概要
ダイヤモンドチェアには、屋内向けと屋外向けの二つの仕様が用意されている。設計そのものは1952年のハリー・ベルトイアによる同一のもので、両者を分けているのは金属の表面処理と接合部の材質、そしてシートパッドの素材である。
本ページでは、この二つの仕様の違いを整理する。ダイヤモンドチェアが属するコレクション全体については ベルトイア コレクション を参照されたい。
ハリー・ベルトイアの設計思想や経歴について詳しくはハリー・ベルトイア プロフィールページをご覧ください。
共通する設計原理
両仕様とも、スチールロッドを縦横に組んで交点を溶接し、曲げ加工によって菱形のシェルを成形する。シェルの寸法・形状・ロッドの配置に違いはなく、細い脚部でシェルを支える構成も変わらない。
座り心地がロッドのしなりによって得られる点も同じで、いずれの仕様でもクッションをスナップで装着できる。仕様の分かれ目は、成形が終わったシェルに何を被せ、どの部材で留めるかという段階から後にある。
メンバー間の差異
差異は耐候性に関わる部分に限られる。屋内仕様ではクロムめっきや18金メッキといった光沢のある表面処理が選べる。屋外仕様に用いられるリルサンは、ナイロンを溶融させてロッドに被覆する仕上げで、傷や薬品に強く、被膜が密着するため雨に触れる環境でも錆の進行を抑える。あわせて接合部にステンレス鋼が用いられ、シートパッドには布や革ではなくビニールが選ばれる。
屋内仕様であっても、リルサンの黒または白を選んだ場合は屋外での使用に対応する。クロムめっき仕上げは屋内専用となる。
| 比較項目 | ダイヤモンドチェア(屋内) | ダイヤモンドチェア アウトドア |
|---|---|---|
| 金属仕上げ | クロムめっき(研磨/サテン)、18金メッキ、リルサン | リルサン(黒・白) |
| 接合部 | 標準仕様 | ステンレス鋼 |
| シートパッド | ファブリックまたはレザー | ビニール(黒・白) |
| 屋外での使用 | リルサン仕上げのみ対応。クロムめっきは屋内専用 | 対応 |
屋内で使う場合は仕上げの選択肢が広く、金属の光沢を生かした見え方を選べる。屋外やテラス、湿度の高い場所で使う場合は屋外仕様が前提となる。
メンバー一覧
| 発表年 | 区分 | 製品名 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 1952年 | チェア | ベルトイア ダイヤモンドチェア | 代表モデル。屋内向けの仕上げを中心に展開する。 |
| 1952年 | ガーデンファニチャー | ベルトイア アウトドア ダイヤモンド チェア | 耐候性のある仕上げと接合部を採用した屋外向けの仕様。 |
ノルの歴史や他の製品について詳しくはノル ブランドページをご覧ください。
収蔵
収蔵されているのはいずれも屋内仕様である(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、Met=メトロポリタン美術館、AIC=シカゴ美術館)。
- V&A ダイヤモンドチェア(1952年) 収蔵番号 CIRC.82-1969
- Met ダイヤモンドチェア(1952年) 収蔵番号 1984.542.1
- AIC スモール ダイヤモンドチェア(1952年) 収蔵番号 1976.400
MoMA(ニューヨーク近代美術館)にはベルトイアの1952年のアームチェアが収蔵されているが、目録の題名からはダイヤモンドチェアかどうかを特定できない。
基本情報
| デザイナー | ハリー・ベルトイア |
|---|---|
| ブランド | ノル |
| 共通構造 | 溶接したスチールロッドの格子を曲げ加工した菱形のシェル |
| 差異の所在 | 金属の表面処理、接合部の材質、シートパッドの素材 |
| 屋外に対応する仕上げ | リルサン(溶融ナイロン被覆、黒・白) |
Reference
- Bertoia Diamond Chair - Knoll
- https://www.knoll.com/design-plan/product/bertoia-diamond-chair
- Bertoia Diamond Chair Outdoor - Knoll International
- https://www.knoll-int.com/home/by-designer/classic-designers/harry-bertoia/bertoia-diamond-chair-outdoor
- Diamond Chair - Victoria and Albert Museum
- https://collections.vam.ac.uk/item/O121019/
- Small Diamond Chair - The Art Institute of Chicago
- https://www.artic.edu/artworks/51419
このシリーズの製品
ベルトイア ダイヤモンドチェア Bertoia Diamond Chair
彫刻家ハリー・ベルトイアが「空気によって作られている」と表現した、溶接スチールロッドの格子状フレームが特徴的なラウンジチェア。透明性と優美さを兼ね備えたミッドセンチュリーモダンの代表作。1952年発表以来、継続生産されている名作。
ベルトイア アウトドア ダイヤモンド チェア Bertoia Outdoor Diamond Chair
ハリー・ベルトイアによる彫刻的な代表作の屋外版。「空気でできた椅子」として知られる鋼線メッシュの透明な美しさに、耐候性Rilsan®仕上げを施し、テラスやパティオに芸術性をもたらすミッドセンチュリーモダンの象徴的アウトドアチェア。