Michael Anastassiades(マイケル・アナスタシアデス)── 均衡と静けさの照明

Michael Anastassiades(マイケル・アナスタシアデス)は、キプロス出身でロンドンを拠点とするデザイナー、マイケル・アナスタシアデスが2007年に設立した照明・オブジェのブランドである。細い金属の線とガラス球を精緻に組み合わせた、簡潔で緊張感のある造形を特徴とし、幾何学的な純粋さと詩的な軽やかさを併せもつ照明の数々で、現代のライティングデザインを牽引する存在として知られている。

アナスタシアデス自身の設計思想は、「永続的な価値をもつ、卓越して設計されたオブジェをつくること」に置かれている。ブランドの製品は世界各地の家族経営の小さな工房で、それぞれの伝統的な素材の扱いと手仕事の技を見込んで選ばれた作り手により、一点ずつ手づくりされ、デザイナーの刻印が施されてきた。真鍮やガラスといった素材は保護塗装を施さず自然な仕上げのまま用いられ、時とともに味わいを増す経年変化そのものが意匠の一部として肯定されている。

ブランドの特徴・コンセプト

Michael Anastassiadesの照明を貫くのは、素材への誠実さと形態の明快さである。装飾を削ぎ落とし、線・球・面という最小限の要素だけで構成された造形は、点灯していないときには静かなオブジェとして空間に佇み、灯りをともせば柔らかな光の焦点となる。アナスタシアデスはしばしば「光そのもの(グロー)」から設計を始めると語り、光と影、昼と夜の関係を出発点に据える姿勢を一貫させてきた。

素材の質感を活かす手仕事

ブランドの製品は、パティーナ(古色)を帯びた真鍮や、口吹きによるオパールガラスなど、素材本来の表情を活かす仕上げを基本とする。多くが保護ラッカーをあえて施さず、使い込むほどに深まる質感を意図的に受け入れている。工業的な精度と職人の手技を掛け合わせることで、規律ある構造と即興的な柔らかさが同居する独特の均衡が生み出される。

デザイナーとしての背景

マイケル・アナスタシアデスは、ロンドンのインペリアル・カレッジで土木工学を学んだのち、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で工業デザインの修士号を取得した。1994年にロンドンで自身のスタジオを設立し、照明にとどまらず家具、オブジェ、空間デザインへと活動を広げている。FLOS、B&B Italia、ハーマンミラー、カッシーナ、アレッシィなど世界の名だたるメーカーとの協働でも知られ、そのプロダクトはニューヨーク近代美術館(MoMA)、ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)、シカゴ美術館、ウィーンのMAKなどのパーマネントコレクションに加えられている。

ブランドヒストリー

スタジオの設立(1994年)

アナスタシアデスは1994年、ロンドンに自身のスタジオを設立した。土木工学と工業デザインという二つの背景を土台に、現代の文化と美意識をプロダクト・家具・空間の各領域で探求する場として活動を開始する。この時期の仕事はアートとデザインの境界を横断し、後年の照明作品へとつながる思考の基盤を形づくった。

自身の名を冠したブランドの立ち上げ(2007年)

2007年、アナスタシアデスは自身の代表作をより広く届けることを目的に、同名のブランド「Michael Anastassiades」を設立した。同年のメゾン・エ・オブジェで「Tube Chandelier」を発表し、デザイナーとして自らの表現を妥協なく世に問う場を得た。以後、ロンドンを拠点に照明・家具・テーブルウェアを展開し、少数の工房による手仕事を基盤とした生産体制を築いていった。

ブランドの区切りとスタジオへの回帰(2026年)

2007年の設立から約20年を経た2026年、アナスタシアデスは自身の名を冠した照明ブランドを一区切りとし、ロンドンのスタジオでのデザイン活動に軸足を戻す意向を表明した。今後は他ブランドとの協働や、限定・特注の照明・家具の設計に注力するとされる。1994年設立のスタジオ「Michael Anastassiades」は引き続き活動を続けており、ブランドとしての製品の入手可能性については各正規取扱店で最新の状況を確認することが望ましい。

主な照明

Mobile Chandelier シリーズ
2008年のデザイン・マイアミで最初の一作が発表されたシャンデリアの連作。モビールの原理に基づき、パティーナを帯びた真鍮の線材と口吹きオパールガラスの球体を、錘との釣り合いのなかで水平に均衡させる。空気の流れでゆるやかに回転し、空間ごとに異なる光の構成を生む。線材による直線的な構成から幾何学的な曲線、自由な形態へと、番号を重ねるごとに造形が展開していく。
Tube Chandelier
2007年、ブランド設立の年にメゾン・エ・オブジェで発表された作品。細い管状の要素を組み合わせた、ブランドの出発点を告げるシャンデリア。
String Lights(FLOS)
FLOSとの協働による照明。張り渡したコードと幾何学的な光源からなる構成で、アナスタシアデスの線的な造形言語を大きな空間スケールへ展開した。
IC Lights(FLOS)
FLOSとの協働作。細い金属ロッドの先で球状のガラスディフューザーが均衡を保つ、コンタクト・ジャグリングに着想を得たシリーズ。

※ String Lights、IC Lights など一部の代表作は、FLOSをはじめとする各メーカーからの製品であり、本ブランド(Michael Anastassiades)自身の製品とは製造元が異なる。

主なデザイナー

  • マイケル・アナスタシアデス(Michael Anastassiades)── キプロス出身・ロンドン拠点。ブランドの創設者であり、すべての製品の設計を手がける。

基本情報

ブランド名 Michael Anastassiades(マイケル・アナスタシアデス)
設立年 2007年(スタジオ設立は1994年)
創設者 マイケル・アナスタシアデス(Michael Anastassiades)
拠点 イギリス・ロンドン
分野 照明、家具、オブジェ、テーブルウェア
公式サイト https://michaelanastassiades.com