概要
クロノパックは、ジョージ・ネルソンのクロック・コレクションに含まれる置き時計である。ウォールナット材をくり抜いたような丸みのあるケースを、湾曲した真鍮のベースが支える。黒い文字盤には数字がなく、インデックスと針だけが置かれる。オリジナルはハワード・ミラー・クロック・カンパニーが製造し、現在はヴィトラが復刻品を製造している。
特徴・コンセプト
木と金属の対比
ケースはウォールナット材で、木目に個体差がある。これを支える真鍮のベースは曲線を描き、金属の光沢が木の質感と対をなす。同じ塊のなかで、上部を有機的な木、下部を反射する金属とすることで、置いたときの見え方が上下で変わる。文字盤はアクリルガラスで覆われ、黒地に針が浮かぶ。
数字を持たない文字盤
ネルソンのクロック・コレクションに共通して、文字盤から数字が取り除かれている。時刻はインデックスと針の位置から読み取る。数字という記号が消えることで、正面から見たときの情報量が減り、時計というより形そのものが先に見える。
置き場所を選ばない寸法
幅115mm、奥行115mm、高さ169mm。デスクやサイドテーブル、ナイトテーブルの上に収まる大きさである。
エピソード
ネルソンのクロック・コレクションは1948年から1960年にかけて手がけられ、ハワード・ミラー・クロック・カンパニーが製造した。ネルソンの没後、図面や資料を含むアーカイブはヴィトラ・デザイン・ミュージアムに託されている。ヴィトラは1999年からネルソンのクロックの復刻生産を始め、クロノパックもその一つとして、当初の設計資料に基づきネルソン・エステートの承認のもとで製造されている。ムーブメントは現代のクオーツ式に置き換えられ、単3電池1本で動く。
評価と影響
ネルソンのクロック・コレクションは、時計を計測器ではなく室内の造形物として扱った例として知られる。クロノパックは壁掛けではなく置き時計としてこの考え方を示したもので、小型でありながら素材の対比が明確に現れる。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、ネルソンおよびジョージ・ネルソン・アソシエイツによる壁掛け時計を複数登録している。アスタリスク・ウォールクロック(収蔵番号1273.2018、1950年)とボール・ウォールクロック(1276.2018、1952年頃)で、いずれもジョージ・R・クラヴィス2世コレクションからの寄贈である。クロノパック自体は同館の登録記録には含まれない。
ジョージ・ネルソンの設計思想や経歴について詳しくはジョージ・ネルソンプロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | クロノパック / Chronopak(Desk Clocks) |
|---|---|
| デザイナー | ジョージ・ネルソン(George Nelson) |
| ブランド | ヴィトラ(Vitra/1999年より復刻) |
| オリジナル製造 | ハワード・ミラー・クロック・カンパニー |
| 発表年 | 1948年頃(クロック・コレクションは1948〜1960年) |
| デザインの成立国 | アメリカ |
| 分類 | 置き時計/デスククロック |
| 主要素材 | 本体:ウォールナット材/ベース:真鍮/風防:アクリルガラス/文字盤:ブラック |
| サイズ | 幅115mm × 奥行115mm × 高さ169mm |
| ムーブメント | クオーツ式(単3電池1本) |
Reference
- Asterisk Wall Clock | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/292702
- Ball Wall Clock (model 4755) | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/292712