概要
LC20 カジエ・スタンダールは、ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレが1925年のパリ万国装飾美術博覧会「エスプリ・ヌーヴォー館」のために設計した収納ユニットである。フランス語で「標準収納棚」を意味する名のとおり、寸法を統一したモジュールを組み合わせて構成する。現在はカッシーナが製造している。
特徴・コンセプト
収納を設備として扱う
この収納の前提には、ル・コルビュジエが「エキップマン(équipement/装備)」と呼んだ考え方がある。住まいを装飾する家具ではなく、生活を支える設備として収納を捉える発想である。個々の家具を部屋に置くのではなく、規格化された箱を積み、必要な場所を仕切って、住まいの装備として収納を組み立てる。
モジュールの規格
現行品は、幅750mm × 高さ750mm × 奥行375mmを標準モジュールとする。棚板は5段階で高さを変えられ、2モジュール構成と3モジュール構成が用意される。カッシーナは複数の固定構成を設定しており、そのなかから用途に合うものを選ぶ形をとる。
素材と脚部
塗装を施した金属フレームに木製のモジュールを組み合わせる。脚部は、細身のクロームメッキの支柱を4本用いる「ピロティ」型と、塗装仕上げのペデスタルベースを2基用いる型から選べる。前者は、建築のピロティを家具の寸法に置き換えた意匠である。
構成の自由度
各モジュールには、オープンの棚、両開きの扉、下開きのフラップ扉が用意される。見せる収納と隠す収納の比率を構成段階で決められるため、書斎の書類整理からリビングの展示まで対応できる。複数台を並べれば、部屋を分節する壁としても働く。
エピソード
エスプリ・ヌーヴォー館は、ル・コルビュジエと従兄弟のピエール・ジャンヌレが共同で設計した実験住居である。同名の雑誌で展開していた建築理論を実物として示すことを目的とし、アール・デコが主流であった博覧会において、装飾を排した空間構成を提示した。カジエ・スタンダールは、その室内を構成する主要な要素であった。
1927年からはシャルロット・ペリアンが設計に加わり、以後LC2 ソファやLC4 シェーズロングに至る一連の家具が生まれる。カジエ・スタンダールはその協働に先立つ時期の作品にあたる。ペリアンは1984年に、この収納ユニットの構成に再検討を加えている。カッシーナは1978年からLC20をコレクションに加え、2016年に仕上げと構成を更新した。
評価と影響
寸法を統一した箱の組み合わせによって収納を構成するという発想は、20世紀後半のシステム収納家具に広く受け継がれた。LC20は、その出発点に位置する作例として参照されている。奥行375mmという寸法は、壁に寄せたときの圧迫感を抑えながら書類や食器を収めるのに足りる。
設計者それぞれの思想や経歴について詳しくはル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンの各プロフィールページをご覧ください。
カッシーナの歴史や他の製品について詳しくはカッシーナブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | LC20 カジエ・スタンダール / LC20 Casiers Standard |
|---|---|
| デザイナー | ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン |
| ブランド | カッシーナ(Cassina/1978年〜) |
| 発表年 | 1925年(パリ万国装飾美術博覧会 エスプリ・ヌーヴォー館) |
| デザインの成立国 | フランス |
| 分類 | 収納家具/シェルフシステム |
| 主要素材 | 塗装金属フレーム、木製モジュール、クロームメッキ脚部 |
| 標準モジュール寸法 | 幅750mm × 高さ750mm × 奥行375mm |
| 構成 | 2モジュール/3モジュール、棚板は5段階で高さ調整可 |
| 脚部 | ピロティ型(クロームメッキ支柱4本)またはペデスタルベース型 |
Reference
- LC20 Casiers Standard | Cassina
- https://www.cassina.com/ww/en/products/lc20.html