パテラが長く愛される理由

2015年、デンマーク人デザイナーのオイヴィン・スロットとルイスポールセンの協働により誕生した《パテラ》は、発表から10年以上を経た現在も、世界中の住宅や公共空間で使われているペンダントライトである。自然界に繰り返し現れるフィボナッチ数列の構造をもとに設計されたこの照明は、360度にわたりグレアフリーのやわらかい光を放つ「現代のシャンデリア」として、ルイスポールセンの現代を代表する照明のひとつとなっている。

本ページでは、《パテラ》の購入を検討されている方に向けて、正規品の仕様・サイズ・価格帯、類似する名作照明との比較、光の特性と空間への取り入れ方、メンテナンス方法、正規販売店情報、そしてよくある質問まで、購入判断に必要な情報を網羅的にお伝えする。

正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材

《パテラ》は、Ø300・Ø450・Ø600・Ø900の4サイズに加え、天井高が限られる空間に対応した《パテラ オーバル》を展開している。各サイズともE26電球仕様と組込式LEDモデルがあり、空間の条件と用途に応じた選択が可能である。以下に、パテラシリーズの主要スペックをまとめる。

正式名称 パテラ / Patera
デザイナー オイヴィン・スロット(Øivind Slaatto / 1978– / デンマーク)
デザイン年 2015年
製造ブランド ルイスポールセン(Louis Poulsen)
製造国 デンマーク(ヴァイエン工場にて手作業で組立)
主要素材 シェード:PVC(塩化ビニール製カッティングシート)ホワイトマット仕上げ / 灯具:真鍮(マットクロームメッキ)、射出成型アクリル
サイズ(E26仕様) Ø300:φ300×H305mm、重量 約2.0kg / Ø450:φ450×H433mm、重量 約3.4kg / Ø600:φ600×H577mm、重量 約5.7kg / Ø900:φ900×H865mm、重量 約11.5kg
カラー ホワイト(全サイズ共通)
光源(E26仕様) Ø300:E26 LED電球(白熱電球80W相当)/ Ø450:E26 LED電球(白熱電球100W相当)/ Ø600・Ø900:E26 白熱電球200W
光源(組込式LED) Ø450:LED 約44W(2700K/3000K、約2,307lm、CRI 90)/ Ø600:LED 約65W / Ø900:LED 約97W(2700K/3000K、約4,291lm、CRI 90)
取付方法 Ø300・Ø450:引っ掛けシーリング / Ø600:引っ掛けシーリングまたはボルト取付型(要電気工事)/ Ø900:ボルト取付型(要電気工事)
コード ホワイトコード(全長約1,800〜1,910mm)、コード長変更加工対応
調光 対応(別途調光器が必要)
IP等級 IP20(屋内専用)
参考価格帯(税込目安) Ø300 E26:約129,800円 / Ø450 E26:約176,000円 / Ø600 E26:約264,000円 / Ø900 E26:約579,700円 / Ø450 LED:約248,600円 / Ø600 LED:約423,500円 / Ø900 LED:約777,700円 / パテラ オーバル:約182,600円 ※価格は変動する場合があります
付属品 Ø300・Ø450:引っ掛けシーリング取付ネジ×2、フランジ×1、コードハンガー×1、手袋×1 / Ø600:フランジ×1、取付ネジ×2、取付板用貫通ネジ×1、六角レンチ×1、ワイヤースリーブ×1
保証 正規販売店購入でメーカー1年保証

類似する名作照明との比較

《パテラ》は2015年発表の現行デザインであり、意匠権の保護下にあるためリプロダクト品は市場に存在しない。ここでは、同じく「空間を照らすシャンデリア的存在」として検討されることの多い名作ペンダントライトと比較し、それぞれの個性と選び方の指針を示す。

PHアーティチョーク(ルイスポールセン)

ポール・ヘニングセンが1958年に設計した72枚の「葉」からなる伝説的シャンデリアである。パテラが合成樹脂による軽やかさと数学的構造美を追求するのに対し、アーティチョークは金属の葉が織りなす重厚かつ絢爛たる光の反射を特徴とする。価格帯は大幅に上回り、Ø480で100万円を超える。歴史的な名声と強い存在感を求める方に向く一方、モダンで軽快な空間づくりを志向する場合はパテラが適している。

スワール(レ・クリント)

パテラと同じオイヴィン・スロットが手がけた照明シリーズであり、デンマークの折り紙照明メーカー、レ・クリントから発表された。プラスチックシートの折り構造による有機的なフォルムが特徴で、パテラとは異なる温かみのある拡散光を生む。価格帯はパテラよりやや手頃で、同じデザイナーによる異なるアプローチとして比較したい一台である。やわらかい曲線美を好む方に向いている。

