概要
ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルト(1900-1990)は、ドイツのデザイナーである。バウハウスの金属工房で学び、1924年に設計した卓上灯WG24が知られる。以後はガラスと金属の日用品を工場の生産条件に合わせて設計し、イエナー・グラスヴェルクとWMFで多数の製品を残した。量産の工程を前提とする設計を一貫して行っている。
バイオグラフィー
1900年4月15日、ドイツのブレーメンに生まれた。銀器工場で製図工の訓練を受けたのち、ハーナウの美術学校で学んでいる。
1923年からバウハウスヴァイマールの金属工房に在籍した。1924年にラースロー・モホイ=ナジの指導のもとで卓上灯WG24を設計している。
1931年からイエナー・グラスヴェルクの設計を担当した。耐熱ガラスの食器と実験器具を手がけている。1935年からはWMFのラウジッツ・ガラス工場で設計部門を率いた。
戦後は自身の事務所を開き、複数の企業のために設計を続けた。シュトゥットガルトの美術アカデミーでも教えている。1990年5月28日に没した。
デザインの思想と方法
ヴァーゲンフェルトが一貫してとったのは、工場の生産条件から形を決めるという進め方である。手作業でしか作れない形は最初から除外し、型と機械で作れる範囲の内側で構成を決める。
基本の立体で構成する
WG24は、円板の台座、円筒の支柱、半球の笠という3つの立体からなる。ガラスと金属のいずれの版もあり、材料が変わっても構成は変わらない。旋盤と吹きで加工できる形に収まっている。
光源を透過する材料で包む
WG24の笠は乳白ガラスで、光は笠の全面から出る。支柱もガラスの版では透明で、内部の配線が見える。材料の透過性そのものを構成に使う。
耐熱ガラスの性質を使う
イエナー・グラスヴェルクでは、耐熱ガラスの食器を設計した。直火にかけられ、中身が見える。ティーポットの茶漉しをガラスで作るなど、材料の性質から用途の範囲を広げている。
積み重ねと収納を条件にする
1938年のクーブス食器は、直方体の器を組み合わせて一つの立方体に収める構成をとる。冷蔵庫の中で場所を取らないことが条件になっている。
テクノルーメンの歴史や他の製品について詳しくはテクノルーメン ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
卓上灯 WG24(1924年)
円板の台座、円筒の支柱、半球の笠からなる卓上灯である。乳白ガラスの笠から光が全面に出る。ガラスと金属のいずれの版もあり、材料が変わっても構成は変わらない。バウハウスの金属工房での設計にあたる。現在はテクノルーメンが生産している。→バウハウス テーブルランプ WG24
ティーポット(1932年、イエナー・グラスヴェルク)
耐熱ガラスによる急須である。茶漉しもガラスで作られ、中身が見える。直火にかけられるという材料の性質が、用途の範囲を広げている。シカゴ美術館が収蔵している(収蔵番号1973.365a-c、1986.239)。
クーブス食器(1938年、ラウジッツ・ガラス工場)
直方体の器を組み合わせて一つの立方体に収める食器の系列である。冷蔵庫の中で場所を取らないことが条件になっている。V&Aとシカゴ美術館が収蔵している。
塩胡椒入れ(WMF)
金属とガラスによる調味料入れである。単純な立体で構成され、量産の工程に収まる。→WMF ソルト&ペッパー シェイカー
WMFのための製品(1935年〜)
ラウジッツ・ガラス工場で設計部門を率い、食器、器物、什器を多数手がけた。いずれも工場の生産条件から形を決めるという方針による。
評価と影響
ヴァーゲンフェルトは一般に、バウハウスの教育を受けた設計者のなかで、工業生産に最も深く関わった一人と評価されている。工場の設計部門で長く働き、多数の日用品を残した。
WG24は1924年の設計で、バウハウスの製品として最も広く知られるものの一つにあたる。現在もテクノルーメンが生産している。
イエナー・グラスヴェルクとWMFでの仕事は、量産の工程を前提とする設計の例として言及される。ブレーメンにはヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルト館が設けられている。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したところ、計94件が確認できた。以下は主要なものの抜粋である。
- V&A ガラス器(1931年頃) 収蔵番号 C.31 to B-1980
- V&A ガラス器(1931年) 収蔵番号 C.76:1, 2-1993
- AIC ティーポット(1932年) 収蔵番号 1973.365a-c、1986.239
- Met カップ・ソーサー・皿(1930-34年) 収蔵番号 1983.522.5 ほか計27点
- Met グラス(1937年頃) 収蔵番号 2002.242.2
- V&A クーブス食器(1938年) 収蔵番号 C.63:1, 2-1993 ほか計10点
- AIC クーブス食器(1938年頃) 収蔵番号 1988.254.1-17
- AIC 蓋付き野菜皿(1938-39年) 収蔵番号 1984.1491a-b
- AIC 花器(1940年頃) 収蔵番号 1984.1490
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1924年 | 照明 | バウハウス テーブルランプ WG24 | Tecnolumen |
| 1930-34年 | 食器 | カップ・ソーサー・皿 | Jenaer Glaswerk |
| 1932年 | 食器 | ティーポット | Jenaer Glaswerk |
| 1938年 | 食器 | クーブス食器 | Lausitzer Glaswerke |
| 1930-60年代 | 什器 | WMF ソルト&ペッパー シェイカー | WMF |
| 1935年〜 | ガラス器 | WMFのための製品 | WMF |
| 1950-70年代 | 各種 | 複数企業のための製品 | 各社 |
プロフィール
| 生没年 | 1900年4月15日〜1990年5月28日 |
|---|---|
| 出身地 | ドイツ・ブレーメン |
| 国籍 | ドイツ |
| 活動拠点 | ヴァイマール、シュトゥットガルト |
| 分野 | 照明、ガラス、金属、食器 |
| 主な協働ブランド | Tecnolumen、WMF、Jenaer Glaswerk |
Reference
- Wilhelm Wagenfeld Haus, Bremen
- https://www.wilhelm-wagenfeld-stiftung.de/
- Tecnolumen
- https://www.tecnolumen.com/en/
- The Metropolitan Museum of Art Collection
- https://www.metmuseum.org/art/collection
- The Art Institute of Chicago Collection
- https://www.artic.edu/collection
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/