19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで展開した装飾様式。植物の茎や蔓を思わせる曲線を意匠の基調とする。

アール・ヌーヴォー

アール・ヌーヴォーとは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパで展開した装飾様式のこと。植物の茎や蔓を思わせる曲線を意匠の基調とする。フランス語で「新しい芸術」を意味する。

解説

造形上の共通点は、非対称の曲線を主たる構成要素とする点にある。それまでの様式が過去の建築の語彙を引用してきたのに対し、この様式は植物の生長する形を出発点とした。茎、蔓、花、女性の長い髪といった対象が、直線に還元されずにそのまま線として扱われる。壁面、家具、金物、ガラス、印刷物にわたって同じ線が用いられ、室内の全体を一つの意匠で覆う試みが各地で行われた。

呼称は国ごとに異なる。ドイツ語圏ではユーゲントシュティール、イタリアではリバティ様式、スペインではモデルニスモと呼ばれ、いずれも同時期の近い傾向を指す。名称の違いは、それぞれの地域で運動が別々に立ち上がったことを反映している。

手仕事による装飾を重んじた様式であるいっぽう、工業生産との関係は一様ではない。WMFは1900年前後にこの様式の装飾的な製品を電気めっきの技術で大量に生産し、輸出している。手仕事の意匠を量産の技術で再現する構図であり、様式と製法が必ずしも一致しない例といえる。

第一次世界大戦の前後には流行が退き、装飾を幾何学的に整理するアール・デコ、さらに装飾そのものを排するモダニズムへと関心が移っていった。曲線を主題とする点でこの様式とバウハウス以降の造形は対極に位置するが、素材や工法に即した形を探るという課題設定そのものは引き継がれている。

基本情報

英語表記 Art Nouveau
時期 1890年代〜1910年代初頭
主な地域 フランス、ベルギー、ドイツ、オーストリア、スペイン、イギリス
各国での呼称 ユーゲントシュティール(ドイツ語圏)、リバティ様式(イタリア)、モデルニスモ(スペイン)

Reference

Art Nouveau|Style Guide(Victoria and Albert Museum)
https://www.vam.ac.uk/articles/style-guide-art-nouveau
Art Nouveau|Heilbrunn Timeline of Art History(The Metropolitan Museum of Art)
https://www.metmuseum.org/toah/hd/artn/hd_artn.htm

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