母材より融点の低いろうを溶かし、母材を溶かさずにすき間へ流し込んで金属同士をつなぐ接合方法。450℃以上のろうを用いる点で、はんだ付けと区別する。
ろう付け
ろう付けとは、接合する金属より融点の低い「ろう」を溶かし、母材そのものは溶かさずに、部材のすき間へ流し込んで固めることで金属同士をつなぐ接合方法のこと。日本産業規格 JIS Z 3001-3 は、450℃以上の融点をもつろうを用いる接合を「ろう付」と定め、450℃未満のはんだを用いる「はんだ付」と区別している。英語では brazing と呼ぶ。
解説
仕組みの要点は、母材を溶かさないことにある。接合部を加熱してろうの融点まで温めると、溶けたろうが母材の表面になじんで広がり(ぬれ)、表面張力によって部材のわずかなすき間へ吸い込まれていく(毛管引力)。冷えて固まったろうが両方の母材と結びつき、継手ができる。溶けるのはろうだけなので、母材の形が崩れず、熱による歪みが小さい。薄い板や細い線材、互いに種類の異なる金属を接合できるのはこのためで、鋼と真鍮、ステンレス鋼と銅といった組み合わせにも用いられる。加熱には、ガスの炎をあてるトーチ加熱のほか、炉に入れて全体を温める炉中加熱、高周波で局所を温める誘導加熱がある。
家具や照明では、銀を主成分とする銀ろうを用いる「銀ろう付け」が多い。銀ろうは JIS Z 3261 で成分ごとに規格化され、一般に600℃台後半から700℃台で溶ける。流れがよく、鉄、銅、真鍮、ステンレス鋼のいずれにも使えるため、金属工芸から照明器具の組み立てまで幅広く選ばれてきた。ただし、母材表面の酸化物を取り除いてぬれを助けるフラックスが欠かせず、作業後には腐食の原因になる残渣を洗い落とす必要がある。銅同士の接合に使うりん銅ろうはフラックスを省けるが、りんが鉄やニッケルと化合物をつくるため、鋼の接合には使えない。
造形上の利点は、継ぎ目を目立たせずに部材を連続させられることにある。カイザー・イデル 6631 Luxusでは、手作業で研磨した真鍮の部品を銀ろう付けでつなぎ、その上にめっきを施している。ヴォイド ペンダントは、プレスと旋盤で成形した2枚の金属壁をろう付けで閉じ、二重壁のシェードを継ぎ目なく仕上げる。ハウ・ハイ・ザ・ムーンの日本製モデルは、エキスパンドメタルの端部をろう付けでつなぎ、その後にニッケルめっきを施す。いずれも、接合の痕跡を研磨とめっきで覆い、金属の面や線を一続きに見せることを前提とした工程である。
限界もある。ろうは母材より低い温度で溶けるため、高温にさらされる部位には向かない。継手の強さはすき間の精度とぬれの状態に左右され、すき間が広すぎるとろうが充填されず、狭すぎると流れ込まない。ろうの色が母材と異なる場合、研磨した面にろう目として現れることがあり、めっきや塗装で覆わない仕上げでは継ぎ目の位置が読み取れる。
溶接・はんだ付けとの違い
| 比較項目 | ろう付け | 溶接 | はんだ付け |
|---|---|---|---|
| 母材 | 溶かさない | 溶かして一体化する | 溶かさない |
| 接合材の融点 | 450℃以上 | 母材と同等(溶加材を使う場合) | 450℃未満 |
| 熱による歪み | 小さい | 大きくなりやすい | 小さい |
| 異種金属の接合 | できる | 組み合わせが限られる | できる |
Reference
- JIS Z 3001-3:2008 溶接用語-第3部:ろう接(日本産業規格)
- https://kikakurui.com/z3/Z3001-3-2008-01.html
- ろう付け基礎知識(株式会社佐藤製作所)
- https://sato-ss.co.jp/lookingfor/sliver-brazing/
- りん銅ろうと銀ろうの違いとは?(島田工業株式会社)
- https://www.shimadaind.com/knowledge/りん銅ろうと銀ろうの違いとは?/