金属の表面にニッケルの層を析出させる表面処理。やや黄みを帯びた白い色調で、クロムめっきの下地にも用いられる。空気中でわずかに曇る。

ニッケルめっき

ニッケルめっきとは、金属の表面にニッケルの層を析出させる表面処理のこと。家具や照明で一般に指すのは、電気を用いて皮膜をつくる電気ニッケルめっきである。ニッケルメッキとも表記し、英語では nickel plating と呼ぶ。

解説

ニッケルめっきは、硫酸ニッケルと塩化ニッケル、ホウ酸を主成分とする「ワット浴」と呼ばれるめっき液に部品を浸し、電流を流して表面にニッケルを付着させる方法が基本である。密着性のよい皮膜が得られるため、他のめっきの下地としても広く使われる。めっき液に光沢剤を加えると、皮膜が素地の細かな凹凸を埋めながら成長し、鏡のような光沢面ができる。光沢剤を減らした半光沢、加えない無光沢の皮膜もあり、光沢剤を使わないものの方が皮膜は緻密で腐食に強い。表面を細かく荒らして光を拡散させた「サテンニッケル」は、鏡面の反射を抑えた仕上げとして家具や照明の金属部に用いられる。

色は、やや黄みを帯びた白である。青みのある白色を示すクロムめっきに比べると温かみのある色調で、真鍮ほど強くは黄色に寄らない。この色の差が、家具や照明の見え方を左右する。ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトバウハウス テーブルランプ WG24では、ガラスの支柱の内側に通した金属管と引き紐の玉にニッケルめっきが施され、透明な素材越しに鈍く光る。プラットナー ラウンジチェアの線材の束は、磨き上げたニッケル仕上げを標準とし、線が集まる部分に柔らかな光の帯をつくる。ハウ・ハイ・ザ・ムーンでは、エキスパンドメタルの網目にめっきの反射が重なることで、視点を動かすたびに面の見え方が変わる。

ニッケルの皮膜は空気中でわずかに変色し、表面が硫化や酸化によって曇る。この性質があるため、装飾用途では美観を保つ目的でニッケルの上にごく薄いクロムを重ねるのが一般的で、日本産業規格 JIS H 8617「ニッケルめっき及びニッケル-クロムめっき」は、素地の金属と使用環境に応じてニッケル層の最小厚さを等級として定めている。逆に言えば、クロムを重ねずニッケルのまま仕上げた製品は、その曇りや色の変化を含めて設計されているといえる。1920年代の金属工房の製品や、20世紀半ばの北欧やイタリアの照明にニッケル仕上げが多いのは、クロムめっきの普及以前からある処理であることと関わっている。

手入れは、乾いた柔らかい布で拭くことが基本になる。研磨剤を含むクリーナーや金属たわしは皮膜を削り、素地の露出した箇所から錆が広がる。曇りが気になる場合は、めっき用の柔らかい磨き布を用いる程度にとどめ、水分を残さない。なお、電気を使わず化学反応で皮膜をつくる無電解ニッケルめっきは、均一な厚さで析出する別の処理であり、装飾よりも精密部品の防食や耐摩耗の目的で用いられる。

クロムめっきとの違い

比較項目 ニッケルめっき クロムめっき(装飾用)
層の構成 ニッケル単層(下地に銅を置く場合もある) ニッケル層の上にごく薄いクロム層を重ねる
色調 やや黄みを帯びた白 青みを帯びた白
経年変化 空気中でわずかに曇る クロムの酸化皮膜が下のニッケルを保護し、変色しにくい

Reference

JIS H 8617:1999 ニッケルめっき及びニッケル-クロムめっき(日本産業規格)
https://kikakurui.com/h8/H8617-1999-01.html
初心者でもわかるニッケルめっき完全解説(三和メッキ工業)
https://www.sanwa-p.co.jp/mekki/nickel/
ニッケルめっきおよびニッケル-クロムめっき(JIS H 8617:1999 抜粋・ミスミ)
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/surface_treatment_technology/st01/c1675.html

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