概要
HL 1は、ブラウンが1961年に発売した卓上扇風機である。設計はラインホルト・ヴァイスによる。円筒形の本体に横流ファンを収め、透明なアクリルのカバーで覆う。羽根を丸いガードで囲うという、それまでの卓上扇風機の形から離れた構成をとる。
特徴・コンセプト
羽根を横向きの円筒にする
従来の卓上扇風機は、プロペラ状の羽根を円形のガードで囲う形式が主流だった。風量を増やすには羽根の直径を大きくする必要があり、本体もそのぶん大きくなる。
HL 1は細長い円筒状のローターを本体に横向きに収めた。この方式は横流式と呼ばれ、ローターの全長にわたって空気を取り込み、同じ幅の帯状の気流として吐き出す。直径を大きくせずに風量を確保できるため、本体を小さくまとめられる。
操作部を面に収める
風量の切り替えは2段階で、スイッチはモーターハウジングの右端に埋め込まれる。つまみやレバーを外に出さず筐体の面に収めることで、外形が円筒と平面だけで構成される。
本体はスタンドに対して首を振り、送風方向を変えられる。ベースプレートには壁掛け用の穴がある。
カバーが向きを決める
ローターを覆う透明なアクリルのカバーは回転する。カバー自体が気流の向きを調整する役を担うため、風向を変えるための別の部材が要らない。
素材
エナメル塗装のスチール製ベース、クロムめっきのスタンド、樹脂製のハウジング、透明アクリルのカバーによる。ライトグレーを基調とする。
エピソード
ラインホルト・ヴァイスは、大工と建築を学んだのちウルム造形大学を修了し、1959年にブラウンへ入社した。当時デザイン部門を率いていたのはディーター・ラムスで、HL 1はヴァイスがブラウンで手がけた最初の製品にあたる。ヴァイスは1967年まで同社に在籍し、その間にトースター、グリル、ヘアドライヤーなどを設計している。
後継機のHL 70は、ヴァイスとユルゲン・グロイベルが手がけた。HL 1で確立した円筒形の構成は、この系統に引き継がれている。
評価と影響
同じブラウンのブラウン LE1 スピーカーと同様、構造を覆い隠さず素材の面をそのまま見せる構成をとる。
同時期にブラウンが販売したファンヒーターは型番が似ているが、ディーター・ラムスが1959年に設計した別の製品にあたる。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。V&Aの記録は型番をHL1Cとしている。
- MoMA デスクファン(モデルHL1、1961年) 収蔵番号 135.1963
- V&A デスクファン モデルHL1C(1961年) 収蔵番号 W.15-2024
ラインホルト・ヴァイスの設計思想や経歴について詳しくはラインホルト・ヴァイスプロフィールページをご覧ください。
ブラウンの歴史や他の製品について詳しくはブラウンブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ブラウン HL 1 デスクファン / Braun HL 1 Desk Fan |
|---|---|
| デザイナー | ラインホルト・ヴァイス(Reinhold Weiss) |
| ブランド | ブラウン(Braun) |
| 発表年 | 1961年 |
| デザインの成立国 | ドイツ |
| 分類 | 卓上扇風機 |
| 送風方式 | 横流式(円筒状のローターを横向きに収める) |
| 主要素材 | 樹脂、エナメル塗装スチール、クロムめっきスチール、アクリル |
| 機能 | 風量2段階、首振り、壁掛け用の穴。カバーの回転で風向を調整 |
| 後継モデル | HL 70 |
| 収蔵 | MoMA(135.1963)、V&A(W.15-2024) |
Reference
- Desk Fan (model HL1) | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/4080
- Desk Fan model HL1C | Victoria and Albert Museum
- https://api.vam.ac.uk/v2/objects/search?q=W.15-2024