2097(フロス)

ジノ・サルファッティが1958年にデザインした、真鍮フレームに多数の電球を配したモダンシャンデリア。伝統的なシャンデリアの形式をミニマルに再解釈した点でパテラと志を同じくするが、光の性質は大きく異なる。2097は各電球がそれぞれ直接光を放つ華やかさが持ち味であり、パテラの柔らかな拡散光とは対照的な空間演出となる。イタリアンモダンの個性を求める方に適している。

比較項目 パテラ(ルイスポールセン) PHアーティチョーク(ルイスポールセン) スワール(レ・クリント)
デザイナー オイヴィン・スロット(2015年) ポール・ヘニングセン(1958年) オイヴィン・スロット(2014年)
主要素材 PVC(塩化ビニール) スチール葉(クローム / 銅 等) プラスチックシート
光の特性 360度グレアフリーの拡散光+下方への直接光 72枚の葉が光を複雑に反射・拡散 折り構造による温かみある拡散光
外観の印象 幾何学的な球体、軽やか 重厚・絢爛で存在感が強い 有機的な曲線、柔らかい印象
参考価格帯(税込目安) 約129,800円〜約777,700円 約1,100,000円〜 約60,000円〜約150,000円
重量感 軽量(0.8〜数kg) 重い(数十kg) 軽量
こんな方に 数学的構造美と軽快なモダンさを求める方 歴史的な名作としての価値を重視する方 有機的な曲線美と手頃な価格を求める方

使用感と暮らしへの取り入れ方

光の質と広がり方

《パテラ》がもたらす光は、無数のダイヤモンド型セルが光源を遮蔽しながらも各セルが微妙に異なる角度で光を反射・透過させることにより、きわめて自然で均一な質を実現している。45度以上の角度からは完全にグレアフリーであるため、ダイニングテーブルの上に吊るした場合でも着座した人の目に直接光が届くことはない。下方に向けてはセルの開口部から十分な直接光が放たれ、食事や読書に適した明るさを確保できる。調光器と併用すれば、食事時の集中した光からくつろぎのアンビエントライトまで、一灯で幅広いシーンに対応する。

上方にも光が漏れ出て天井面を穏やかに照らすため、空間全体の明るさと開放感が増す効果がある。この上方光は特に天井の低い日本の住宅において有効であり、視覚的に天井を高く感じさせる効果が期待できる。

サイズ選びの目安

サイズ選びは設置空間の広さと天井高によって大きく左右される。Ø300は最小モデルとして、玄関ホール、廊下、トイレ、子供部屋など比較的小さな空間に適している。Ø450はダイニングテーブルの上に低く吊り下げるのに最適なサイズとされ、一般的な日本の住宅で最も選ばれるサイズである。Ø600はリビングルームや天井高のある空間に映え、より大きな存在感を求める場合に適している。Ø900は吹き抜け空間やホテルのロビーなど、十分な天井高を持つ大空間に向けたサイズである。

日本の一般的なマンション(天井高2,400mm前後)では、Ø300またはØ450が現実的な選択肢となる。天井高が2,700mm以上確保できる戸建てやリノベーション物件であれば、Ø600も選択肢に入る。なお、天井の低い空間に設置したい場合は、球形よりも高さを抑えた《パテラ オーバル》(直径500mm×高さ360mm)が有力な選択肢となる。

空間別のコーディネート

ダイニングでは、Ø450をテーブル面から60〜70cm程度の高さに吊るすのが一般的な目安である。食卓を囲む家族の顔を美しく照らしながらも、まぶしさを感じさせない絶妙な光が食事の時間を豊かにする。リビングでは、ソファ上方やリビング中央にØ600を設置し、空間全体のアイコンとして機能させることができる。書斎に設置する場合はØ300を選び、デスク上方に配置すれば、集中力を妨げないタスクライトとアンビエントの両立が実現する。

和室との相性も一般的に良好とされている。白い球体のフォルムは障子や漆喰壁との親和性が高く、和のミニマリズムと北欧デザインが共鳴する空間が生まれる。

生活スタイル別の提案

一人暮らしの方には、Ø300をダイニングカウンターやリビングの主照明として導入する方法を提案したい。コンパクトな空間であっても、一灯の存在感が暮らしの質を格段に引き上げる。ファミリー層では、ダイニングテーブル上にØ450を据え、家族が集う場の象徴とするのが定番の取り入れ方である。オフィスや店舗においては、複数灯を一列やランダムに配置し、空間全体に統一感のある演出を施すことができる。

