ベルトイア アウトドア ダイヤモンド チェアは、20世紀を代表する彫刻家ハリー・ベルトイアが1952年にデザインした伝説的な「ダイヤモンド チェア」の屋外仕様版である。ミッドセンチュリーモダンデザインの金字塔として知られるこのチェアは、産業用ワイヤーロッドという素材に崇高な優美さを見出し、実用性を超えた芸術作品へと昇華させた作品である。空間、形態、機能の探究として生み出されたこの名作は、Knoll社による70年以上にわたる継続生産により、時代を超えて愛され続けている。

屋外仕様版は、オリジナルの彫刻的美しさを保持しながら、Rilsan®仕上げと呼ばれる高耐久性ナイロンディップコーティングを施すことで、過酷な屋外環境での使用を可能にした。この革新的な表面処理は、傷、欠け、化学薬品に対する卓越した耐性を備え、テラス、パティオ、プールサイドなど様々な屋外空間において、その芸術性と機能性を遺憾なく発揮する。

デザインコンセプト

ベルトイア自身の言葉を借りれば、このチェアは「主に空気でできている、彫刻のように。空間がそのまま通り抜けていく」という哲学を体現している。彫刻家としての視点から生み出されたこの作品は、椅子と彫刻の境界を曖昧にし、機能的な家具でありながら、空間における芸術作品として存在する。

空間の彫刻としての椅子

ダイヤモンド チェアの最も特筆すべき特徴は、その透明性と軽快さにある。溶接された鋼線のメッシュ構造は、光と空気を自由に通過させ、周囲の空間と一体化する。菱形の幾何学的形態は、あらゆる角度から見ても美しく、まるで宙に浮かんでいるかのような視覚的効果を生み出す。この軽やかな外観に反して、構造は驚くほど堅牢であり、長期間の屋外使用にも耐える強度を備えている。

産業素材の芸術的昇華

ベルトイアは、サーリネンやミースと同様に、産業用素材に内在する美を見抜き、それを芸術的領域へと引き上げた。手作業で曲げられ、一点一点溶接された鋼線は、単なる構造材ではなく、彫刻的表現の媒体となった。この複雑な製造工程は、60年以上経過した現在も手作業による要素を多く残しており、それが各チェアに独自の個性を与えている。

屋外仕様の技術革新

アウトドア版は、オリジナルデザインの本質を保持しながら、屋外環境に適応するための重要な技術的革新を取り入れている。最も重要な特徴は、Rilsan®保護仕上げの採用である。この高性能コーティングは、ナイロンを接着融合させた耐久性の高い仕上げで、傷、欠け、化学薬品に対する卓越した耐性を提供する。

フレームと座面バスケットは溶接されたステンレススチール製で、接続部分にはステンレススチール製の部品が使用されている。これにより、塩害や湿気による腐食を効果的に防ぎ、海岸地域やプールサイドでの使用にも適している。ホワイトとブラックの2色展開により、多様な屋外空間のデザインスキームに調和する。

座面クッションには、屋外使用に適したビニール素材が採用されており、ロックスナップ方式で確実に固定される。クッションなしでも使用可能で、その際にはチェアの彫刻的な美しさがより際立つ。ベースには保護用のプラスチックグライドが標準装備され、テラスやデッキの床面を傷から守る。

デザインプロセスと創造の背景

1950年、フローレンス・ノールとハンス・ノールは、クランブルック・アカデミー時代からの旧友であるベルトイアを、ペンシルバニアのKnoll社生産施設の一角に金属工房を設立するよう招聘した。Knollの特徴的な姿勢として、彼らはベルトイアに家具デザインを強要せず、自由な探究を奨励した。「何か興味深いものができたら見せてほしい」という寛容なアプローチが、この歴史的傑作を生み出す土壌となった。

ベルトイアは後にこのプロセスを次のように回想している。「私はすぐに、自分がリサーチをする人間ではないことに気づいた。私の感覚では、それは内面的な方向から来なければならなかった。私は再び自分自身の身体に頼り始めた。私が椅子として何を求めるかという観点で考え始めた。それは非常にゆっくりと始まった。ロッドやワイヤー、曲げたものでも真っ直ぐなものでも、それらに行き着いた。ワイヤーの中に、自分の居場所を見つけたように感じた」

この内省的で有機的なデザインプロセスは、ベルトイアの彫刻家としてのアプローチを如実に反映している。彼は椅子を「空間、形態、金属の研究」として捉え、機能的要件を満たしながらも、本質的には彫刻作品として制作した。この姿勢が、単なる家具を超えた芸術的価値を作品に与えている。

評価と影響

ダイヤモンド チェアは1952年の発表以来、即座に商業的成功を収め、批評的にも高く評価された。その成功により得られたロイヤリティは、ベルトイアがその後の25年間を彫刻制作に専念することを可能にした。この事実は、作品が達成した商業的成功の大きさを物語っている。

V&A博物館、メトロポリタン美術館、クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン・ミュージアム、ヘンリー・フォード博物館など、世界の主要なデザインミュージアムがこの作品を永久コレクションに収蔵している。これは、ダイヤモンド チェアが単なる消費財ではなく、20世紀デザイン史における重要な文化的遺産として認識されていることを示している。

ワイヤーメッシュを用いた家具デザインという手法は、その後数世代にわたる若手デザイナーたちに影響を与え続けた。軽量性と透明性、彫刻的美しさと機能性の融合という、一見相反する要素を統合したこの作品は、現代家具デザインの新たな可能性を切り開いた。

受賞歴

  • アメリカ建築家協会 功労賞(Certificate of Merit)、1955年
  • デザイナー・オブ・ザ・イヤー(Designer of the Year)、アメリカ、1955年
  • デザインセンター・シュトゥットガルト賞(Design Center Stuttgart Award)、ドイツ、1962年

現代における意義

アウトドア版の導入により、ダイヤモンド チェアは屋内外を問わず、現代のライフスタイルに適応し続けている。テラス、中庭、プールサイド、ルーフトップガーデンなど、多様な屋外空間において、その彫刻的存在感は建築と自然の橋渡しとなる。

サステナビリティの観点からも、70年以上にわたる継続生産は注目に値する。時代を超越したデザインと高い耐久性は、使い捨て文化へのアンチテーゼとして、長期使用を前提とした真の持続可能性を体現している。Knoll社は、オリジナルの製造治具を今も使用しながら、環境に配慮した生産プロセスを維持している。

ベルトイア アウトドア ダイヤモンド チェアは、ミッドセンチュリーデザインの遺産を現代の屋外空間に継承する、生きた芸術作品として、今日も世界中で愛用され続けている。

基本情報

デザイナー ハリー・ベルトイア(Harry Bertoia)
ブランド Knoll(ノル)
デザイン年 1952年(屋外版は後年追加)
カテゴリー アウトドアラウンジチェア
素材 溶接ステンレススチールロッド、Rilsan®仕上げ(ホワイト/ブラック)、ビニール座面クッション(オプション)
寸法 幅約85cm × 奥行約75cm × 高さ約75cm、座面高約46cm
仕上げ Rilsan®保護コーティング(傷、欠け、化学薬品耐性)
生産状況 継続生産中
認証 Knollロゴがフレームに刻印