概要
トロメオ シリーズは、ミケーレ・デ・ルッキとジャンカルロ・ファッシーナがアルテミデ社のために設計したタスクランプの製品群である。1987年に市場へ投入され、1989年にコンパッソ・ドーロを受賞した。
アルミニウムのアーム、内部に隠したバネ、そしてアームの上に張られたスチールワイヤーという三点の組み合わせを全モデルが共有し、テーブル、フロア、ウォール、ペンダント、クリップ式へと形式を広げている。
ミケーレ・デ・ルッキの設計思想や経歴について詳しくはミケーレ・デ・ルッキ プロフィールページをご覧ください。
共通する設計原理
アームの姿勢を保つバネは、アームの内部に全長にわたって収められている。バネを引く力は、アームの上側に露出したスチールワイヤーが受け持つ。バネを外から見せずに張力だけを線として見せるこの構成によって、アームは細い直線のまま保たれる。
デ・ルッキはこの機構の着想を釣り竿から得たと述べている。竿の先端を糸で支える仕組み、とりわけプーリアの伝統的な漁具トラブッコにおいて、網を支える腕が複数の綱で保持される様子が出発点にあった。短いレバーアームと一本のワイヤーで竿を吊るという発想が、そのまま照明の機構に置き換えられている。
素材は押出成形のアルミニウムを陽極酸化処理したアーム、ダイキャストアルミニウムの関節部と張力調整ノブ、ステンレスのワイヤー、そしてプレス成形したアルミニウムのディフューザーで構成される。ヘッドは360度回転し、あらゆる方向に向けられる。
成立と展開の経緯
この設計はアルテミデ社のエルネスト・ジスモンディがデ・ルッキに依頼したものである。機構の開発にあたっては同社の技術部門を率いていたジャンカルロ・ファッシーナが関与しており、デ・ルッキはその貢献を認めて署名を分け合うことを選んだ。
着想の源には、ナスカ・ロリスに代表される古典的なバネ式作業灯がある。デ・ルッキが取り組んだのは、その馴染みのある形を保ちながら、素材と機構を刷新することだった。
1987年の発売後、シリーズはテーブルランプを起点に形式とサイズの双方へ展開した。1991年にはトロメオ ミニ、1999年から2000年にかけてはトロメオ ミクロが加わり、大型のシェードを組み合わせたトロメオ メガ、布や羊皮紙のシェードを備えたバスクランテなども生産されている。
メンバー一覧
| 発表年 | 区分 | 製品名 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 1987年 | ライト | [interior slug="tolomeo-desk-lamp"] | シリーズの起点となったデスクランプ。代表モデル。 |
| — | ライト | [interior slug="tolomeo-mega-michele-de-lucchi-artemide"] | 同じアーム機構に大型のシェードを組み合わせた拡張モデル。発表年は確認できなかったため記載していない。 |
このほか、ミニ、ミクロ、バスクランテ、フロア、ウォール、ペンダント、屋外用など多数の形式が生産されている。
評価と影響
1989年のコンパッソ・ドーロ受賞は、デ・ルッキとファッシーナの連名で記録されている。バネ式作業灯という既存の形式に対し、機構を隠して張力だけを可視化するという解法を与えた点が、以後のタスクランプ設計に参照されている。
住宅、オフィス、ホテルと設置先を選ばない汎用性から生産数が多く、形式とサイズの選択肢も年を追って増えている。購入や部品交換の際は、アームの長さと台座の形式によってモデルが分かれる点に注意が必要である。
アルテミデの歴史や他の製品について詳しくはアルテミデ ブランドページをご覧ください。
基本情報
| シリーズ名 | トロメオ シリーズ(Tolomeo Series) |
|---|---|
| 種別 | 共通の設計言語による製品群 |
| デザイナー | ミケーレ・デ・ルッキ、ジャンカルロ・ファッシーナ |
| ブランド | アルテミデ |
| 発表年 | 1987年 |
| 共通機構 | アーム内部のバネと、外側に露出したスチールワイヤーによる張力保持 |
| 受賞 | コンパッソ・ドーロ(1989年) |
Reference
- In conversation with Michele De Lucchi - MyArtemide
- https://myartemide.de/en/news/detail/in-conversation-with-michele-de-lucchi/
- Tolomeo - Artemide (table lamp, 1987) - designindex
- https://www.designindex.org/products/design/tolomeo-artemide.html