ベオラブ 8 / BeoLab 8
Bang & Olufsen(バング&オルフセン)が2023年に発表したBeolab 8は、同社のハイエンドスピーカーシリーズ「Beolab」における最もコンパクトなモデルとして誕生した。球体と円柱を融合させた一体成型のアルミニウム筐体は、デンマーク・ストルーアの自社工場「Factory 5」で精緻に削り出されたものであり、オーディオ機器でありながらインテリアオブジェとしての存在感を放つ。単体でのスタンドアローン使用からステレオペア、サラウンドシステムの構成要素に至るまで、あらゆる音響体験に適応する汎用性と、Cradle to Cradle認証に基づく循環型設計思想を兼ね備えた、現代の居住空間にふさわしいデザイン家電である。
特徴・コンセプト
スカンジナビアン・デザインの造形
Beolab 8の造形は「フォルムは機能に従う」というスカンジナビアン・デザインの原則に沿っている。球体と円柱が溶け合うような有機的なシルエットは、視覚的な軽やかさを生み出すと同時に、内部の音響特性を最適化するために計算された形状である。一体型アルミニウムボディはBang & Olufsenが誇るFactory 5において、旋盤加工、研磨、陽極酸化処理(アノダイジング)、ミリング加工のすべてが一貫して行われる。この陽極酸化処理により、ナチュラルアルミニウム、ゴールドトーン、ブラックアントラサイトといった上質な色彩と卓越した耐久性が実現されている。
天面にはブラックガラスのタッチインターフェースが配され、近接センサーにより手を近づけると照明付きの操作パネルが浮かび上がる。再生・一時停止、音量調節、スキップ操作、プリセット選択といった機能が直感的に操作できる。フロントカバーはデンマーク製のオーク無垢材によるラメラ(層状)構造、またはテクスチャードファブリックから選択でき、スピーカー内蔵のセンサーとカバー内のマグネットが素材を自動検知し、音響特性を最適なチューニングへと微調整する。
先進の音響テクノロジー
Beolab 8は、16mmツイーター、76mm(3インチ)ミッドレンジドライバー、136mm(5.25インチ)ウーファーによる3ウェイ構成を採用している。アンプは各ドライバーに専用のClass Dアンプを搭載し、ツイーターとミッドレンジに各50W、ウーファーに200Wの合計300Wを配分する。Bang & Olufsenの社内音響技師「トーンマイスター」が、先代モデルBeolab 17の性能を基準としつつ、さらなる音質向上を目指してドライバーを厳選・チューニングした。
Beam Width Control(ビーム幅制御)は、上位モデルBeolab 90で初めて導入された指向性制御技術を、クロスオーバー周波数の操作により3ウェイスピーカーで実現したものである。ナローモードではリスナーに向けた精密な定位を、ワイドモードでは空間全体への拡散再生を可能にし、フロントのLEDが現在のモードを表示する。Active Room Compensation(環境マッピング)は内蔵マイクにより室内音響を自動測定し、部屋のサイズや家具配置に応じて再生特性を最適化する。さらにAdaptive Bass Linearizationにより、小音量時にはバスブーストを強め、大音量時にはウーファーへの負荷を適切に制御することで、あらゆる音量で自然な低域バランスを維持する。
ステレオペアでの使用時には、Ultra-Wideband(超広帯域)技術とスマートフォンアプリの連携により、リスナーの位置を追従してスイートスポットを自動調整する「Fluid Sweet Spot」機能も搭載されている。
Mozartプラットフォームと拡張性
Beolab 8の中核を担うのは、Bang & Olufsenが開発した「Mozart」プラットフォームである。Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)およびBluetooth 5.3による高速ワイヤレス接続に加え、Apple AirPlay 2、Chromecast、Spotify Connect、TIDAL Connect、Deezerなど多様なストリーミングサービスに対応する。有線接続としてはEthernet(2ポート)、Powerlink(RJ45)、USB-C(ライン入力)を備え、Wireless Powerlinkにも対応することで、30年以上前のBang & Olufsen製品との後方互換性を保持している。
モジュラー設計により、Mozartプラットフォーム自体が交換可能なストリーミングモジュールとして設計されており、将来の技術規格の進化にも対応できる。Bang & Olufsenは、高品質な素材と堅牢な構造により、最初のアップデートが必要になるまで最大10年間の使用を想定している。
多彩な設置オプション
Beolab 8は、テーブルスタンド、フロアスタンド、ウォールブラケット、シーリングマウントの4種類の設置方法に対応している。いずれのスタンドも彫刻的な造形美を備えたアルミニウム製であり、各設置方法に応じてスピーカーの音響特性が自動的に最適化される。テーブルスタンドには交換可能なカラーディスク(ブラック、シルバー、ゴールド)が付属し、インテリアの色調に合わせた細やかなカスタマイズが可能である。
エピソード
Factory 5 での一貫生産
Beolab 8のアルミニウム筐体が生み出されるFactory 5は、デンマーク・ユトランド半島西部の小都市ストルーアに位置するBang & Olufsenの自社工場である。1925年の創業以来、同地を拠点としてきたBang & Olufsenにとって、Factory 5はアルミニウム加工技術の粋を集めた象徴的な施設である。原材料の切削から研磨、陽極酸化処理、精密ミリング加工に至るすべての工程がひとつの屋根の下で一貫して行われ、ゴールドトーンやブラックアントラサイトの深みある色彩は、長年にわたり蓄積されたアノダイジング技術によって生み出されている。
Beolab 17の遺伝子を継承
Beolab 8の開発において、Bang & Olufsenのトーンマイスターたちが音質の基準としたのは、2013年発表の名機Beolab 17であった。Beolab 17で確立されたドライバーの選定基準と音質哲学を継承しつつ、Beam Width ControlやActive Room Compensation、Ultra-Wideband技術といった先進機能を新たに統合することで、コンパクトな筐体でありながらBeolabシリーズにふさわしい音響性能を達成した。
