歴史的な様式との決別、装飾の排除、工業生産との接続を基盤とする20世紀の造形の潮流。日本語では近代主義と訳される。

モダニズム

モダニズムとは、歴史的な様式からの決別、装飾の排除、工業生産との接続を基盤とする20世紀の造形の潮流のこと。日本語では近代主義と訳される。デザインの文脈ではモダン・デザインとも呼ばれる。

解説

建築とデザインにおけるこの潮流は、いくつかの主張の束として理解できる。過去の様式を引用することをやめること、手仕事や美術工芸の枠組みから離れること、装飾を廃すること、そして工業化した社会にふさわしい形式を新たに打ち立てること。19世紀末から20世紀初頭にかけて、これらが相互に結びついて広がっていった。

理論的な支柱のひとつが機能主義である。形態を機能との関係で決めるというこの立場は、ルイス・サリヴァンの「形態は機能に従う」という言葉に要約されて広まった。アドルフ・ロースが講演「装飾と犯罪」で装飾を批判したこと、ル・コルビュジエが装飾を廃した工業製品の合理性を論じたことも、同じ流れのなかにある。1920年代から30年代の近代建築運動において、この思潮は支配的なものとなった。

家具の分野では、バウハウスにおける取り組みがこの理念を製品の形で示した。スチールパイプを用いた椅子、カンチレバー構造の応用、量産を前提とした部材の構成は、いずれも工業生産との接続という主張を具体化したものである。装飾を削ぎ落とした結果として現れる幾何学的な形は、好みの問題ではなく、この時期の考え方の帰結として理解される。もっとも、素材が金属に限られたわけではない。アルヴァ・アアルトのパイミオチェアは、成形合板によって同じ理念を木の側から展開した例である。

基本情報

日本語表記 近代主義(デザインの文脈ではモダン・デザイン)
主な時期 19世紀末-20世紀半ば。建築運動としては1920年代-30年代が中心
主な地域 ヨーロッパを中心に国際的に展開
中心となる主張 歴史様式からの決別、装飾の排除、工業生産との接続
関連する語 機能主義、ポストモダン、ミッドセンチュリーモダン

語として使うときの注意

モダニズムという語は、美術史や文学史では別の意味で用いられる。そちらでは、先行する様式の拒絶と新しさの追求そのものが本質とされ、絵画における平面性の探求などが議論の中心になる。分野によって指す内容が異なるため、家具や建築の文脈で使う場合は、上記のデザイン上の主張を指していると理解しておく必要がある。

また、ミッドセンチュリーモダンとの関係も混同されやすい。モダニズムは理念を掲げた国際的な運動の名であるのに対し、ミッドセンチュリーモダンは戦後アメリカでの展開を後年に括った時期区分に近い語である。前者が後者を含むという階層関係にある。1960年代末以降、モダニズムの合理主義が排除した装飾性や歴史性を再評価する動きはポストモダンと呼ばれた。

なお、ロースの「装飾と犯罪」は1908年の著作として紹介されることが多いが、講演として最初に行われたのは1910年である。本人が1908年に草稿を用意したと述べたことがこの食い違いの背景にあり、活字になったのは1913年のフランス語版が最初であった。

Reference

モダニズム(artscape)
https://artscape.jp/artword/6870/
ポストモダニズム(デザイン)(artscape)
https://artscape.jp/artword/6772/
機能主義(artscape 現代美術用語辞典)
https://artscape.jp/dictionary/modern/1198458_1637.html
The Long(ish) Read: "Ornament and Crime" by Adolf Loos(ArchDaily)
https://www.archdaily.com/798529/the-longish-read-ornament-and-crime-adolf-loos

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