経年変化とメンテナンス

PVC素材の経年変化

《パテラ》のシェードに用いられるPVC素材は、木材や革のように劇的な経年変化を見せる素材ではないが、長期間の使用により光源の熱やわずかな埃の付着が生じる可能性がある。ただし、PVCは紫外線による黄変が比較的少ない素材であり、適切な手入れを行えば、長年にわたりホワイトマットの美しい外観を保つことが期待できる。

日常メンテナンス

日頃の手入れとしては、柔らかいはたきや羽根ぼうきで定期的にシェード表面の埃を払うことが基本となる。頻度としては月に一度程度が目安である。汚れが気になる場合は、水で湿らせた柔らかい布を固く絞り、優しく拭き取る。研磨剤入りの洗剤やアルコール系の溶剤は素材を傷める恐れがあるため使用を避ける。セルの内側に埃が溜まった場合は、缶入りの圧縮空気(エアダスター)で吹き飛ばす方法も有効である。

電球交換とパーツ対応

E26仕様のモデルは、市販のE26口金LED電球への交換が容易である。電球交換時にはシェード下部から手を入れて行うことができるが、高所に設置されている場合は安全のために電源を切った上で脚立を使用するか、専門業者に依頼することを推奨する。組込式LEDモデルの場合、光源の寿命は通常40,000〜50,000時間程度であり、万一のLEDモジュール交換はルイスポールセンのサービス窓口を通じて対応が可能である。コード類やフランジ、ソケット等の消耗部品も、正規販売店経由でのパーツ取り寄せに対応している。

どこで買うか:正規販売店と購入方法

国内正規販売店

ルイスポールセン ジャパンが認定した正規販売店(パートナーショップ)での購入が最も確実である。正規販売店で購入した製品にはメーカー1年保証が付帯し、万一の不具合や修理の際にも正規のアフターサービスを受けることができる。主要な正規取扱店としては、ザ・コンランショップ、アクタス、FLYMEe、CONNECT、REAL Style、vanilla、H.L.D.、LaVita、イケダ照明など、全国の照明・インテリア専門店がある。

公式オンラインストアとショールーム

ルイスポールセン公式サイト(louispoulsen.com/ja-jp)では製品情報の確認が可能である。実物を確認したい場合は、ルイスポールセン ジャパンの東京ショールーム(青山)のほか、全国の正規取扱店舗で展示品を見ることができる。ペンダントライトは点灯時と消灯時で大きく印象が変わるため、可能であれば実際の点灯状態を確認することを推奨する。

中古・ヴィンテージ市場

2015年発表の比較的新しいデザインであるため、ヴィンテージ市場での流通は限定的である。中古品がフリマアプリやオークションに出品されるケースはあるが、シェードの破損やセルの変形がないかを慎重に確認する必要がある。PVC素材は衝撃に弱い部位があるため、個人間取引での購入にはリスクが伴う。メーカー保証やアフターサービスの観点からも、正規販売店での新品購入が望ましい。

購入時チェックリスト

  • 正規品であることの確認(正規販売店からの購入、保証書の有無)
  • サイズ選定(設置空間の天井高と広さの実測、テーブル上に吊るす場合はテーブル面からシェード下端までの距離を計算)
  • 取付方式の確認(Ø300・Ø450は引っ掛けシーリングで工事不要、Ø600・Ø900は電気工事が必要な場合あり)
  • 光源タイプの選択(E26電球仕様と組込式LEDモデルの比較検討、調光器の有無)
  • コード長の確認(標準全長約1,800〜1,910mm、カットや延長は販売店で対応可能、別途加工費要)
  • 搬入経路の確認(Ø600以上は梱包サイズが大きくなるため、玄関や廊下の幅を事前確認)
  • 納期の確認(在庫品は1〜2週間、メーカー品切れ時は2〜5ヶ月の場合あり)
  • 保証内容の確認(正規販売店購入でメーカー1年保証、延長保証の有無)

配送・設置に関する注意事項

Ø300・Ø450は引っ掛けシーリング対応であり、既存の天井引っ掛けシーリングがあれば工事不要で設置可能である。ただし、天井の強度が十分であることを事前に確認しておくことが望ましい。Ø600以上のサイズでボルト取付型を選択した場合は、電気工事士による施工が必要となり、別途工事費が発生する。コード長の変更を希望する場合は、購入時に販売店に相談するとよい。変更加工費はカットのみで約5,000〜7,000円、延長で約9,000〜12,000円程度が目安となる。

コーディネート事例

北欧モダン

オーク材のダイニングテーブルとファブリックチェアの上に《パテラ》Ø450を一灯。白い壁と明るい木の床が光を受け止め、シンプルながら温もりのある食卓を演出する。ハンス・J・ウェグナーのCH24(Yチェア)やアルネ・ヤコブセンのセブンチェアとの相性がきわめて良い。

