このページについて
インフィニート(835 Infinito)は、フランコ・アルビーニとフランカ・ヘルグが1956年から1957年にかけて設計した棚である。垂直の支柱を天井と床のあいだに突っ張って固定し、そこへ棚板や収納を任意の高さで取り付ける。壁に穴を開けずに設置できる。現在はカッシーナが製造している。
このページでは、設置に必要な天井高の条件、選べる構成と素材、同種の棚との比較、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
フランコ・アルビーニの設計思想や経歴について詳しくはフランコ・アルビーニ プロフィールページをご覧ください。
インフィニートのデザインストーリーについて詳しくはインフィニート紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
インフィニートはカッシーナ社が「イ・マエストリ」コレクションとしてイタリアで製造する現行生産品である。支柱・棚板・収納キャビネットという要素の組み合わせにより、その名の通り多様な構成が可能なモジュラーシステムである。
| 正式名称 | 835 Infinito / インフィニート。派生モデル:835 Infinito Wall(壁固定版) |
|---|---|
| 製造 | 当初はポッジ社。2008年よりカッシーナが製造している |
| 製造国 | イタリア |
| 生産状況 | 現行生産。部材単位で追加・拡張できる |
| 主な構成要素 | 垂直支柱(テンション固定式、高さ268〜290cm調整可能)、棚板(奥行き違いあり)、収納キャビネット(開き扉/フラップ扉)。モジュール幅は約80cmを基準とする |
| 支柱構造 | 無垢材(アッシュまたはウォルナット)。天井と床のあいだに突っ張って固定するため、壁への固定を必要としない。複数の細い角材を真鍮のネジで接合した構成で、あいだに隙間が残る。一定間隔の孔により、棚板とキャビネットを任意の高さに取り付けられる |
| 高さ調節範囲 | 268cm〜290cm。この範囲外の天井高では設置できない |
| 構成 | 支柱の本数・棚板の枚数・キャビネットの種類を自由に組み合わせるモジュラー式。壁面付け・間仕切り、いずれの配置にも対応する |
| 素材(支柱) | 無垢材:アッシュ材またはアメリカンウォルナット(カナレットウォルナット) |
| 素材(棚板・キャビネット) | チップボードパネル、アッシュまたはウォルナット突板仕上げ。扉端部は無垢材。MDF(フラップ扉キャビネット) |
| 金属部品 | 天井・床固定金具:スチール、ポリッシュニッケル仕上げ。扉ヒンジ:バニッシュドブラス(焼入れ真鍮) |
| 仕上げ | ナチュラルアッシュ(明るい暖色系木材)、ブラックステインアッシュ(黒染め)、アメリカンウォルナット(金色がかった杢目)。全仕上げマット塗装 |
| Infinito Wall(壁固定版) | アルビーニの遺族との協働で開発。壁面固定+床面安定支持。ローアップライト(短い支柱)の追加により65インチTV収納対応。ブラックステインアッシュにスモークガラス扉の構成あり。ケーブル通し対応 |
| 参考価格帯 | カッシーナは価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。支柱の本数、棚板とキャビネットの数と種別、素材で価格が変わるため、構成を決めたうえで見積もりを依頼することになる。輸入品のため為替の影響も受ける |
類似商品・競合との比較
棚を構成する方式は、荷重をどこで受けるかによって分かれる。これが設置できる場所と、壁への加工の要否を決める。
| 比較項目 | インフィニート | 606ユニバーサルシェルビングシステム | CSS コンプリヘンシブ・ストレージ・システム |
|---|---|---|---|
| 荷重の受け方 | 天井と床のあいだで突っ張る | 壁に固定したレールで受ける | 天井と床のあいだで突っ張る |
| 壁への加工 | 不要 | 必要(下地への固定) | 不要 |
| 天井高の条件 | 268〜290cm | 制約なし | 製品仕様による |
| 間仕切りとして使う | できる(支柱に隙間が残り視線が通る) | できない(壁付け) | できる |
| 棚の高さ変更 | 支柱の孔の位置で変えられる | レールの位置で変えられる | 支柱の位置で変えられる |
| メーカー公表価格 | 公表なし(正規取扱店へ問い合わせ) | 公表あり | 公表なし |
選び分けの目安
- 壁に穴を開けられない場合
- 突っ張って固定する方式が該当する。賃貸住宅や、下地が入っていない壁で選択肢になる。ただし天井高の条件を満たす必要がある。
- 天井高が268cm未満の場合
- インフィニートは設置できない。壁固定の方式か、床置きの棚を検討することになる。なお壁固定に対応した派生モデルも用意されている。
- 部屋を仕切りたい場合
- 支柱に隙間が残るため、間仕切りとして使っても視線と光が通る。壁付けの方式では、この使い方ができない。
使用感と設置条件
天井高の確認
