メタクリル酸メチルを重合させた透明な熱可塑性樹脂。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ともいう。光の通りはガラスに並び、比重は約半分。板はキャスト板と押出板に分かれる。

アクリル樹脂

アクリル樹脂とは、メタクリル酸メチルを重合させてつくる透明な熱可塑性樹脂のこと。正式にはポリメタクリル酸メチル(PMMA)といい、メタクリル樹脂とも呼ぶ。英語では acrylic resin。

解説

透明な樹脂のなかでも光の通りがよく、住化アクリル販売が公表する代表値では全光線透過率が92.6パーセント(JIS K 7361-1)、屈折率が1.49である。比重は1.19で、ガラスのおよそ半分にとどまる。同じ面積の板をつくったときに軽く、割れても破片が鋭利になりにくいため、大型の水槽や照明のカバーのように、ガラスでは重量と破損が問題になる場所で使われてきた。屋外でも黄変が進みにくく、看板や建材にも用いられる。

板材は製法によって性質が分かれる。キャスト板は2枚のガラス板の間に液状の原料(シラップ)を注入し、その場で重合させてつくる。小ロットの調色や厚板に対応でき、分子量が高いため切削や接着に耐える。押出板は加熱した樹脂を連続的に押し出してつくるもので、板厚の精度とコストで優れる。三菱ケミカルはキャスト板をL・S、押出板をE・EXとして系列を分けている。

家具・照明で使われる理由は、透明であることだけではない。キャスト法は液体から固体へ変わる過程を型の中で完結させるため、その途中で内部に物を置けば、硬化後もその位置に留まる。ミス・ブランチが造花の薔薇を板の厚みの中に固定できるのは、この工程による。拡散剤を練り込んだ乳半板は光を面全体へ散らすため、照明のシェードやカバーにも広く用いられる。

弱点は表面と溶剤にある。表面硬さはアルミニウムと同程度で、砂ぼこりを含んだ乾いた布で擦ると細かい傷が入り、蓄積すると曇る。手入れは、ほこりを流してから中性洗剤と柔らかい布で行う。有機溶剤に触れると、応力の掛かった部分にクレーズと呼ばれる微細なひびが生じるため、アルコールを含む洗剤やシンナー類は使わない。吸水率は飽和状態で2.1パーセントあり、温度と湿度に応じて伸縮する。連続して使える温度の上限は80度前後で、熱源のすぐ近くには置けない。

ガラス・ポリカーボネートとの違い

透明な板として置き換えの候補になる3者は、透過率よりも、重さ・欠けやすさ・傷の入りやすさで選び分けられる。

比較項目 アクリル樹脂 ガラス ポリカーボネート
比重 約1.19 約2.5 約1.2
衝撃 ガラスより割れにくいが、樹脂としては欠けやすい 割れる 3者のなかで最も割れにくい
表面の傷 付きやすい 付きにくい アクリル樹脂より付きやすい
耐候性 黄変しにくい 変化しない 紫外線で黄変しやすい
有機溶剤 クレーズが生じる 影響を受けない アルカリと一部の溶剤に弱い

詳細はポリカーボネートの項を参照。

Reference

一般的性質 | 技術情報 | 住化アクリル販売株式会社
https://www.sumika-acryl.co.jp/tech/tech01.html
溶剤クレージング | 技術情報 | 住化アクリル販売株式会社
https://www.sumika-acryl.co.jp/tech/tech11.html
取り扱い上のご注意 | 技術情報 | 住化アクリル販売株式会社
https://www.sumika-acryl.co.jp/tech/tech15.html
アクリル樹脂板 アクリライト | 製品情報 | 三菱ケミカル株式会社
https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/mma_pmma/product/1200326_9330.html
アクリライト | 三菱ケミカル株式会社
https://www.m-chemical.co.jp/acrylite/
アクリルキャスト板スミペックス | 製品情報 | 住化アクリル販売株式会社
https://www.sumika-acryl.co.jp/products/sumipex/

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