アルミニウムを陽極として電解し、表面の酸化皮膜を人工的に厚くする表面処理。陽極酸化処理ともいう。
アルマイト
アルマイトとは、アルミニウムを陽極として電解液の中で電流を流し、表面の酸化皮膜を人工的に厚く成長させる表面処理のこと。陽極酸化処理ともいい、英語では anodizing と表記する。
解説
アルミニウムは空気中で自然に酸化皮膜をつくるが、その厚さは1ナノメートル程度にとどまる。この皮膜を電気化学的に成長させ、耐食性と耐摩耗性を高めるのがこの処理である。硫酸やしゅう酸などの電解液に製品を入れ、これを陽極として電流を流すと、表面に厚い皮膜が形成される。
めっきとの違いを押さえておく価値がある。めっきは素地の上に別の金属を積み重ねて被覆するのに対し、アルマイトは素地そのものが変化して皮膜になる。素地と皮膜のあいだに界面が生じないため、剥がれるという壊れ方をしない。クロムめっきで問題になる、表層が失われて下地が露出するという事態が起きにくいのはこのためである。
皮膜には微細な孔が生じるため、染料を吸わせて着色できる。電解液の種類と濃度、温度、電流の密度、合金の種類を組み合わせることで、銀、金、褐色、黒などの色調が得られる。着色したのち封孔処理で孔を閉じることで、色が抜けにくくなる。家具や照明の金属部材が、塗装とは異なる金属質の色をもつ場合、この処理によることが多い。
制約もある。対象はアルミニウムとその合金に限られ、合金の種類によって仕上がりの色調が変わる。皮膜は硬い反面もろく、大きく曲げると割れが生じるため、成形を終えてから処理する順序になる。染料による着色は紫外線で退色することがあり、屋外で長期間使う場合は無着色または顔料系の着色が選ばれる。
語として使うときの注意
陽極酸化そのものは日本で生まれた技術ではない。1923年に英国でクロム酸を用いる方法が、同じ年に米国で硫酸を用いる方法が開発されている。一方、理化学研究所は1920年代からしゅう酸を用いる方法の研究を進め、1929年には皮膜を高圧の水蒸気で処理して孔を塞ぐ封孔法の特許を得た。この方法で得られた皮膜を用いた製品につける名称として、1931年に「アルマイト」が商標登録されている。弁当箱や鍋などの日用品を通じてこの名が広く知られたことから、現在の日本ではしゅう酸法に限らず、陽極酸化皮膜の総称として使われている。海外の資料を参照する際は anodizing にあたる語であって、特定の製法を指すわけではない点に注意が要る。
Reference
- 「アルマイト」を生んだ陽極酸化皮膜研究(理化学研究所)
- https://www.riken.jp/pr/historia/almite/index.html
- アルマイト(陽極酸化)について(電化皮膜工業)
- https://www.dhk.co.jp/library/alumite/
- アルマイトとは(NACL)
- https://www.nacl.co.jp/alumite/