概要
モバイルシャンデリア 1 は、ロンドンを拠点とするマイケル・アナスタシアデスが2008年に発表したペンダントライトである。黒く経年加工した真鍮の線的な構造体と、吹きガラスによるオパリンガラスの球体で構成される。アレクサンダー・カルダーのモビール彫刻の原理を照明に応用した作品で、以後シリーズとして展開が続いている。
特徴・コンセプト
釣り合いで支える
モビールは、支点の左右で重さと腕の長さの積を釣り合わせることで成立する。この照明も同じ原理をとり、真鍮のアームが両端の要素を吊り合わせる。アームは電気を伝える導体を兼ねており、配線を別に這わせる必要がない。構造材と電路を同じ部材が担うため、線の本数が増えない。
接合部は回転する。全体がゆるやかに向きを変えるため、光源の配置は固定されない。手で触れれば配置が変わり、そのたびに光の落ち方も変わる。
直線だけで組む
シリーズのなかでも第1作は、直線のチューブだけで構成される。曲線や複雑な形を用いず、直線の組み合わせと長さの配分だけで釣り合いを成立させている。以後の作品では幾何学的な曲線や、より自由な形が加えられていくが、その出発点にあたる。
吹きガラスの球体は一つひとつ重量がわずかに異なる。そのためアームの長さは個体ごとに調整され、同じ型番でも寸法と釣り合いは完全には揃わない。
素材と仕上げ
真鍮の表面にはコーティングを施さず、時間の経過とともに風合いが変化していくことを前提とした仕上げがとられている。パティネーションは塗装ではなく、一点ごとに色調と質感を作り込む手仕事である。乳白色のオパリンガラスは光源を包み、直接光の強さを和らげる。
エピソード
この作品は、ニューヨークのクリスティーナ・グラハレス・ギャラリーを通じてデザインフェア「Design Miami」に出品された。アナスタシアデスは2007年に自身の名を冠したブランドを設立しており、モバイルシャンデリアはその初期の代表作にあたる。以後、番号を重ねながら新作が加えられ、シリーズとして展開している。
評価と影響
照明でありながら、彫刻の原理をそのまま構造に用いた点が特徴とされる。受注生産で、天井高や設置場所に応じて吊り下げの長さを指定する。真鍮とガラスという素材の組み合わせは、以後のアナスタシアデスの照明にも引き継がれている。
マイケル・アナスタシアデスの設計思想や経歴について詳しくはマイケル・アナスタシアデスプロフィールページをご覧ください。
ブランドの歴史や他の製品について詳しくはマイケル・アナスタシアデスブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | モバイルシャンデリア 1 / Mobile Chandelier 1 |
|---|---|
| デザイナー | マイケル・アナスタシアデス(Michael Anastassiades) |
| ブランド | マイケル・アナスタシアデス(自社ブランド/2007年設立) |
| 発表年 | 2008年(Design Miami、クリスティーナ・グラハレス・ギャラリー出品) |
| デザインの成立国 | イギリス |
| 分類 | ペンダントライト/シャンデリア |
| 主要素材 | ブラックパティネーション仕上げの真鍮、吹きガラス(オパリン) |
| 構成 | 直線のチューブによるアームと球体。接合部は回転する |
| 生産方式 | 受注生産(吊り下げ長さは指定可。手作業のため個体差あり) |
Reference
- Mobile Chandelier 1 | Michael Anastassiades
- https://michaelanastassiades.com/products/mobile-chandelier-1