Artemide(アルテミデ)

Artemideは、イタリア・ミラノ近郊のプレニャーナ・ミラネーゼに本社と工場を置く照明メーカーである。1960年、航空・ミサイル工学を修めたErnesto Gismondiと建築家Sergio Mazzaがミラノで設立した。設計を外部の建築家・デザイナーに委ねる一方、光源と機構の開発を自社の研究部門が担う体制を採り、1972年のTizioではハロゲン光源を照明器具へ持ち込んだ。1960年代末には樹脂成形による家具も手がけている。現在も創業家が保有する非上場企業である。

事業と製造の実体

本社と主力工場は、1972年に開設されたプレニャーナ・ミラネーゼの施設にある。同社は自社に研究部門を置き、試作と各種試験の設備を備える。生産拠点はイタリアのほかフランス、ハンガリー、カナダに置かれ、ガラス工房も保有する。1991年にヴェネツィアのガラス工房VeArtを取得したことで、吹きガラスの製品を自社で扱えるようになった。

製造の条件を規定してきたのは、光源と機構の開発である。1972年のティツィオでは、自動車用に用いられていたハロゲン球を照明器具へ転用し、アームそのものを導線として使う構成を採った。配線を通す必要がないため腕を細く保つことができ、釣り合い錘との組み合わせで軽い操作が成立する。1986年のトロメオ デスクランプでは、ばねとワイヤーを腕の内部に納めて任意の角度で保持する機構が用いられた。

樹脂の成形も自社の技術として蓄積されている。1970年のセレーネチェアは圧縮成形によって一体で作られた椅子で、照明以外の分野で成形技術を検証した例にあたる。

近年はLEDへの移行にともなう光学部品と制御の開発が中心となる。同社は大学や研究機関との共同研究を通じて配光や色温度の制御に関する特許を取得しており、2020年には殺菌作用と照明性能を併せ持つ光技術を発表した。

沿革

創業と初期の製品

1960年、Ernesto GismondiとSergio Mazzaがミラノでartemideを設立した。Gismondiは1957年にミラノ工科大学で航空工学、1959年にローマで推進工学の学位を得た技術者で、Studio Artemide S.a.s.を起点に事業を組み立てている。最初の製品は、1959年にSergio Mazzaが設計した照明Alfaだった。

1965年にはEnzo MariとAnna Fasolisによる Polluceが加わる。1967年、Vico Magistrettiが設計したエクリッセ テーブルランプがコンパッソ・ドーロを受けた。内側のシェードを回すことで光量と方向を変える構成を持つ。1969年にはGio Pontiとの協働からFatoが生まれている。

工場の建設と技術の展開

1970年、Vico Magistrettiの設計によるセレーネチェアが発表された。圧縮成形による一体構造の椅子で、照明以外の分野への展開にあたる。

1972年、Richard Sapperが設計したティツィオが発表された。同じ年、プレニャーナ・ミラネーゼに最初の生産拠点が開設され、現在も本社が置かれている。1975年にはGismondi自身が設計したSintesiが加わった。

1970年代から1980年代にかけて米国市場へ進出し、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴにショールームを開設した。Ettore Sottsassとの協働からCallimacoとPausaniaが、Enzo MariからAggregatoが生まれている。1981年には、Sottsassらが始めたMemphisの活動にArtemideのショールームが場所を提供した。

Tolomeo以降

1986年、Michele De LucchiとGiancarlo Fassinaによるトロメオ デスクランプが発表された。1989年にコンパッソ・ドーロを受けている。任意の角度で腕を保持する機構と、部材を共通化しやすい構成を持つことから、トロメオ メガやトロメオ ミクロなど寸法と設置方法の異なる派生製品が加えられた。

1991年、ヴェネツィアのガラス工房VeArtを取得し、吹きガラスによる製品群を加えた。1995年には企業に対してコンパッソ・ドーロが授与されている。2004年にはHerzog & de Meuronの設計によるPipeが同賞を受けた。

2012年には三宅一生およびReality Labとの協働により、再生繊維を用いた折り畳み構造のシェードを持つ照明の一群が発表された。創業者のErnesto Gismondiは2020年12月に死去し、建築家のCarlotta de Bevilacquaが経営に関わっている。

デザイナーとの協働

Artemideの製品開発は、外部の建築家・デザイナーが担う設計と、自社の研究部門が担う光源・機構の開発を組み合わせて進む。器具の造形を先に決めるのではなく、光源の性質と機構の可能性から製品の構成を導く手順が採られてきた。Gismondi自身が技術者であり、製品の設計にも関わっていた点が、この体制の背景にある。

20世紀の協働相手にはVico Magistretti、Richard Sapper、Gio Ponti、Enzo Mari、Ettore Sottsass、Michele De Lucchi、Mario Belliniが挙げられる。現行世代ではHerzog & de Meuron、Zaha Hadid、Jean Nouvel、Ross Lovegrove、深澤直人、三宅一生らとの協働がある。

主な製品群

机上の照明が製品の基幹をなす。ティツィオと、トロメオ デスクランプを中心とする一群がこれにあたり、後者にはトロメオ メガとトロメオ ミクロがある。いずれも腕の角度を変えて光の向きを調整する構成を採る。

据置型では、内側のシェードを回して光量を変えるエクリッセ テーブルランプ、Giancarlo Mattioliによるネッソがある。

照明以外では、圧縮成形によるセレーネチェアと、Vico Magistrettiのガウディ チェアを扱ってきた。現在の製品は住宅向けの装飾照明と、建築空間向けの照明システムに分かれる。

基本情報

ブランド名 Artemide(アルテミデ)
設立 1960年
創業者 Ernesto Gismondi、Sergio Mazza
創業地 イタリア・ミラノ
本社所在地 イタリア・プレニャーナ・ミラネーゼ(1972年開設の生産拠点)
生産拠点 イタリア、フランス、ハンガリー、カナダ。ガラス工房を併設
企業形態 非上場(Gismondi家が保有)
事業内容 照明器具の設計、製造および販売
公式サイト https://www.artemide.com

Reference