支柱の調節範囲は268〜290cmである。この範囲を外れる天井高では設置できない。日本の一般的な住宅の天井高は240cm前後であることが多く、そのままでは条件を満たさない。購入を検討する前に、設置場所の天井高を実測しておく必要がある。
天井の構造も条件になる。突っ張る方式は天井面に上向きの力をかけるため、天井が下地のない仕上げ材だけの場合、その箇所に力が集中する。設置前に取扱店へ相談する。
構成の決め方
支柱の本数、棚板の枚数と奥行、キャビネットの種別を組み合わせる。モジュールの幅は約80cmを基準とする。
棚板は支柱の孔の位置で高さを変えられる。収めるものが決まっていれば、その寸法に合わせて配置できる。後から部材を追加して拡張することもできる。
間仕切りとして使う
支柱は複数の細い角材を接合した構成で、あいだに隙間が残る。壁に寄せず部屋の中央に立てた場合、向こう側が透けて見える。仕切りながら閉じきらない使い方ができる。
両面から使う場合、棚板の奥行と収めるものの向きを決めておく。片面からしか取れない配置になると、反対側は面としてしか働かない。
経年変化とメンテナンス
素材ごとに起きること
支柱の無垢材は、湿度の変化で伸縮する。突っ張って固定する方式のため、木が縮むと固定の力が弱まる。定期的に締め直しの要否を確かめる。
棚板とキャビネットはチップボードに突板を貼った構成である。無垢材より寸法が安定するが、端部に強い力がかかると突板が剥がれる。
金具はニッケル仕上げのスチールと真鍮による。真鍮のヒンジは経年で色が濃くなる。
日常の手入れ
- 木部
- 乾いた柔らかい布で拭く。マット塗装のため、研磨剤を含むものは表面の質感を変える。
- 固定の確認
- 季節の変わり目に、支柱がぐらつかないか確かめる。緩みがあれば締め直す。
- 荷重
- 棚板ごとの耐荷重を超えないようにする。中央に重い物を集めると、棚板が撓む。
どこで買うか
取扱店の調べ方
カッシーナは公式サイトで取扱店を検索できる。同社は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによる。支柱の本数、棚板とキャビネットの数と種別、素材で価格が変わるため、構成を決めたうえで見積もりを依頼することになる。
問い合わせの前に、設置場所の天井高と幅を実測しておくと、構成の検討が進めやすい。
実物を確認する
支柱の隙間から向こうが見える度合いは、写真では分かりにくい。間仕切りとして使う場合、この見え方が判断を左右する。展示の有無を取扱店へ確認するとよい。
設置
突っ張って固定するため、施工には天井と床の状態の確認を伴う。取扱店による設置が前提となる場合が多い。移設の際も同様である。
購入前チェックリスト
- 設置場所の天井高(268〜290cmの範囲内か。実測が必要)
- 天井の構造(突っ張る力を受けられるか。要相談)
- 構成(支柱の本数、棚板の枚数と奥行、キャビネットの種別)
- 素材と仕上げ(アッシュ/黒染めアッシュ/ウォルナット)
- 壁付けか間仕切りか(間仕切りの場合、両面からの使い方)
- 収めるものの寸法(棚板の高さを決める前提になる)
- 設置と移設の手配
- 天井高が条件を満たさない場合、壁固定の派生モデルの検討
よくある質問
- 価格はどのくらいですか?
- カッシーナは価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。支柱の本数、棚板とキャビネットの数と種別、素材で価格が変わるため、構成を決めたうえで見積もりを依頼することになります。輸入品のため為替の影響も受けます。
- どこで購入できますか?
- カッシーナの公式サイトで取扱店を検索できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。
- どんな天井高が必要ですか?
- 支柱の調節範囲は268〜290cmです。この範囲を外れる天井高では設置できません。日本の一般的な住宅の天井高は240cm前後であることが多く、そのままでは条件を満たしません。購入をご検討の前に設置場所の天井高を実測してください。
- 天井高が足りない場合はどうすればよいですか?
- 壁面固定に対応した派生モデルが用意されています。壁に固定したうえで床面でも支える構成のため、天井高の条件が変わります。詳細は取扱店にご確認ください。
- 壁に穴を開ける必要はありますか?
- 標準の構成では不要です。天井と床のあいだで突っ張って固定します。ただし天井面に上向きの力をかけるため、天井が下地のない仕上げ材だけの場合はその箇所に力が集中します。設置前に取扱店へご相談ください。
- 間仕切りとして使えますか?
- 使えます。支柱は複数の細い角材を接合した構成で、あいだに隙間が残るため、部屋の中央に立てても向こう側が透けて見えます。両面から使う場合は、棚板の奥行と収めるものの向きを決めておいてください。
- 後から棚を追加できますか?
- できます。部材単位で追加・拡張できる構成です。棚板は支柱の孔の位置で高さを変えられます。
- 手入れで気をつけることはありますか?
- 支柱の無垢材は湿度の変化で伸縮します。突っ張って固定する方式のため、木が縮むと固定の力が弱まります。季節の変わり目に支柱がぐらつかないか確かめ、緩みがあれば締め直してください。木部は乾いた柔らかい布で拭きます。マット塗装のため研磨剤を含むものは表面の質感を変えます。