金属の表面にクロムの層を電気的に析出させる表面処理。家具に用いられるのは、下地の上に薄くクロムを載せた装飾クロムめっき。
クロムめっき
クロムめっきとは、金属の表面にクロムの層を電気的に析出させる表面処理のこと。家具や照明で用いられるのは装飾クロムめっきで、ニッケルクロムめっきとも呼ばれる。クロームめっき、クロームメッキとも表記する。
解説
装飾クロムめっきは単一の層ではない。素地の上に銅とニッケルのめっきを比較的厚く施し、その最表層にクロムを載せる多層の構成をとる。表層のクロムは0.1から0.5マイクロメートル程度で、0.3マイクロメートル前後とすることが多い。厚くすればよいというものではなく、0.5マイクロメートルを超えると皮膜に割れが生じて耐久性が落ちる。
層ごとに役割が分かれている点がこの処理の要点である。鏡のような光沢と平滑さをつくり出しているのは、実は下地の光沢ニッケル層である。最表層のクロムは、空気中の酸素と結びついて透明で緻密な酸化皮膜をつくり、その下のニッケルが変色したり腐食したりするのを防いでいる。クロム特有の青みを帯びた白い色調が加わるのもこの層による。つまり見た目の美しさはニッケルが、それを保つ働きはクロムが担っている。
必要な厚さは置かれる場所で変わる。JIS H 8617「ニッケルめっき及びニッケル-クロムめっき」は、素地と使用環境に応じた等級を定め、等級ごとに下地ニッケルの最小厚さと耐食性試験の条件を示している。屋内で使う製品と屋外にさらされる製品とでは、同じ外観でも要求される仕様が異なる。
スチールパイプを用いた家具の輝きはこの処理によるものが多い。ワシリーチェア(クラブチェアB3)は、継ぎ目のない管を連続した曲線に曲げる構成と、全体にめっきを施せることが噛み合った例である。カンチレバー構造の椅子やミッドセンチュリー期の金属脚が持つ均質な光沢も、素材の金属そのものの色ではなく、めっき層の色である。
めっき液の種類には注意すべき変化がある。従来は六価クロムを含む浴が用いられてきたが、環境と健康への影響から、三価クロムを用いる浴への転換が進んだ。導入当初は色調と耐食性に差があるとされたが、めっき液と電解条件の改良により、現在では実用上の差は小さくなっている。
手入れの面では、表層が薄いことが効いてくる。研磨剤入りのクリーナーや金属たわしで擦ると、薄いクロム層が失われて下地のニッケルが露出する。露出した箇所からは腐食が進み、点状の錆となって広がる。柔らかい布で乾拭きし、水分を残さないことが基本になる。なお、同じ金属の表面を扱う処理でも、樹脂の膜を載せる粉体塗装とは仕組みが異なる。
Reference
- クロムめっき(三和メッキ工業)
- https://www.sanwa-p.co.jp/mekki/deco_chrome/
- 三価/六価クロムめっき(サン工業)
- https://www.sun-kk.co.jp/plating/list/5aed4c8e8321f606836c8dfc31801e1c75430570.php
- ニッケルめっき及びニッケル-クロムめっき(JIS H 8617:1999 抜粋・ミスミ)
- https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/surface_treatment_technology/st01/c1675.html