銅と亜鉛の合金で、亜鉛をおよそ20パーセント以上含むもの。黄銅ともいう。亜鉛の割合によって色と硬さが変わる。
真鍮
真鍮とは、銅と亜鉛の合金のうち、亜鉛をおよそ20パーセント以上含むもののこと。黄銅(おうどう)ともいい、英語では brass と表記する。
解説
性質を決めるのは亜鉛の割合である。亜鉛が少ないほど赤みが強く軟らかく、多いほど金色に近づいて硬くなる。亜鉛がおよそ35パーセント以下では延性に優れ、プレスや深絞りといった冷間での加工に耐える。40パーセントを超えると強度は上がるが延性は落ちる。45パーセントを超えると脆さが実用に耐えなくなるため、この範囲の外側は使われない。
日本産業規格では銅および銅合金を「C」に続く4桁の記号で表し、真鍮はC2000番台からC3000番台に分類される。銅70対亜鉛30のC2600は七三黄銅と呼ばれ、絞り加工に向く。銅60対亜鉛40のC2801は六四黄銅で、金色に近い色調をもち強度も高い。切削加工を前提とする部品には、鉛を加えて削りやすくしたC3604などが用いられる。同じ真鍮でも、加工方法に応じて材料が選び分けられている。
家具や照明では、脚の先端、支柱、ハンドル、ヒンジ、照明器具のソケットまわりや反射板といった部位に使われる。金に似た色調をもちながら加工しやすく、比較的入手しやすいことが理由である。適度な硬さと延性の釣り合いがよく、切削でも曲げでも扱えるという性質が、細かな金物に向いている。アルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトのゴールデンベル (A330S)は、一枚の真鍮から継ぎ目のないベル型のシェードを成形した例で、この材料の延性がそのまま形に現れている。
扱ううえで押さえておきたいのは、表面が変化していく素材だという点である。空気中では酸化が進み、明るい黄色から次第に落ち着いた褐色へ移っていく。手で触れる箇所は皮脂によって色の変化が早い。この変化を経過として受け入れるか、研磨剤で磨いて元の光沢に戻すかは使い手の判断になる。ただし、あらかじめ透明な塗膜で保護された製品では、研磨するとその塗膜を傷つけてしまう。手入れの前に、塗装の有無を確かめる必要がある。
Reference
- 銅合金(山内金属/日本伸銅協会 伸銅品データブックより)
- https://www.yamauchi-metal.co.jp/cn3/pg112.html
- 真鍮のJIS規格について解説(北東技研工業)
- https://hokutohgiken.co.jp/%E7%9C%9F%E9%8D%AE%E3%81%AEjis%E8%A6%8F%E6%A0%BC%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%A7%A3%E8%AA%AC/