二つの大戦のあいだにフランスを起点として広まった装飾芸術の様式。幾何学的な形、階段状の輪郭、希少な材料の組み合わせを特徴とする。

アール・デコ

アール・デコとは、二つの大戦のあいだにフランスを起点として広まった装飾芸術の様式を指す語のこと。幾何学的な形、階段状の輪郭、希少な材料の組み合わせを特徴とする。英語では Art Deco と書く。

解説

語の由来は、1925年にパリで開かれた現代装飾美術・産業美術国際博覧会(Exposition internationale des arts décoratifs et industriels modernes)の名称にある。ただしこの語が使われるようになったのは博覧会の当時ではない。同時代には「1925年様式」などと呼ばれ、Art Deco の名が定着したのは1966年、パリの装飾美術館で開かれた回顧展「Les Années 25」以降である。1968年に美術史家ベヴィス・ヒリアーが刊行した『Art Deco of the 20s and 30s』がこれを広めた。ミッドセンチュリーモダンと同じく、後年に付けられた名だといえる。

造形上の共通点は、曲線を主体としたアール・ヌーヴォーへの反動として現れた直線性と対称性にある。ジグザグ、シェブロン、階段状に後退する輪郭が繰り返し用いられ、キュビスムの影響も指摘される。素材の面では、マカッサル・エボニーやシャグリーンといった希少材、真鍮やクロムめっきの金属、ラッカー塗装による鏡面が組み合わされた。手仕事による贅沢と機械時代の主題が同居している点が、機能主義とは異なる。

家具では、アイリーン・グレイのドラゴンズ・アームチェアや、ピエール・シャローのラ・レリジューズがこの時期の仕事にあたる。前者は漆と彫刻的な造形を用い、後者は照明を家具として扱った。装飾を捨てずに近代の主題を扱うという方向が、両者に共通している。

基本情報

英語表記 Art Deco(仏 Art déco)
指す時期 おおむね1910年代末-1930年代
語の由来 1925年パリ 現代装飾美術・産業美術国際博覧会
語の定着 1966年「Les Années 25」展、1968年ベヴィス・ヒリアーの著書

Reference

What is Art Deco? From the Archives(ArtDeco.org)
https://www.artdeco.org/archives
Art Deco: 95 Years and Thriving(The New York Public Library)
https://www.nypl.org/blog/2020/11/09/art-deco-95-years-and-thriving
Paris, 1925: Exposition Internationale des Arts Décoratifs(Victoria and Albert Museum)
https://collections.vam.ac.uk/item/O175840

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