Emeco(エメコ)

Emecoは、米国ペンシルベニア州ハノーバーに拠点を置くアルミニウム家具のメーカーである。1944年、Wilton Carlyle Dinges がメリーランド州ボルチモアでElectrical Machine and Equipment Companyとして創業した。第二次世界大戦中に米国海軍から潜水艦と艦船で用いる椅子の製造を受注したことが、事業の転機にあたる。腐食せず軽く、耐火性を持つという要求からアルミニウムが選ばれ、77の工程を要する椅子が生まれた。

事業と製造の実体

Emecoの製造を規定しているのは、アルミニウムの加工と接合である。同社の椅子は、成形、溶接、研磨、熱処理、仕上げ、アルマイト処理という工程を経る。総数は77に及び、各工程で職人の判断を要する。

この工程数は、素材の性質に由来する。アルミニウムは鋼より軟らかく、溶接部の強度が母材より落ちる。同社は溶接後に熱処理を施して強度を回復させる方法を採り、これが工程を増やす要因となっている。仕上げの研磨は、溶接の痕跡を消して部材の連続を成立させる工程にあたる。

海軍向けの要求は、海水と潮風への耐性、軽量であること、耐火性、衝撃への強さだった。アルミニウムは海水に対して腐食しにくく、鋼より軽い。用途の条件が素材の選定を規定した例にあたる。

用いるアルミニウムの多くは再生材で、その大部分は飲料の缶に由来する。2010年には、飲料の企業との協働により、樹脂の容器を再生して用いる椅子が発表された。

沿革

創業と海軍向けの椅子

1944年、Wilton Carlyle Dinges(1916年〜1974年)が、300ドルの貯蓄と中古の旋盤を元手にメリーランド州ボルチモアで事業を興した。当初は実験用の空中線やジェットエンジンの部品といった政府向けの製造を手がけている。

第二次世界大戦中、米国海軍から潜水艦と艦船で用いる椅子の製造を受注した。1946年、金属加工の職人が集まるペンシルベニア州ハノーバーへ工場を移し、アルミニウムの企業の協力のもとで開発に着手している。

Dingesは完成した椅子の強度を示すため、海軍が審査を行っていたシカゴのホテルの8階の窓から椅子を投げ落としたと伝えられる。椅子は跳ね返り、曲がりも壊れもしなかったとされる。

専業化と経営の変転

1948年までに、Emecoはアルミニウムの椅子の製造へ専業化した。1955年には年間20万脚を生産する規模に達している。

ただし工程数が多く、収益を確保することが難しかった。1970年代初頭にDingesが引退したのち、政府向けの受注の減少により経営が悪化し、1979年にJay Buchbinderへ売却されている。

設計者との協働

1998年、Gregg Buchbinderが経営を引き継いだ。以後、Philippe Starck、Norman Foster、Frank Gehry、Ettore Sottsassらとの協働による製品が加えられている。

2010年には、樹脂の容器を再生して用いる椅子が発表された。

デザイナーとの協働

Emecoの製品開発は、1998年以降、外部の設計者との協働を軸としてきた。アルミニウムの加工と溶接という自社の工程が扱える範囲が設計の条件になるため、設計案は工程数と加工の可否と並行して検討される。

協働相手にはPhilippe Starck、Norman Foster、Frank Gehry、Ettore Sottsass、Jean Nouvelらがいる。

主な製品群

1006 ネイビーチェアは、海軍向けに開発された椅子で、製品の基幹をなす。アルミニウムの部材を成形、溶接、熱処理して作られ、背に三本の縦の桟を持つ構成を採る。

このほか、外部の設計者による椅子と腰掛け、樹脂の再生材を用いる椅子、卓を扱う。

基本情報

ブランド名 Emeco(エメコ)
創業 1944年(Electrical Machine and Equipment Companyとして)
創業者 Wilton Carlyle Dinges(1916年〜1974年)
本社・生産拠点 アメリカ合衆国ペンシルベニア州ハノーバー(1946年〜)
経営 1979年にBuchbinder家が取得。1998年よりGregg Buchbinder
事業内容 金属家具の設計、製造および販売
公式サイト https://www.emeco.net

Reference

Emeco - 公式サイト
http://www.emeco.net/
Wikipedia - Emeco
https://en.wikipedia.org/wiki/Emeco