和モダン

畳や障子のある和室に《パテラ》Ø300を設置する。白い球体が障子越しの自然光と呼応し、日本と北欧のデザインがなじむ落ち着いた空間になる。天童木工のバタフライスツールやイサム・ノグチのAKARIと組み合わせても、東西のデザインが無理なく調和する。

コンテンポラリー・ミニマル

モノトーンを基調としたリビング空間に《パテラ》Ø600を主役として据える。ジャスパー・モリソンのソファやロナン&エルワン・ブルレックのシェルフなど、控えめで端正なデザインの家具と組み合わせることで、《パテラ》の幾何学的構造美が際立つ。消灯時にも彫刻的なオブジェとして空間を引き締める。

広さ別の配置ガイド

6〜8畳のダイニングスペースにはØ300またはØ450を一灯、10〜12畳のリビングダイニングにはØ450〜Ø600を一灯、吹き抜けのあるリビング(天井高3m以上)にはØ600〜Ø900を検討したい。また、長いカウンターやバーテーブルの上にØ300を2〜3灯並べる配置も、リズミカルで美しい空間演出となる。

よくある質問

パテラの正規品の価格はどのくらいですか?
E26電球仕様の参考価格(税込目安)は、Ø300が約129,800円、Ø450が約176,000円、Ø600が約264,000円、Ø900が約579,700円となっています。組込式LEDモデルはこれより高価格帯となり、Ø450 LEDで約248,600円、Ø600 LEDで約423,500円、Ø900 LEDで約777,700円です。パテラ オーバルは約182,600円です。なお、価格は改定されることがありますので、購入時に正規販売店にてご確認ください。
どこで購入できますか?
ルイスポールセン ジャパンが認定した正規販売店(パートナーショップ)にて購入可能です。全国の照明・インテリア専門店(ザ・コンランショップ、アクタス、FLYMEe、CONNECT、REAL Styleなど)が取り扱っています。正規販売店一覧はルイスポールセン公式サイトで確認できます。
実物を確認できる場所はありますか?
ルイスポールセン ジャパンの東京ショールーム(青山)のほか、全国の正規取扱店舗にて展示されている場合があります。展示状況は店舗により異なるため、訪問前に電話やウェブサイトで確認されることをお勧めします。点灯時と消灯時で印象が大きく変わるため、実際に点灯した状態をご覧いただくことを推奨します。
注文から届くまでどのくらいかかりますか?
在庫がある場合は通常1〜2週間程度でのお届けとなります。メーカー品切れの場合は2〜5ヶ月程度かかることがあります。年末年始やゴールデンウィーク、お盆などのメーカー長期休業期間を挟む場合は、通常より時間を要することがあります。納期は購入時に販売店にてご確認ください。
日常のメンテナンスはどのように行えばよいですか?
月に一度程度、柔らかいはたきや羽根ぼうきでシェード表面の埃を払うのが基本です。汚れが気になる場合は、水で湿らせた柔らかい布を固く絞って優しく拭き取ってください。研磨剤入りの洗剤やアルコール系溶剤の使用は避けてください。セルの内側に溜まった埃はエアダスターで除去できます。
LED電球は使えますか?
E26仕様のモデルでは、市販のE26口金LED電球がご使用いただけます。光源の色温度は空間の雰囲気を大きく左右するため、2700K〜3000K程度の電球色がパテラの温かみある表情を引き出すのに適しています。また、組込式LEDモデルも用意されており、2700Kまたは3000Kの色温度を選択可能です。調光対応のLED電球であれば、別途調光器との組み合わせでさまざまなシーンに対応できます。
天井が低い部屋でも使えますか?
天井高2,400mm前後の一般的な日本のマンションでは、Ø300であれば圧迫感なく設置可能です。Ø450をダイニングテーブル上に吊るす場合は、テーブル面からシェード下端まで60〜70cm程度を確保するのが目安です。天井高に制約がある場合は、高さを抑えた設計の《パテラ オーバル》(高さ360mm)を検討されることをお勧めします。
他に検討すべき名作照明はありますか?
ルイスポールセンの照明をお探しの方には、ポール・ヘニングセンによるPHシリーズ(PH5、PHアーティチョーク)やヴェルナー・パントンのパンテラシリーズ、アルネ・ヤコブセンのAJシリーズも広く愛されている名作です。また、同じオイヴィン・スロットがデザインしたレ・クリントのスワールシリーズも、パテラと異なるアプローチで空間を美しく照らす選択肢となります。各製品の詳細は当サイトの照明カテゴリページをご覧ください。