パテラ — フィボナッチ数列から生まれた現代のシャンデリア

《パテラ》は、ルイスポールセンが2015年に発表したペンダントライトである。デンマークのデザイナー、オイヴィン・スロットが、自然界に見られるフィボナッチ数列の構造をもとに設計した現代のシャンデリアで、無数のダイヤモンド型セルが組み合わさった球体から、360度にわたってやわらかく均一な光を放つ。伝統的なクリスタルシャンデリアの華やかさを、北欧デザインらしい簡潔さと合理性に置き換えた一作である。

デザインの背景と着想

《パテラ》の造形は、フィボナッチ数列にもとづいている。ひまわりの種の配列や巻貝の螺旋など、自然界に繰り返し現れるこの数学的秩序を応用することで、見る角度によって表情が変わる有機的なフォルムが生まれた。スロットはこの設計を「三次元の数独」にたとえ、自身がこれまで手がけたなかで最も複雑な照明だと述べている。各セルの角度は光の遮蔽と拡散を計算して決められており、数学的なシミュレーションと試作の繰り返しによって実現された。

構造と光の特性

《パテラ》は一見すると白い球体だが、内部には無数のダイヤモンド型セルが精緻に配置されている。各セルは光源からの直接光を遮り、視線角度が45度を超える範囲ではグレアフリーの光となるよう設計されている。一方、下方45度以下ではセルの開口部から直接光が放たれ、テーブル面などの直下を照らす。

さらに、光の一部は上方へと放たれて天井面を柔らかく照らし、空間全体に心地よいアンビエントライトを生み出す。この直接光と間接光のバランスにより、《パテラ》は食卓の上に吊るせばタスクライトとして機能し、同時に室内全体の雰囲気を高める役割も果たす。調光器と組み合わせれば、光の表情はさらに豊かになる。

素材と製造

《パテラ》のシェードは、PVC(塩化ビニール)の白色マット仕上げで構成される。合成素材を用いることで軽量さと十分な耐久性を両立し、さまざまな空間への設置を容易にしている。製造はデンマーク・ヴァイエンにあるルイスポールセンの工場で行われ、各セルを正確な角度で組み上げる手作業が、光の拡散特性を支えている。

サイズ展開と設置

《パテラ》はØ300・Ø450・Ø600・Ø900の4サイズで展開されており、空間の規模に応じて選べる。このうちØ300は2023年に加わった最小サイズである。いずれも白色のコードが付属し、引っ掛けシーリングで取り付ける。球体のほか、天井高が限られる空間に向けた楕円形の《パテラ オーバル》も用意されている。

一灯を空間の中心に据えれば、光の焦点として存在感を放つ。複数灯を一列に整列させたり、異なるサイズを組み合わせて配置すれば、星空を見上げるような演出も可能である。ダイニングテーブルの上はもちろん、ホテルのロビーやレストラン、住宅のリビングまで、幅広い空間と調和する。

基本情報

名称 パテラ / Patera
デザイナー オイヴィン・スロット(Øivind Slaatto / 1978–)
国籍 デンマーク
ブランド ルイスポールセン(Louis Poulsen)
発表年 2015年
製造国 デンマーク
分類 ペンダントライト
素材 PVC(塩化ビニール)/ ホワイトマット仕上げ
サイズ展開 Ø300(H305mm・約2.0kg)/ Ø450(H433mm・約3.4kg)/ Ø600(H577mm・約5.7kg)/ Ø900(H865mm・約11.5kg)
光源 E26 LED電球(白熱電球相当)、LED内蔵モデルあり
取付方法 引っ掛けシーリング
調光 対応(別途調光器が必要)
参考価格(税込) サイズにより異なる(Ø300で約13万円前後〜、税込・参考)