1枚の金属板に千鳥状の切れ目を入れながら押し広げ、菱形や亀甲形の網目を一体に形成した板材。板を抜かずに伸ばすため、元の板より広い面が得られる。

エキスパンドメタル

エキスパンドメタルとは、1枚の金属板に千鳥状の切れ目を入れながら押し広げ、菱形や亀甲形の網目を一体に形成した板材のこと。英語では expanded metal と呼び、日本語ではエキスパンドメタルのほか、メタルラス(建築下地用の薄いもの)と区別して用いられる。

解説

製造は、板の切断と引き伸ばしを同時に行う点に特徴がある。網目の寸法に応じた刃を上下させ、原板に互い違いの切れ目を入れると同時にその部分を押し広げていく。日本産業規格 JIS G 3351 はこの工程を「冷間切延法」と呼び、鋼製のエキスパンドメタルを規定している。網目は、菱形の短い対角線を SW、長い対角線を LW と表し、網目を構成する細い帯を「ストランド」、ストランド同士がつながる結節部を「ボンド」と呼ぶ。打ち抜き金網のように材料を抜き取って穴をつくるのではなく、板を伸ばして開口をつくるため、元の板より広い面積が得られ、材料の無駄が出ない。

1枚の板から切り出されているので、ステンレス鋼線やスチールパイプを編んだり溶接したりしてつくる金網とは異なり、結節部が外れることも編み目がほどけることもない。そのままの状態では、ストランドが板面に対して斜めに立ち上がっているため、面には厚みと陰影が生じる。これを圧延ロールで平らに潰したものを「フラット」と呼び、網目全体が同一平面に揃う。規格上は、軽量で網目の整った標準型(XS)と、床材などの荷重を受ける格子型(XG)に分かれる。材料は鋼板が基本だが、ステンレス鋼、アルミニウム真鍮、銅、チタンなどの板からも製造できる。

本来は建築や土木の床、隔壁、フェンス、防護柵といった用途の工業材料であり、家具に用いられる場面は限られる。家具に持ち込まれるときに生きるのは、光と視線と空気を通しながら、面としての輪郭ははっきり現れるという性質である。倉俣史朗ハウ・ハイ・ザ・ムーンは、内部の骨組みを持たず、この板だけで肘掛け椅子の輪郭を組み立て、ニッケルめっきによって網目の反射を際立たせた例である。屋外家具では、メッシュラウンジが背もたれと肘掛けにアルミニウム製の面を用い、粉体塗装で耐候性を持たせている。いずれも、板を「削って軽くした」のではなく、伸ばして開口をつくったという材料の成り立ちが、量感のなさとして造形に現れている。

手入れの面では、切断面が多いことに注意が要る。鋼製のものは端部やストランドの切り口から錆が出やすく、めっきや塗装で覆われていない場合は屋内でも湿気を避ける。アルミニウムやステンレス鋼のものは腐食に強いが、網目に埃がたまりやすいため、柔らかいブラシで払い、水分を残さないようにする。

パンチングメタルとの違い

いずれも孔のあいた金属板だが、パンチングメタルは板を打ち抜いて円形や角形の孔をあけた材で、抜いた分の材料は失われ、板面は平らなままである。エキスパンドメタルは板を伸ばして孔をつくるため、面積が増え、ストランドが立ち上がって面に厚みが生じる。孔の形も、前者は自由に選べるのに対し、後者は工程上、菱形か亀甲形に限られる。

Reference

JIS G 3351:1987 エキスパンドメタル(日本産業規格)
https://kikakurui.com/g3/G3351-1987-01.html
エキスパンドメタル(大信鋼業株式会社)
https://www.daishin.co.jp/product/expanded_metal.php
エキスパンドメタル規格表(奥谷金網製作所)
https://www.okutanikanaami.co.jp/yousetu/y0003-2.html

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