PH 3½-2½ フロアは、ポール・ヘニングセンが設計した三枚シェードシステムをフロアランプに展開した照明である。乳白ガラスの三枚のシェードが上から順に重なり、光源を完全に覆い隠す。上向きの光を遮り、下方へ導きながら、ガラスを透過した拡散光が周囲を照らす。
製造はルイスポールセン。型番の「3½-2½」はシェードの寸法体系を示す記号で、上部シェードが3½(呼称約35cm)、中下部が2½の組み合わせを指す。現行の形になったのは2002年である。
特徴・コンセプト
三枚のシェードは対数螺旋にもとづいて曲面が決められている。ヘニングセンは、シェードの各点が光源から等しい割合で光を減衰させるようにこの曲線を選んだ。結果として、シェード全面にわたって光の分布が均一になり、どの角度から見ても輝度の急な変化が起きない。
シェードは吹きガラスによる三層構造の乳白ガラスで、上面は光沢、裏面はサンドブラストによるつや消しに仕上げられている。この処理の差が、下方への直接光と、ガラスを透過して室内へ広がる光の量を分けている。金属シェードの初期型が下方向のみを照らしたのに対し、ガラス化以降のPHは部屋そのものを明るくする性格を得た。
支柱は鋼、基部はスパン加工の真鍮。仕上げはメタライズド・ブラック、メタライズド・ブラス、高光沢クロームが用意される。ケーブルにスイッチが付く。
背景
ヘニングセンが三枚シェードシステムを設計したのは1925年から1926年にかけてである。このシステムを用いた最初の照明はパリでの博覧会のために設計された。
白熱電球を光源としながら、まぶしさを抑え、必要な場所へ光を届け、柔らかい影をつくる。この課題に対して、ヘニングセンは科学的な手法で臨んだ最初の設計者だった。型番はシェードの寸法を表し、上部シェードごとに対応する中部・下部シェードの組が用意される。2/2のような「純粋型」では上部シェードが約20cmで、以下がそれに対応する。
3½-2½のような組み合わせは、ペンダントをより低い位置に吊りたいという要望から生まれた混成型にあたる。同じシステムはフロア・テーブル・ウォールの各形式に展開された。長年にわたり約1,000種のモデルが生産され、三枚シェードのファミリーは現在も19のバージョンが供給されている。
評価
まぶしさを抑えるという考え方は、同じルイスポールセンのPH アーティチョークが多数の羽根で光源を覆う構成にも、パンテラ フロアが半球のシェードとベースの二つの曲面で受ける構成にも引き継がれている。三枚シェード型は、そのなかで重なる面の数によって光を分ける形式にあたる。
実務では、ソファやアームチェアの脇に置く読書灯として選ばれることが多い。高さ約130cmは、着座時の目線よりシェードが上に来る寸法で、座った位置から光源が見えない。E27ソケットのため光源の選択に幅があり、色温度や光束を用途に合わせて決められる。
一方で、シェードが吹きガラスであるため重量は上部に集中する。基部の直径は約240mmで、動線上に置く場合は接触に注意が要る。
ポール・ヘニングセンの設計思想や経歴について詳しくはポール・ヘニングセンプロフィールページをご覧ください。
ルイスポールセンの歴史や他の製品について詳しくはルイスポールセンブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ポール・ヘニングセン / Poul Henningsen |
|---|---|
| 三枚シェードシステムの設計 | 1925〜1926年 |
| 現行形の導入 | 2002年 |
| ブランド | ルイスポールセン / Louis Poulsen |
| カテゴリー | フロアランプ |
| 素材 | シェード:吹きガラス(三層乳白ガラス) / 支柱:鋼 / 基部:真鍮 |
| 仕上げ | メタライズド・ブラック、メタライズド・ブラス、高光沢クローム |
| サイズ | 高さ 約1,300mm / 上部シェード径 約330mm / 基部径 約240mm |
| 重量 | 約3.5kg |
| ソケット | E27 |