骨組みを用いず、合板の弾性で身体を受ける方式にあたる。

この技術は事業の成り立ちと結びついている。創業者のJack Pritchardは合板を輸入するエストニア系の企業に勤めており、素材の性質と調達の経路を知る立場から事業を組み立てた。第二次世界大戦の勃発とバルト地域の合板の供給停止により、1939年に生産が止まったのも同じ理由による。

1997年以降は、20世紀の設計の再生産と現行の設計者による新作を並行して扱う構成が採られている。

沿革

集合住宅と家具

1931年、Jack Pritchardと建築家Wells Coatesがロンドンで会社を設立した。名称はIsometric Unit Constructionに由来する。近代的な集合住宅とその備品を計画する事業で、最初の仕事がハムステッドのLawn Road Flats(現Isokon Building)だった。この建物に用いる家具を用意する必要から、家具の製造部門が設けられている。

1935年、バウハウスの創設者Walter Gropiusが設計の統括に就いた。Gropiusがハーバード大学へ移るにあたり、後任としてMarcel Breuerを推している。BreuerはLawn Road Flatsに居住しながら、1936年から1937年にかけて合板の家具を設計した。László Moholy-Nagyは印刷物と記号を担当している。1939年にはEgon Rissが書棚Penguin Donkeyを設計した。

同じ1939年、バルト地域からの合板の供給が止まったことで生産は停止した。

再開と継承

1963年、PritchardはIsokonを再開し、Ernest Raceに Penguin Donkeyと酒器の収納の設計変更を依頼した。アイソコン ロングチェアの生産もこの時期に再開されている。

1982年、Windmill FurnitureのChris McCourtがIsokonを引き継ぎ、1930年代の設計を順次再生産した。1997年にはIsokon Plusの名称となり、Edward Barber & Jay Osgerbyら現行の設計者との協働が始まっている。

デザイナーとの協働

Isokonの製品は二つの経路から生まれる。一つは1930年代の設計の再生産で、当時の資料にもとづいて仕様を起こし直す作業を伴う。もう一つは現行の設計者との新作の開発である。いずれも合板の成形という自社の加工条件が製品の形を規定する。

1930年代の設計者はMarcel Breuer、Egon Riss、Walter Gropius、Gerald Summersらで、1960年代にはErnest Raceが加わった。1997年以降はEdward Barber & Jay Osgerbyをはじめとする設計者との協働が続いている。

主な製品群

Marcel Breuerの設計では、1935年から1936年にかけて作られたアイソコン ロングチェアがある。1932年にBreuerが設計したアルミニウム製の寝椅子を合板に置き換えたもので、荷重を面全体に分散させる構成を採る。1936年ごろのネストテーブル(アイソコン)も同じ系統に属する。

Egon Rissが1939年に設計したペンギン・ドンキーは、文庫判の書籍を収める寸法で作られた書棚で、薄い合板を曲げて左右に湾曲した面を作る構成にあたる。

基本情報

ブランド名 Isokon(アイソコン)
設立 1931年
設立者 Jack Pritchard、Wells Coates
現在の事業体 Isokon Plus(1982年にWindmill Furnitureが引き継ぎ、1997年に改称)
生産拠点 イギリス・ロンドン(ウォルサムストウ)
事業内容 成形合板を用いた家具の製造および販売
公式サイト https://www.isokonplus.com

Reference