CEDIA Expo 2023での世界デビュー
Beolab 8は、2023年9月に米国デンバーで開催されたCEDIA Expo 2023において世界初公開された。Bang & Olufsenのブースでは6台のBeolab 8によるサラウンド構成のデモンストレーションが行われ、コンパクトなスピーカーが生み出す没入感あるサウンドフィールドが来場者の注目を集めた。同年10月30日に正式発売が開始されている。
Cradle to Cradle認証と循環型設計
Beolab 8は、循環型経済を志向するCradle to Cradle設計原則に基づいて開発された。モジュラー構造によりフロントカバー、スタンド、ストリーミングモジュールといった主要コンポーネントの交換が容易であり、修理やアップグレードを前提とした長寿命設計が実現されている。Bang & Olufsenは世界初のCradle to Cradle認証を取得した家電ブランドであり、Beolab 8もこの認証を取得している。
評価
Beolab 8は、オーディオ専門メディアおよびデザイン系メディアの双方から高い評価を受けている。音質面では、300WのClass Dアンプが駆動する3ウェイシステムにより、コンパクトな筐体ながら力強い低域と精緻な中高域を再現する点が評価されている。とりわけテンポの速い楽曲では、アタックの鋭さと解像度の高さが指摘されている。
デザインに関しては、Bang & Olufsenの伝統であるエレガントで個性的な造形が、現代の居住空間においてインテリアオブジェとしても機能する点が一般的に高く評価されている。フロントカバーの交換やカラーバリエーションの豊富さにより、多様なインテリアスタイルに適応できる柔軟性も特筆される。
競合製品としてはDevialet Phantom シリーズが比較対象として挙げられることが多く、高級ワイヤレススピーカー市場において独自の地位を確立しているといえる。モジュラー設計によるアップグレーダビリティと、30年以上にわたるBang & Olufsen製品との後方互換性は、長期的な投資価値としても注目されている。
受賞・認証歴
- Cradle to Cradle Certified®
- 循環型設計の国際認証を取得。素材の安全性、循環性、再生可能エネルギー、水資源管理、社会的公正性の5カテゴリにおいて基準を満たしている。
- CEDIA Expo 2023 注目製品
- 2023年9月のCEDIA Expo(米国デンバー)にてワールドプレミアを果たし、レジデンシャルオーディオ分野における注目製品として紹介された。
基本情報
| 正式名称 | ベオラブ 8 / BeoLab 8 |
|---|---|
| デザイン | Bang & Olufsen Design Team |
| ブランド | Bang & Olufsen(バング&オルフセン) |
| 製造国 | デンマーク(ストルーア、Factory 5) |
| 発表年 | 2023年(CEDIA Expo 2023にて発表、同年10月30日発売) |
| カテゴリ | アクティブワイヤレススピーカー / デザイン家電 |
| スピーカー構成(1台あたり) | 3ウェイ:0.6インチ(16mm)ツイーター、3インチ(76mm)ミッドレンジ、5.25インチ(136mm)ウーファー |
| アンプ出力(1台あたり) | 合計300W Class D(ツイーター50W、ミッドレンジ50W、ウーファー200W) |
| 最大音圧レベル | 104 dB SPL @1m(ペア使用時) |
| 低域能力 | 90 dB SPL @1m(ペア使用時) |
| 推奨室内面積 | 10〜60 m² |
| 主要素材 | アルミニウム(筐体)、オーク無垢材またはファブリック(フロントカバー)、ガラス(タッチインターフェース)、ポリマー |
| カラーバリエーション | ナチュラルアルミニウム / ゴールドトーン / ブラックアントラサイト / ブラストーン / ブロンズトーン |
| フロントカバー | グレイメランジファブリック / オーク / ライトオーク / ダークオーク / スモークドオーク |
| 寸法(1台あたり) | テーブルスタンド時:W 18.9 × H 29 × D 16.5 cm フロアスタンド時:W 30 × H 114 × D 30 cm ウォールブラケット時:W 21.5 × H 27.9 × D 16.5 cm |
| 重量(1台あたり) | 4.1 kg(スタンド・ブラケット除く) |
| ワイヤレス接続 | Wi-Fi 6(デュアルバンド 2.4/5 GHz)、Bluetooth 5.3(AAC/SBC)、Apple AirPlay 2、Chromecast、Ultra-Wideband |
| ストリーミング対応 | Spotify Connect、TIDAL Connect、Deezer、B&O Radio、QPlay 2.0 |
| 有線接続(1台あたり) | Ethernet ×2、Powerlink(RJ45)×1、USB-C(ライン入力)×1 |
| 音響機能 | Active Room Compensation、Beam Width Control、Adaptive Bass Linearization、Fluid Sweet Spot、Thermal Protection、カスタマイズEQ |
| プラットフォーム | Bang & Olufsen Mozart |
| マルチルーム | Beolink Multiroom対応 / Wireless Powerlink対応(最大24bit/96kHz) |
| DAC | 24bit/192kHz対応 |
| 付属品 | 電源ケーブル、クイックスタートガイド、ウィッシュボーン(スタンド接続用工具)、バックカバー(L+R) |
| リモコン対応 | Bang & Olufsen App(iOS/Android)、Beoremote One BT、Beoremote Halo(いずれも別売) |
| 認証 | Cradle to Cradle Certified® |
| 参考価格(税込) | 758,000円〜(2台セット、グレイメランジカバー)/ 908,000円〜(2台セット、オークカバー) |