製品が安全に支えられるとして製造者が示す荷重の上限。法令で統一された基準はなく、根拠となる試験の条件は製品ごとに異なる。表示の読み方と、静的な荷重と動的な荷重の違いを扱う。
耐荷重
耐荷重とは、その製品が安全に支えられるとして製造者が示す荷重の上限のこと。単位はキログラムまたはニュートンで表される。
解説
この表示に法令上の統一された基準はない。製造者が自社の試験や参照した規格にもとづいて示す値であり、根拠となる条件は製品ごとに異なる。同じ「耐荷重100kg」という表示でも、どのような試験を経た値かは一致しない。
椅子の強度評価には日本産業規格が用意されている。JIS S 1203「家具-いす及びスツール-強度と耐久性の試験方法」がそれで、国際規格ISO 7173に対応する。使用環境や目的に応じて試験区分が1から5まで設定されており、数字が大きいほど加える荷重と繰り返し回数が厳しくなる。
試験の内容を知っておくと、表示の意味が具体的になる。座面の静的強度試験では、定められた位置に下向きの力を10回加え、各回とも10秒以上その力を維持する。座面と背もたれの耐久性試験では、座面に950ニュートン、背もたれに330ニュートンの力を組み合わせて繰り返し加える。回数は試験区分によって決まり、たとえば区分3であれば5万回となる。いずれも、静かに座って体重を預けるという使い方を想定した試験である。
ここから注意すべき点が導かれる。勢いよく腰を下ろす、椅子の上に立つ、背もたれに体重をかけて後ろ脚二本で傾ける、座面の縁だけに荷重をかけるといった使い方は、静的な試験の想定外にあたる。試験区分の高い製品であっても、過剰な使用や想定外の使用まで保証するものではない。表示値ぎりぎりではなく余裕をみて考えるのが実際的である。
また、耐荷重の表示がないことが品質の低さを意味するわけでもない。試験には費用がかかるため、業務用や量販の製品では表示され、少量生産の家具では表示されないという傾向がある。表示の有無は、試験を行ったかどうかの差にすぎない。
基本情報
| 単位 | キログラム(kg)またはニュートン(N) |
|---|---|
| 根拠となる規格 | JIS S 1203「家具-いす及びスツール-強度と耐久性の試験方法」(ISO 7173 に対応) |
| 試験区分 | 1から5。数字が大きいほど荷重と繰り返し回数が厳しい |
| 耐久性試験の荷重 | 座面 950N / 背もたれ 330N |
| 表示義務 | なし。製造者が任意に示す値 |
Reference
- JIS S 1203:1998 家具―いす及びスツール―強度と耐久性の試験方法(日本規格協会)
- https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+S+1203:1998
- 座面及び背もたれの耐久性(JIS S 1203)(ボーケン品質評価機構)
- https://www.boken.or.jp/find_items/lifestyle_goods/furniture_interior/chair/1212/
- 座面の静的強度試験(JIS S 1203)(ボーケン品質評価機構)
- https://www.boken.or.jp/find_items/lifestyle_goods/furniture_interior/17785/